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推し見守り日記~見守りたい彼女と捕まえたい彼の攻防記録~  作者: 池中織奈


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「貴族からの依頼と、『黄昏賛歌』の歩み」

ガルディー歴 1281年 八の月 一日


 最近はとても暑くて、少しだけ参ってしまう。

 去年よりも温かい。魔法具で対策はしているから外出も問題はないけれど、推しは暑さにそこまで強くないからその辺も心配だ。

 ノルケーシア様が倒れることがないように気を付けておかないと。



 ガルディー歴 1281年 八の月 二日


 やっぱり推しは暑さから少し体調を崩しているようだ。

 テレミアに指示を出して、一人侍女としてノルケーシア様の傍へと派遣する手続きをしている。だってノルケーシア様に何かあるのは嫌。

 乙女ゲームの世界ではトラウマになる出来事が起こるのは来年だけれども、その前に推しの身に何か起こるのだけは避けたい。

 流石にゲームの時間軸では、実家でノルケーシア様がどう過ごしていたか、侍女をどれだけつけているかなども分からなかった。でも今はこうして知ることが出来るから幸せなことよね。



 ガルディー歴 1281年 八の月 五日


 『黄昏賛歌』に貴族からの依頼が来た。それも五つの筆頭侯爵家のうちの一つから。

 残念ながらノルケーシア様の家ではない。それにお兄様の所とも違う。というか、お兄様の場合は一人でなんでもこなせるタイプだから、ギルドに頼むとかはあんまりしなさそう。

 自分の家だけで解決しそうなそんな雰囲気。

 その依頼はご息女が魔物討伐に行きたいから同行してほしいという話だった。なぜわざわざギルドに? と思ったけれど、嬉しいことに『黄昏賛歌』に憧れているそうだ。

 それにご息女ちゃんは、乙女ゲームの悪役令嬢枠の子だった。



 ガルディー歴 1281年 八の月 七日


 貴族からの依頼は私は行かないことにした。少しだけ悪役令嬢ちゃんのことは気になるけれど、わざわざ関わるつもりはない。

 私は推しを見守りたいと思っているだけであって、推しに悟られる可能性のある接触は避けたい。悪役令嬢ちゃんって、ノルケーシア様の昔馴染的な立場の人だもの。



 ガルディー歴 1281年 八の月 九日


 今日は推し活を進める。

 ノルケーシア様を拝むことにしている日だ。

 毎日は無理だけどノルケーシア様をのぞき見出来るのが本当に嬉しい。ノルケーシア様をのぞき見しながら描く肖像画。それを祭壇に捧げる行為も好きだ。

 あとノルケーシア様の声を聞けると、変な声をあげそうになる。なんというか、ノルケーシア様の声も好き。

 前世だと当然のことながら声優さんが演じていた。だけどこう、現実の声はまたちょっと違うというかなんとうか、ノルケーシア様の声だけど、ゲームとはまた違う印象。

 私に呼びかけられたわけでもないのに、その声を聞いているだけで幸せな気持ちになった。



 ガルディー歴 1281年 八の月 十一日


 推しの声をどうにか合法的に録音して手に入れることが出来ないだろうか?

 それを私は真面目に考えている。

 それこそシチュエーションボイス的な。でもこの世界だとそういうのないからなぁ……。

 忍ばせる予定の侍女に交渉を頼む? でも声を保存させてほしいとか、変に思われるかな。

 一旦、我慢しよう。



 ガルディー歴 1281年 八の月 十二日


 テレミアからの報告を受けた。

 悪役令嬢ちゃんとの冒険では、イレギュラーなことが起こったらしい。それこそその場に出るはずのない魔物が出たんだとか。『黄昏賛歌』のメンバーがちゃんと対応してくれたけれど。

 どうやら裏で別組織が暗躍してそうらしく調べてもらうことにした。



 ガルディー歴 1281年 八の月 十六日


 暗躍している裏組織について調べてもらったのだけど、テレミアの住んでいた村を狙っていた一味ではあるようだ。

 テレミアがそれを知って、私にその組織を潰す許可を求めてきた。もちろん、好きにやって構わないと伝えておいた。

 


 ガルディー歴 1281年 八の月 二十日


 今日は人里離れたところで魔物討伐をして、水浴びをした。

 川とかだと、魔物もいるけれど対応出来るから問題はない。

 お兄様には「人が周りに居ないとしても、外で水浴びをするな」と怒られた。もしかしたら覗かれるかもしれないって思ったのかな。一応、今後はやめておこう。



 ガルディー歴 1281年 八の月 二十二日


 裏組織は無事潰れたらしい。それとテレミアの昔の知り合いも一人は助けられたと。

 再会を喜んでいて、なぜか私が感謝された。私、何もしてない。頑張ったのはテレミアだし、自分で自分を褒めればいいと思うよーってなった。

 それにしても他の人達は売られたりしているらしい。もしかしたら死んでいるかもっても聞いた。

 この世界って、前世よりも人がバンバン死んでいくから怖いなって思った。



 ガルディー歴 1281年 八の月 二十五日


 貴族の依頼を受けたり、裏組織が潰したりしたのもあってより一層『黄昏賛歌』の名が広まってきた。

 とてもいいこと。

 私はそこまで依頼を受けてはいないけれど、みんなの頑張りで私の名も更に広まっているらしい。


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