「お兄様は気に食わないらしい」
9/13 二話目
ガルディー歴 1282年 七の月 一日
お兄様が不機嫌だった。
どうやら私がお兄様の御友人のことを聞いたのが嫌みたい。
お兄様ってなんだかんだ過保護というか、私を自分の物……いや、庇護下にある存在って思ってはいそう。
だからそんな私が誰かを気にしていることも面白くないみたい。
私がノルケーシア様に夢中なのも思う所あるみたいだしな。
ガルディー歴 1282年 七の月 五日
お兄様を説得して、お友達について聞いてみた。
お兄様は別にそのお友達のことを嫌ってはないみたい。ただお兄様と違ってそれなりに元気な人ではあるらしい。
軽い調子でお兄様に話しかける系男子……。お兄様と並んでいるところちょっとみてみたいかも。でも覗き込みたいって言ったら、「バレるぞ」と言われたのでやめておくことにする。流石にそんなリスクはおいたくない。
それにしても要警戒ね。
私がお兄様の妹だって知ったら構ってきそうな気配。悟られないようにしないと。
ガルディー歴 1282年 七の月 八日
お兄様から誕生日プレゼントにもらった卵はまだ孵らない。
魔力を込めていると時折動いているのでそのうち孵るかな? 産まれるのが楽しみで仕方がない。
ガルディー歴 1282年 七の月 九日
見守っていたら推しが怪我して飛び出しそうになった。反省。
微かに魔力は漏れたかもしれない。下手に行動すると、ノルケーシア様なら勘づくから我慢。
そこまで大きな怪我じゃないし、仕方がない。
ガルディー歴 1282年 七の月 十一日
自制する気持ちも大事だというのを実感した。ノルケーシア様は私にとって世界で一番大切で特別な相手ではあるけれど、だからこそ彼のためにならない過保護はいけない。
改めてそう実感した。
推しの幸せについてもっと考えたいな。
私は一先ず祭壇に向かって、推しが健康に過ごせますようにと祈った。
ガルディー歴 1282年 七の月 十三日
もっと調合スキルをあげたい。ノルケーシア様がそれこそ命の危機を感じるような病気も治せるようにしないと。
それに治癒系の魔法ももっと使いたい。
やはり実戦経験をもっとつむべきだろう。ということで普段ギルドマスターとして使っている人形以外に、治癒系の経験を積むための人形を作成することにする。
ガルディー歴 1282年 七の月 十六日
本当にたまたまの偶然だけど、同年代の子達の集まりにお兄様のお友達がいた。
私がお兄様の妹だとはおそらく分かっていないはず。それにお兄様のお友達と言えど、私とお兄様がどれだけ仲良しか知らないから良かった。
これで私とお兄様の仲を知っていたら話しかけられていただろう。
ガルディー歴 1282年 七の月 十七日
お兄様から連絡が来た。
どうやらお兄様のお友達は私が妹だとは知っていたみたい。ただし仲良しだとは思っていないのか、私に迷惑がかからないようにか話しかけてはこなかったとのこと。
お兄様は私が目立たないようにしていることを知っているからか、私と仲良しなことはお友達には言わなかったらしい。興味がない振りしてくれたって言っていた。
此処でお兄様がぺらぺら私のことを話すような人だったら、少しだけがっかりしていたかも。
ガルディー歴 1282年 七の月 二十日
私が『幻妖の魔女』として使っている人形は複数存在している。
戦闘用や治癒用、事務用など。
それとは別に完全治癒特化の人形作りを進めているけれどそれも中々難しい。
材料がまず足りない。
ギルドに保管してある材料を勝手に使うのも違うので、テレミア経由で買い取ったりしている。
私がギルドマスターだから「私事に使ってもだれも気にしない」などと言われたけれど、その辺はきちんとしないとね。
ガルディー歴 1282年 七の月 二十三日
最近、あまり周りと交流をせずに人形作りに夢中な気がする。
私は案外、一つのことに夢中になると周りが見えない。
少し我慢しつつ、交流を持つことの出来た同年代の子とも会おう。
ガルディー歴 1282年 七の月 二十五日
今日は同年代の子と会って、お喋りをした。
私は侯爵家の分家の娘でかなく、パーティーなどにも出ていないので普段何をしているのか聞かれた。
趣味に勤しんでいるとだけ伝えておく。カモフラージュとして読書の話をした。私の趣味というか生きがいは推し活であるから人には言いふらしたくない。
ガルディー歴 1282年 七の月 二十九日
ようやく目的の人形が完成した。
これで来月から、これまでと別の活動もしてみよう。




