598.【後日談7】猫パ その2
昼の大魔導士の森、自宅にて。
俺は猫パに備え、色んなところへ連絡を取る。
首輪型PCで、メール送信っと。
ベッドの上で転がりながらメール送信していると、外から声が聞こえる。
俺は起き上がり、窓枠にひょいと飛び乗り、外を見る。
庭の椅子に座った金髪エルフのアウレネが、白猫リリーを膝の上に乗せて頭や背中をナデナデしていた。
「みゅ~(もっと撫でるにゃ~)」
「わしゃわしゃ~」
「みゅ~(気持ちいいにゃ~)」
「もふもふ~」
しばらくすると、リリーの尻尾がブンブン振れだす。
だがアウレネのモフりは続く。
「みゅ~(もういいにゃ)」
「なでなでです~」
「みゅ~(しつこいにゃ。これ以上、触んにゃ!)」
ベシッ! リリーの猫パンチがアウレネにさく裂する。
そしてリリーはぴゅーっと走り出す。
「うわぁぁん、酷いです~」
アウレネは涙目になりながら、リリーを追いかける。
リリーは今は『もう構わないでくれ』な気分だから放っておいた方がいいと思うけどな。
◇ ◇ ◇ ◇
夜。中央広場にて。
今日は、ネコ科魔獣以外の何種類かの魔獣を、ネコ科魔獣と同等の扱いにするかどうかについての議論だ。
「んなー(エントリーナンバー1番。ニャン面魚)」
大きな水槽の中を泳ぐ、顔が猫なライオン大の魚。
「みゃーん(お願いしまーす)」
「ガゥ(美味しそう)」
「みゃーう(ぎゃー!?)」
キメラが、水槽に前足を突っ込んでニャン面魚を触ろうとする。
ニャン面魚が捕まるまいと逃げる。
「にゃー(やめて差し上げろ)」
「ガゥ(ちぇーっ)」
「うみゅう(ではニャン面魚をネコ科魔獣と同等の処遇にする件、賛成の魔獣幹部は手を挙げて)」
……。誰も手を上げない。
つまり反対5賛成0。
「反対多数で、否決だねぇ」
「みゃーん(がーん)」
「うんみゅう(そもそも魔獣都市マタタビは、水生魔獣の住む場所に適していない)」
「アァー……無……理」
「んなー(では彼らへの経済的、食料的支援だけ行うというのはどうですかな?)」
話し合いの結果、ニャン面魚、ニャン面犬、ニャン面鳥に関しては、支援だけ行うことになった。
もちろん一方的な支援だけではなく、彼らの得意分野で魔獣都市マタタビの発展に貢献してもらう。
そして今日の魔獣幹部の会合が終わる。
「にゃー(おっと。ぴったり2ヶ月後に丸1日、学校区画マタタビ会館の大ホールを、猫パに使う予約をしたからな)」
「んなー(了解ですぞ。それにしても、ネコ科魔獣だけのパーティ、どのようにいたしますかな)」
「うみゅう(参加魔獣数、予算、当日のスケジュール、手配や準備……決めることが沢山ある)」
「アァー……大……変」
「にゃー(何を勘違いしている)」
「んなぅ?(む?)」
火車と金の亡者、化け猫、ゾンビキャットが猫パを運営する気満々だったので、言う。
「にゃー(参加魔獣数は100。猫パを取り仕切るのは主に大鍋商会。
そのサポートに、俺のあらゆる人脈から厳選した奴らを手配済み。
予算は最大8000億マタタビで、既に俺のポケットマネーから振り込み済み。あとは当日を待つだけ、だ)」
「んなぉ(さすがは肉球魔王様! 既にパーティの手配やらを済ませているとは!
ならば、あとは当日を楽しみに待つだけですな)」
「うみゅう(潤沢な予算。これは期待出来る)」
「アァー……期……待」
「いいねぇ! ワクワクするよ!」
「にゃー(何か勘違いしていないか?)」
「んなぉ?(む?)」
火車と金の亡者、化け猫、ゾンビキャットが猫パに参加する気満々だったので、言う。
「にゃー(猫パに参加するのは、俺とキメラ、あとはランダムで抽選したネコ科魔獣達だけだ。
彼らには既に招待状を送ってある。招待状が無い奴に参加資格は無いぞ)」
「んなー(ええと、招待状? 受け取っていませんが)」
「うみゅう(魔獣幹部に招待状は不要。一応この都市のトップ)」
「にゃー(何を勝手な事を言ってる? 魔獣幹部だろうと何だろうと、招待状が無ければ参加資格は無い)」
「……」
「「「んなうみゅアァえぇー!?(えぇーー!?)」」」
だってお前ら、この前猫パ開催を馬鹿にしただろ。
そんな奴らをどうして、身銭を削ってまで招待してやらにゃならんのだ。
これに懲りたら、頭ごなしに全否定するのを少しは控えることだな。




