597.【後日談7】猫パ その1
夕方。雑貨屋クローバーのレジカウンターにて。
俺はたたんでいる毛布をフミフミしていると、ヨツバがノッシノッシとやって来た。
フミフミしている前足を止める。
「にゃー(俺に何か用か?)」
「女子力を上げるために、今度女子限定のパーティを開こうと思うんです。女子会です」
「にゃー(そうか)」
色んな人と交流するのは良いことだ。
「パーティを開こうと思うんです」
「にゃー(さっき聞いた)」
「なので会話デッキを一緒に考えてください」
「にゃー(会話デッキって何だ?)」
デッキブラシの親戚か?
話を聞いていると、どうやら会話のネタみたいなものらしい。
会話ネタじゃいかんのか?
「まず天気は鉄板として……」
「にゃー(ってか相手の関心がある事を喋ればいいじゃんか)」
「その関心がある事を引き出すための会話デッキですよ。
そうですね、食べ物、音楽、スポーツ、というか趣味……」
俺は毛布フミフミを再開する。
ゴロゴロゴロゴロ……
「猫さん、聞いてますか?」
「にゃー(うどんはコシが命だ)」
「聞いてないじゃないですか。猫さんも考えてくださいよ。
猫さんは前世で会話する時、何話してました?」
「にゃー(最近何してる? とか、何か新しい発見はあった? とかだなぁ)」
「なるほど、活動や関心を直接聞く、と」
そもそも会話内容とか、普段意識するものじゃないけどな。
「じゃあ例えば猫さんが関心ある物は何でしょうか?」
「にゃー(そんなどストレートに聞くのは不自然な気がするが。
そうだな。俺の関心は、食う、寝る、研究、だな)」
「なるほど。研究はともかく、食べるのと寝るのと遊ぶのは、猫のほとんどが関心あることですね。
ということは大多数が関心ありそうな事を会話デッキに入れる、と。
女子相手だと洋服、化粧、男の噂、この辺が鉄板でしょうか。
ありがとうございます、会話デッキが見えてきた気がします」
「にゃー(そうか)」
ブツブツと呟きながら、ヨツバは去っていった。
会話内容に気を遣うのも結構だが、ブツブツ呟きながら歩いている姿は傍から見れば不気味だからやめたほうがいいと思うぞ。
◇ ◇ ◇ ◇
夜。中央広場にて。
魔獣幹部の会合の後、俺は意見する。
「にゃー(ネコ科魔獣だけのパーティを開きたい)」
「んなー(何ですかな藪から棒に)」
火車が冷ややかな目で俺を見る。
まーた肉球魔王様がご乱心したよ、みたいな顔をするのはやめろ。
「にゃー(ヨツバが女子だけのパーティを開くとか言ってたから、俺もそういうのやってみたい)」
「アァー……何……故?」
「うんみゅう(目的の無い会は、時間とお金の無駄)」
「ガゥ!(楽しそうだけどな!)」
「あたしは女子会の方に興味があるねぇ」
キメラ以外の反応は悪かった。
くそぅ、キメラ以外は絶対招待してやらんからな。
こうして俺はネコ科魔獣だらけのパーティ、略して猫パを開催するために準備をし始めるのだった。




