599.【後日談7】猫パ その3
・紫な毛皮のあるネコ科魔獣視点
夕刻。今日の仕事も終わり、病院から自宅に帰る途中。
「なー(Dr.ギフトさーん、郵便でーす)」
「みゃんむ(ご苦労)」
我宛ての封筒が、郵便配達の黒猫魔獣から手渡された。
封筒を爪で開けてみると……ふーむ、招待状?
ネコ科魔獣だらけのパーティ、猫パの招待、我を?
肉球魔王様が昨晩、猫パの招待状を、ランダムで抽選したネコ科魔獣達へ送ったのだという話を聞いた。
まさか我が選ばれるとはな。
「んなー(ギフト! どうして貴様のような奴が招待されているのですぞ!)」
「みゃんな(Dr.を付けたまえ、小僧)」
魔獣幹部火車が、我の前に現れピーピー泣きわめく。
「みゃーんむぅ(たまたま我の運が良かったというだけだ。肉球魔王様は本当にランダムで抽選なさったのだろう。
いやはや、公明正大なお方だ、やはり王に相応しい)」
「んなぉ(何かイカサマを使ったに違いありませぬ! この事は、魔獣幹部の会合に取り上げますからな!)」
「みゃんま(好きにしたまえ、だが肉球魔王様に迷惑をかけてくれるなよ?)」
魔獣幹部火車は、我にフシャーフシャー言った後、去っていった。
まったく、小僧は魔獣幹部になったというのに、昔から落ち着きが足りない。
少しは我が傑作の、ゾンビキャットとキメラを見習いたまえ。
◇ ◇ ◇ ◇
・大鍋商会会長、橘若菜視点
ここは錬金術工房の中庭にあるダンジョンの中、その1室。
壁や床は、見たことの無い金属部品がピカピカ光っている。
今からネコ科魔獣だらけのパーティ、略して猫パを開催するための会議が始まる。
ここに居るほとんどは、錬金術の神トミタ様が連れてきた人たち。
なのだけど、
「質問いい?」
「あ? まだ何も始まってないのにか?」
宙に浮かぶゲーム画面をポチポチしている男。
このダンジョンの主らしい。
今回の会議の場所を提供してくれてた。
「どうしてこの場所で会議をすることに?」
「んなもん情報漏洩防止のために決まってんだろ。
魔獣都市マタタビで会議なんてしてみろ、一瞬でトミタに情報が洩れるぞ。
トミタも客として前情報無しで楽しむつもりだから、トミタの目が届かないダンジョン内が会議室に最適となる」
「はぁ」
神様を名前で気安く呼んでいるあたり、この男はかなり立場が強いのだろうか。
それともただの怖いもの知らずか。
っと、会議の時間が来た。
「えー。皆さまお忙しいところお集まりいただきありが「そういうのいいから、ほら、時計回りで自己紹介」えぇ……」
ダンジョンの主の男が手をパンパン叩いて急かしてくる。一応、私がこの会議の議長なのだけど。
「ええっと。私は橘若菜。大鍋商会の会長で、今回の猫パの責任者、だよ」
「商会の会長のくせに丁寧語も使えないのか」
おまえが言うな!
「俺は機械ダンジョンのダンジョンマスター、伊乃田命だ。ゲーム関連なら任せろ以上」
えー。ぶっきらぼう。
続いて自己紹介し始めたのは、痩せた大学生くらいの男だ。
「拙者、猫ダンジョンのマスター、猫飼虎雄。命殿に誘われて参上でござる。
ネコ科魔獣の事なら、ここの誰よりも詳しいと自負しているでござる。よろしく頼むでござる」
(※異世界でダンジョン運営任されたけど知るか。それよりゲームするわ 63話にチラッと登場したやつです)
次に自己紹介し始めたのは、金髪の幼女。
「コレム・伊乃田でしゅ。ホムンドール社の社長でしゅ」
「ん? 伊乃田……?」「命の妻でしゅ」「うわぁぁああロ〇コン!?」「テメェ表出ろ」
うっかり口を滑らせた私の頭を、伊乃田命がガシッと掴んで力を入れる。
ギリギリギリ……痛い痛い痛い!
「ワイはエルフのチャールズ。建築家やでー」
「ワシはシルフ、しがない婆さんじゃよ、ひっひっひ」
他に数人いたけれど、私は頭痛でよく聞こえなかったのだった。




