「推しが攫われた!」
ガルディー歴 1282年 三の月 三日
今日も推しのことを見守る。今日も今日とて、ノルケーシア様は素敵だ。
ノルケーシア様のことを見つめていられるだけで私は幸せな気持ちになれる。
ガルディー歴 1282年 三の月 四日
お兄様からもらった魔獣の卵の様子を見る。まだ魔獣が産まれる気配はない。どんな子が産まれるのだろうかとワクワクしている。
使い魔をもっと増やすことが出来れば、動きやすくなるはずだ。
ガルディー歴 1282年 三の月 六日
信仰団体についての調査を進める。どうやら魔力量の多い子供のことを調べてはいるようだった。
一人とっ捕まえて尋問していたのだけど、その最中に自害されてしまった。対処していたつもりなのに困る。私もまだまだだ。
ガルディー歴 1282年 三の月 十一日
一人は捕まえられたけれど、他は警戒心が強いのか捕まえられない。
魔力量の多い子供を狙っているなら私が囮になることも検討すべきだろうか? ノルケーシア様が攫われるよりもその方がいい気がする。
ただし現状、私の魔力量については周りに知られているものではない。突然現れた魔力量の多い子供だと逆に警戒されて手を出さない気もする。
そもそもこうして警戒心の強い組織がどうしてノルケーシア様のことを狙うのだろうか?
侯爵家の嫡男を狙うだけの理由が何かしらある?
ガルディー歴 1282年 三の月 十三日
どうして信仰団体がノルケーシア様のことを狙うのか考えてみることにした。
見目の麗しさから惹かれて攫おうとしている? これは違うわね。好意があるのならばトラウマになるようなことをわざわざ行ったりしないはず。愛でたりするわけではなく、何かしらに利用しようとしている感じよね。
ノルケーシア様のことを傷つける存在を私は許せない。
ガルディー歴 1282年 三の月 十六日
今の所ノルケーシア様は穏やかに日々を過ごされている。
トラウマの起こった時期は、いつごろか明確に分からない。乙女ゲームでもノルケーシア様が話されていたのは十歳の誕生日を迎えた後だと言っていた。
だけど、いつ頃なのか分からない。
最大限の警戒をしているけれど、どうなんだろう? 私は推しを守れるだろうか。
ガルディー歴 1282年 三の月 十八日
『黄昏賛歌』に顔を出した。私の素性を知りたい仲間たちから模擬戦を申し込まれて負かしておいた。
私は本名や素顔なども含めてプライベートな情報を表に出すつもりはない。
ギルドメンバーのことを信頼していないわけではないけれど、大多数に私のことがバレてしまったらそれだけで広まるリスクが高い。
それに子供である私がギルドマスターであることって、周りからどういう反応をされるかも分からないし。
推し活のためにギルドを設立したのだから、ノルケーシア様にご迷惑をかけないようにしないとならないの。
ガルディー歴 1282年 三の月 二十日
貴族が『黄昏賛歌』を訪れたので、話し合いを行った。
私が人形の姿で動いていることは把握しているらしく特に文句を言われることもなかった。
人によっては姿を現さずに人形の身であることを無礼だという人もいるものね。
でもそういうことを言う人はそもそも『黄昏賛歌』に依頼をしないでほしいとは思うけれど。
その家の子供が狙われているらしく護衛を頼みたいとのこと。どうして自分達で自衛をしないのかも不思議だが、どうやら身内に裏切者が居そうとのこと。
貴族家も色々大変よね、とそんなことを思った。
私はノルケーシア様を守るための対応で忙しいので、テレミア達に任せておくことにする。
ガルディー歴 1282年 三の月 二十二日
子供が狙われている件は、ノルケーシア様のトラウマ案件と関わりがあるのかどうかはきちんと調べておくことにする。
もし同じように狙われる可能性があるというのならば、それはそれで対応が必要だ。
ガルディー歴 1282年 三の月 二十五日
お兄様から連絡があった。なんとびっくり、お兄様も狙われたらしい。
お兄様を狙うなんて命知らずでしかない。私のお兄様は凄いのだもの。私は絶対にお兄様だけは敵に回したくない。
ガルディー歴 1282年 三の月 二十六日
推しが攫われた。
ガルディー歴 1282年 三の月 二十七日
なんとか、推しを救出することが出来た。時間がなさ過ぎて、生身で突撃することになってしまった。
人形の手入れはしていたけれど、それよりも私自身で救出に向かった方が手っ取り早そうだった。
攫われた推しのことを救出し、後処理はテレミアやお兄様に任せておいた。
姿は……おそらく見られていないはず!! と思いたい。




