「悪役令嬢ちゃんのことと、推しのトラウマについて考える」
ガルディー歴 1281年 九の月 一日
少し困ったことになった。
例の悪役令嬢ちゃんが『黄昏賛歌』に興味を抱いてしまっている。
そのこと自体は構わないけれど、私個人としては加入させない方がいいのかもと思ったりする。
だって『黄昏賛歌』はノルケーシア様を幸せにするために設立したものだ。
悪役令嬢ちゃんが『黄昏賛歌』に加入するとしたらどうなるんだろう?
ガルディー歴 1281年 九の月 十日
悪役令嬢ちゃんのことを沢山考えていた。
加入したいと望む人に、どう接するべきなのか。
ただ色々悩んだ結果、ただでさえ私がこうして動き回って、『黄昏賛歌』なんてギルドも作っているのだから乙女ゲームからは明確に既にずれている。
なら、深く考えすぎてもどうしようもないだろう。そんな結論に至った。
ただ悪役令嬢ちゃんはまだ子供だし、よくよく確認してみると親からは反対されていたらしい。
そもそも悪役令嬢ちゃんは跡取りだし、その辺も難しいよね。
ガルディー歴 1281年 九の月 十二日
跡取り問題とかってややこしい。私の家は分家筋だ。お兄様が養子にいったから、一応私が継ぐ形。とはいえ、分家筋なだけで特に私の家自体が爵位があるとかそんなわけでもない。だから特に跡取りが居なくてそのままお家がなくなったとしても、誰も気にしない程度だ。
でも推しであるノルケーシア様の家とか、悪役令嬢ちゃんの家とかは私の家とはくらべものにならないぐらい重要な家なんだなと実感した。
ガルディー歴 1281年 九の月 十九日
悪役令嬢ちゃんは、そういえば乙女ゲームの中では王族の婚約者になる場合もあった。
ヒロインの選択肢次第でそれも変わった。悪役令嬢ちゃんが王族に嫁入りする場合は、確か分家筋から悪役令嬢ちゃんの家を継ぐ人を迎え入れていたはず。
どちらにしても悪役令嬢ちゃんが『黄昏賛歌』に入ったとしても、普通のギルドメンバーのようには過ごせない。跡取りである事実は変わらなくて、護衛たちも同行するだろうし、何かあったらギルドの責任になるだろう。
少なからず、特別視することを求められてしまう。
私は悪役令嬢ちゃんだからというよりも、そう言う対応を誰かにする気はない。ギルドメンバーはあくまでギルドメンバーでしかない。
だからその辺のことを伝えて悪役令嬢ちゃんの加入は断った。
ガルディー歴 1281年 九の月 二十五日
今月は悪役令嬢ちゃんのことで色々バタバタしていた。ただその間もきちんと依頼をこなしたり、一生懸命頑張ったつもりだ。
時間が経つのはあっという間で速い。
ガルディー歴 1281年 十の月 一日
今日は推しのことを見守った。時折、推しのことを見守るのも私の日課だ。
やっぱりノルケーシア様って美しい。まずビジュが私の好みドンピシャなのよね。
推しを作る理由ってやっぱり見た目からというのもある。
ガルディー歴 1281年 十の月 六日
両親と一緒にお出かけをした。
たまにこうして親孝行をするのも楽しい。ノルケーシア様の髪色の花などを見かけてつい購入してしまった。推しの色は、とても特別なものだ。
ガルディー歴 1281年 十の月 十三日
国内のギルドの集まりに呼ばれたので、人形の姿で参戦した。
基本的にテレミア達にいってもらっていたけれど、今回は私も行った。
人形を美しいドレスで着飾らせた。そういうのも楽しかった。私は可愛い服を人形に着せるのとかも好きだ。自分で着るのも好きだけどね。
ガルディー歴 1281年 十の月 十六日
来年は推しのトラウマ案件が起こる予定だ。乙女ゲームでは少なくともその時期だった。
情報収集は怠らないようにしている。ノルケーシア様がトラウマを抱えてしまうのは、とある信仰団体が誘拐事件を起こすことから始まる。
そのあたりの情報は知っているけれど、乙女ゲームだとあくまで断片的にしか情報は集まらなかった。
一番は推しが攫われないようにすることだけど、難しい。
ガルディー歴 1281年 十の月 二十四日
『黄昏賛歌』のメンバーにも情報収集を楽しんでいるのに欲しい情報は集まらない。
ギルドを設立してからそのあたりの情報は集めているのになかなか得られない。
もっと情報収集に特化したギルドメンバーも欲しいな。隠密部隊的な。戦闘能力が高いことも当然重要だけれども、そういう情報を集めてもらうことも重要。
お兄様にも聞いてみたけれど、お兄様の方でもそこまで情報は持っていないみたいだった。
まだ何も事を起こしていないから、表に出ていないらしい。
ガルディー歴 1281年 十の月 二十九日
乙女ゲームの中でもノルケーシア様のトラウマとして語られていた事件は、一部のイベントでしか語られない。
ノルケーシア様はそのトラウマをヒロインに語り、そしてヒロインが寄り添うといったスチルがあるの。とても素晴らしいものだった。
その場面を現実で見たい気持ちはあるけれど、推しのトラウマ案件が起きないことが第一だ。




