「推しのトラウマ回避のための準備」
ガルディー歴 1282年 一の月 一日
年が明けた。やることが多すぎて時間が経つのが早い。
今年は推しのトラウマ案件の出来事があるのでもっと準備が必要だ。本当に全然情報が集まらないのがもどかしい。でも焦りは禁物だ。
ガルディー歴 1282年 一の月 四日
このように焦っている時は、やはり推しのことを考えるに限る。ノルケーシア様のことを思い浮かべるだけで、焦りの心も無くなっていくような感覚。
やはり、推しは神様みたいなものよね。推しがいるだけでこう、人生が輝いている。
ガルディー歴 1282年 一の月 七日
テレミアと会議を行った。二人だけの会議もよく行っている。私とテレミア二人だけで情報共有しなければならないことは沢山あるから。
テレミアは会議の時は、小さな人形の方がいいなどというのでその人形で参加している。膝に乗せられていた。
可愛いものがテレミアは好きなのだ。でも会議内容は真面目だよ。
ガルディー歴 1282年 一の月 十日
今日はギルドメンバーに調合を教えた。あくまで私が自己流で学んだものだけど、これから調合を学び始める人たちにとっては学びになるらしい。
向上心があるのは良いこと。
ギルドメンバーの中にはいつか私の本当の姿を見たいと望む人も多いみたい。
――私に勝てたらね?
と、そんな風にとりあえず言ってごまかしておいた。
ガルディー歴 1282年 一の月 十四日
戦闘能力向上のため魔物討伐に赴く。これまで戦ったことのない魔物との戦闘は良い経験になる。
この世界には危険な魔物が幾らでもいるのだ。私としてはありとあらゆる魔物と戦って是非とも情報を集めたい。だってそうしたらノルケーシア様の危機に駆けつけられる。
私の戦った魔物図鑑でも作って、ギルドにおくのもいいなぁ。情報って武器だしね。
ガルディー歴 1282年 一の月 十七日
やっぱりノルケーシア様を狙う信仰団体が見つからない。トラウマ案件が起こらないならそれはそれでいいけれど、でもやっぱり調べておきたい。
これだけ調べて出てこないからこそ、乙女ゲームの時間軸で侯爵家の嫡男であるノルケーシア様が攫われるに至ったのだろう。
だって普通なら侯爵家の息子が攫われるなんてありえない。敵は強大だ。
ガルディー歴 1282年 一の月 十八日
お兄様から連絡が来た。幾つか信仰団体をピックアップしてくれた。
「この中にお前が探しているのはあるのか?」などと問いかけてきた。
私が全部知っている名前だというと、少し不服そうにしていた。私の求めている情報を集めて、喜んでもらいたかったのだろうか?
お兄様って案外かまってちゃんな部分がある。本人に言ったら怒られそうだけど。
ガルディー歴 1282年 一の月 二十二日
両親と一緒にお出かけをした。普段はいかない街へと行ったの。
お母様の知り合いのところに行くんだって言われていったのだけど、初めて行く街って楽しい。
私は『黄昏賛歌』のギルドマスターとして色んな街に行ったことはあるけれど、ただのクライネアという私として出かけることってあまりない。
私はギルドに居る時は口調とか雰囲気とかもがっつり変えているから、バレる心配は今の所ない。でも警戒は必要。少なくとも乙女ゲームの終わる時期までは隠したい。一番は一生隠すことだけど。
ガルディー歴 1282年 一の月 二十三日
何だか色んな事を頑張っていたら風邪を引いた。微熱程度なのにお兄様が滅茶苦茶心配しているのか下僕さんをよこしてくれる。それに高価な薬も。大げさすぎる。
でもこの世界、私ぐらいの年頃だと風邪で亡くなったりすることもそれなりに多いみたい。
そういえばお兄様って風邪を引いたこともなさそう。私が知る限りはない。私もこれからは風邪ひかないように気をつけよう。
ガルディー歴 1282年 一の月 二十五日
風邪もすっかり治ったけれど、お兄様もテレミアも無茶をするなという。
人形の身体でギルドマスターとして動くぐらいいいじゃないって思うのに、大人しくして居てって。
二人とも本当に心配性だなぁ。
私は大丈夫なのに。
でも心配をかけているのはそうなので、大人しく推し活して過ごしていた。
ガルディー歴 1282年 一の月 二十七日
ようやく推しにトラウマを与える信仰団体の名前が分かった。でも名前が分かっただけで、まだ詳細は分からない。
何をして、どんな風にノルケーシア様を攫うのかなども分からない。
それに名前だけ分かっても実態が分からない状況では動きようがない。本格的にもっと調べないと。




