「『黄昏賛歌』は喧嘩を売られる」
ガルディー歴 1282年 十一の月 二日
最近、また『黄昏賛歌』にちょっかいをかけてくる集団が増えている。
それだけギルドが目立ってきた証なのだろうけれど、面倒臭い。
ガルディー歴 1282年 十一の月 四日
ステラとして活動中に『黄昏賛歌』のメンバーを名乗る不届き者がちょっかいをかけてくる。
残念ながら私の記憶ではこんな人たちは『黄昏賛歌』のメンバーではない。
どうやらギルドマスターの私の素知らぬところで、『黄昏賛歌』を名乗って好き勝手している連中がいるらしい。
ウィニーノに「『黄昏賛歌』と関わりがあるのか?」と勘繰られてしまって、少し失敗した。
ガルディー歴 1282年 十一の月 七日
まずはやるべきことを書き留める。
また『黄昏賛歌』に喧嘩を売る者達が出てきたわけだが、設立時にこちらに接触してきた者達とはまた違うだろう。
だって今や『黄昏賛歌』は国内でも有数の、名を馳せたギルドになっている。
そんなギルドに喧嘩を売るなんてまともではない。そもそも私の『幻妖の魔女』が敵対する者に容赦はないと広まっているからあんまりこういう人たちって少なくなっていた。
まずはどういった者達が、どの程度の範囲でこういった問題を起こしているのか調べる。
ガルディー歴 1282年 十一の月 十日
ステラのことといい、『黄昏賛歌』のことといい、面倒なことが重なっている。
ストレス発散のためにも、推しの顔を連日見ている。正直これだけ見続けているとノルケーシア様に気づかれてしまう恐れもあったけれど仕方ない。
ノルケーシア様の顔を見ているだけで嫌な気持ちがふっと無くなっていく感覚。
やっぱり推し活の力って凄い。
前世でも落ち込んだ時とか、ノルケーシア様のことを思い出して生きてこれたといっても過言ではない。
昔の私は何の取り柄もなくて、ゲームの登場人物でしかないノルケーシア様のために何かをすることも出来なかった。でも今世では推しのために何か出来ることが嬉しい。
生きていてくれてありがとう、と今日も拝んでおく。
ガルディー歴 1282年 十一の月 十三日
お兄様に心配をされてしまう。私の声が疲れていたからだろう。
お兄様は私に大変厳しいし、物言いも優しいものじゃなかったりもする。それでも私がこうして疲弊していると「原因を排除するか?」などと軽く言ってくる。
なんだかんだこういう時に私のことを助けてくれようとするから、好きだなって思う。
自分でなんとかするから、お兄様には何もしないでと言っておいた。
ガルディー歴 1282年 十一の月 十六日
まずはステラの問題を解決させる。『黄昏賛歌』のメンバーのふりをしている者達はともかくとして、他の情報収集をしている連中を全て片付けることにする。
うろちょろされても本当に困るもの。
ガルディー歴 1282年 十一の月 十八日
ウィニーノに「ステラは案外、過激な性格だよな」などと言われる。私が容赦なく対応しているかららしい。でもステラとしての私はあくまで治癒師でしかないので、直接的な行動はウィニーノに頼んでいる。
ガルディー歴 1282年 十一の月 二十日
『黄昏賛歌』の名を騙っている連中の洗い出しをしつつ、推しのことを見に行く。
今月はノルケーシア様をのぞき見する回数が多くなってしまっている。いい加減、我慢しなければならない。これでノルケーシア様にばれたら最悪だもの。
ガルディー歴 1282年 十一の月 二十二日
どうやら『黄昏賛歌』にちょっかいを出している者達は貴族の関与がありそう。テレミア達の一族を引き取りたいといったのを断ったからみたい。
いまだにその血を使えば皆が幸せになるとか、そう言うことばかり言っているらしい。
本人たちの意思を無視してそういうことをするのってやめてほしい。というか、テレミア達は私の配下なのだもの。私の身内に手を出そうとするのやめてほしい。
あとは『黄昏賛歌』が力をつけてきているのを許せないとかそういう感情を抱いているみたい。
ガルディー歴 1282年 十一の月 二十三日
お兄様の方にも『黄昏賛歌』を潰すのに協力しないかって話がきたから追い返しておいたと言われる。
色んな貴族に対して、協力を申し出ているらしい。
気に食わないからという理由だけでそこまでやろうとするなんて困ったものだわ。
まともな貴族は相手にしていないらしいけれど、下位貴族のいくつかは甘い言葉に騙されて策にのっているらしい。
ガルディー歴 1282年 十一の月 十七日
どうするか少し悩む。どこまで徹底的にやっていいのか。国内と国外の貴族がどれだけ関わっているかも現在、そこまで分かっていない。
『黄昏賛歌』のメンバーの中には、知らず知らずのうちに情報漏洩をしてしまっていた子もいた。
それらの子達に対する対応も必要だし、貴族と事を構えるとなるとギルドを抜けたいというような子もいる。
組織運営というのは中々難しい。
寧ろこれまで上手く行っていたことが奇跡的だったのかも。
でもこういった問題を乗り越えてこそだろう。疲れているけれど、頑張る。




