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推し見守り日記~見守りたい彼女と捕まえたい彼の攻防記録~  作者: 池中織奈


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「この世界の信仰について」

 ガルディー歴 1281年 十一の月 一日


 今日は神殿へと赴いた。私は前世の記憶があるのもあって、そこまで信仰心は強い方ではない。

 やはり前世が邪魔してしまって、どうしてもこの世界の考え方とは乖離してしまっている部分がある。だから私は他の同年代の子供達と比べると変わっているのだと思う。

 両親はお兄様という天才が居たから、私が少し変わっていることぐらい気にしていなかった。そう考えるとお兄様が居てくれて良かったな。



 ガルディー歴 1281年 十一の月 三日


 この世界には様々な神様がいる。それこそ人々から信仰を集めている神様も居れば、周りから忌み嫌われている神様だっている。

 その神様への信仰を続けると、加護なんてものももらえたりすることはあるらしい。

 というか、神様って人の思考とかを覗き見たりすることが出来るらしいので、もしかしたら私のノルケーシア様への溢れんばかりの気持ちも察知されているかもしれない。

 そう考えると少しだけ恥ずかしいけれど、勝手に見られてしまうものはしょうがない。



 ガルディー歴 1281年 十一の月 六日


 今日は『幻妖の魔女』としてお仕事をした。

 有難いことにお兄様のいる侯爵家からの依頼だった。ただ別にお兄様が私が妹だからと忖度をしたわけじゃない。ギルドに頼んだ方が良いことがあり、結果として我がギルドを選んでくれただけ。

 人形の姿で赴いたら、お兄様の下僕の一人は文句を言っていた。私の会ったことのない下僕の一人だ。お兄様は寧ろその下僕に対して不機嫌そうにしていて、悪いことをしてしまったなと思った。

 私が『黄昏賛歌』のトップであることは、ほとんど周りに知られないようにしているから。

 お兄様と二人っきりの時に信仰についての話をした。お兄様は神様なんてものを信じていないらしい。お兄様らしい。


 

 ガルディー歴 1281年 十一の月 十一日


 情報収集をしていても相変わらずノルケーシア様を狙う信仰団体は見つからない。

 こんなにうまく情報が集まらないなんて、少し焦ってしまう。転生してから物事が上手くいくことが多かったのに、やっぱり挫折も色々味わってしまう。

 ただノルケーシア様のトラウマだけはなんとか回避しないと。



 ガルディー歴 1281年 十一の月 十四日


 今日は子供達の集まりでノルケーシア様のことが噂されていた。ノルケーシア様のことならいくらでも語れる自信はある。

 ただし私は推しに悟られずに推し活をすることを目標にしているので我慢した。

 ノルケーシア様の素晴らしさが周りに広まっていることはとても良いことだ。寧ろノルケーシア様のことを悪く言う相手に関してはどうにか対処したい。ただし表立っては難しい。推しのファンを秘密裏に増やす活動もしたくはある。



 ガルディー歴 1281年 十一の月 十七日


 ノルケーシア様のファンを増やすにしても、『黄昏賛歌』として動くわけにもいかないから、そのあたりも考えないと。

 ノルケーシア様のことを悪く言う相手を改心させられるような一手が打てればいいけれど難しい。



 ガルディー歴 1281年 十一の月 二十日


 『黄昏賛歌』加入希望者への対応を進める。面談などは結構疲れる。話していて楽なタイプの人間ならいいけれど、自慢話ばかりする人には少しだけ不快な気持ちになった。

 あとは人形愛好家みたいな相手とか。

 そう言う人は私の操る人形に興味津々だった。私の作る人形に興味があるらしいけれど、今のところは人に渡す気はない。



 ガルディー歴 1281年 十一の月 二十二日


 お手製の人形を気に入る人が居るのは悪いことではないけれど、何に使われるか分からない状態で渡すのはリスクの方が高い。

 だって自分の作ったものがそれこそ人を傷つけたり、命を奪ったりすることに使われる可能性だってある。

 幸いにも私のことをよく知る人たちは、悪いことをしようとかはしていない。だから私は恵まれてはいるけれど、悪い人なんて幾らでもいるから気を付けておく必要がある。



 ガルディー歴 1281年 十一の月 二十四日


 お兄様が神様から加護をもらったらしい。

 信仰心の欠片もないお兄様で、唯我独尊を地でいくのにどうして神様が? と思うけれど、そんなお兄様だからこそ気になったのかもしれな。お兄様の美貌とか、天才肌な部分とかを気になったのかな? お兄様も罪作りな男だ……なんて思ったり。



 ガルディー歴 1281年 十一の月 二十六日


 お兄様の加護の影響が私にまで来ている。どうして? と思ってお兄様に問い合わせた。

 連絡用の道具越しのお兄様の声が少し途切れてびっくりした。通信障害でも起こっているのかと心配したけれど、そうじゃなかった。

 お兄様は「……俺がクライネアのことうを心配しているからだ」とぼそっと言われて、思わずニマニマしてしまった。お兄様のことをついつい揶揄ったらぶちっと通信をきられた。

 お兄様は案外照れ屋な部分もあるんだなと笑ってしまった。



 ガルディー歴 1281年 十一の月 二十八日


 神様からの加護的な者も受け取ったお兄様はやっぱり人気者らしい。

 お兄様って本当になんでも出来るよね。私にとって自慢のお兄様だ。


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