「信仰団体は案外、しぶとい」
ガルディー歴 1282年 四の月 一日
ノルケーシア様のことを無事に救い出せたことに私はほっとしている。
誘拐を防ぐことが出来なかったことだけは、自分自身を責めてしまうけれどまだトラウマになる前だと思いたい。
ガルディー歴 1282年 四の月 三日
推しを救い出した時は必死過ぎたけれど、私は推しを救うためにノルケーシア様の美しいご尊顔を至近距離で拝むことになってしまった。
思い返すだけで挙動不審になってしまう。まともな状況だったら私は推しの前にあのような状況で姿を現すなど無理だっただろう。
粗相をしてしまったのではないかと考えるだけで、不安になった。
ノルケーシア様はあれだけ意識が混濁していたので、私のことは分かっていないはずと思いたい。
ガルディー歴 1282年 四の月 五日
ノルケーシア様の傍に控えさせている侍女から、推しが私の存在を認識してしまったと聞いた。
推しに迷惑をかけるつもりはないので、これからより一層ノルケーシア様の前に姿を現さないようにしなければ。時間が経てば推しも、私の存在を気にしなくなるはずと思いたい。
ガルディー歴 1282年 四の月 八日
ノルケーシア様を攫った信仰団体の後始末をしているのだけど、案外しぶとい。
末端の者達も含めると対応が大変だ。とはいえ、此処で潰しておかないと後々ノルケーシア様が苦労する気がするので、徹底的にやることにする。
ガルディー歴 1282年 四の月 十日
信仰団体の後始末は、お兄様からの依頼を受けて『黄昏賛歌』が対処しているという体を取っている。
いきなり『黄昏賛歌』が関わり出すと不自然に思われるから。
ちなみにカモフラージュのために他のギルドにも依頼をしてもらった。
お兄様が私のお願いを聞いてくれてよかった。やっぱりお兄様は何だかんだ妹である私には甘い。
ガルディー歴 1282年 四の月 十三日
私という転生者がノルケーシア様のためにと活発に動いているので、乙女ゲームの時間軸とは変わっている部分も多いのでそのあたりの警戒を怠らないようにしておく。
私のせいで推しの危機が増したらそれはそれで困る。
というかノルケーシア様を傷つける存在なんて許せないので、私は徹底的に調査は進めている。
ガルディー歴 1282年 四の月 十六日
ノルケーシア様に気づかれないように気をつけながら、のぞき見した。
誘拐された一件が思ったよりもノルケーシア様のトラウマになっていなさそうで良かった。
推しの憂いに満ちた表情もありだけれども、笑っていてほしいというのが本音だ。
ノルケーシア様はどんな表情をしていても麗しいけれど!!
ガルディー歴 1282年 四の月 十八日
ノルケーシア様はすぐに救い出したとはいえ、誘拐されたことは確かである。
だからそのことで口さがないことを言ってくる存在も居るらしい。どうにかそんなことを言いだす子供達を排除できないかと考えていたら、ノルケーシア様はご自身で彼らを黙らせていた。
流石、ノルケーシア様、かっこいい!!
私は推しのためになるべく先回りして解決しようと思っていたけれど、やり過ぎはいけないなと改めて思った。
だって自身でなんでも解決出来るようになった方がいいものね。そういう匙加減が難しいわ。
なるべくノルケーシア様自身で解決してもらうとして、どうにもならないことは私が動くとかにしないと。
そういう決意を祭壇に向かって私は祈った。
ガルディー歴 1282年 四の月 二十三日
ノルケーシア様の祭壇は日に日に、供えるものが増えている。
私が描くノルケーシア様の絵も少しずつ上手になっている気がする。描いた推しの数はそれはもう増えてきた。
救い出した際に生のノルケーシア様を間近で拝見出来たので、その時のことを忘れないうちに描かなければと気合を入れて描いたりしていた。
そのせいで少し寝不足になったりして、お父様達には心配されてしまった。
ガルディー歴 1282年 四の月 二十五日
信仰団体、やっぱりしぶとい。
これだけ気合を入れて潰そうとしているのに未だにちょろちょろしていて、本当に鬱陶しい。
早めにどうにかしておきたい。
このまま残っていてもろくでもないことをしでかす予感しかしない。
ガルディー歴 1282年 四の月 二十八日
お兄様がヒートティア侯爵家を継いだ。
早くない? 確かにゲームでも若くして侯爵家当主の座にはついていたはずだけど、もう当主?
お兄様は転生者でもないのにチートすぎると思うの。
なんでお兄様、ゲームだと名前しか出てこないキャラなんだろうか。
もしかしたら私が亡くなった後に続編が出てお兄様が主要キャラになっている未来とかありえる? なんだか、あり得そうな気がしてきた。




