「『黄昏賛歌』のメンバーとの邂逅と、『幻妖の魔女』」
8/8 二話目
ガルディー歴 1280年 三の月 一日
数日後に『黄昏賛歌』のギルドホームに人形を操って向かう。
ちょっと緊張している。魔法で視界も共有させるし、基本は問題のないはずだけど……。
人形の私を見て姿を現さないことで文句を言う人は居るかもしれない。
それでも私は自分自身が表に立つ気は現状全くない。
ガルディー歴 1280年 三の月 五日
人形自体はクシュ経由でギルドホームへと運んだ。
やっぱり影に潜れるのはとても便利。クシュが私の使い魔で良かった。
明日はギルドメンバーたちに挨拶をする。どうなるかな?
ガルディー歴 1280年 三の月 六日
ギルドメンバーたちと挨拶をした。人形の姿である私を見て反発もあったけれど、模擬戦で徹底的にやった。
人形越しで魔法を使うことって、少し心配だった。でも上手く出来たようでほっとした。
人形遣いの魔法を模擬戦のようなもので使うのが初めてで少し心配だったけれど、上手くいってよかった。
それにしても視界を共有して、自分の身体ではない人形の身体を遠隔で操って、人形を媒介にして魔法を使うのは凄く疲れた。
もっと私も頑張らないと。
ガルディー歴 1280年 三の月 九日
人形を遣ってギルドメンバーと一緒に依頼を受けに行ったりしてみた。
上手く依頼をこなせてよかった。やはりまだ長時間は人形を扱うのは難しい。
ただこうして一緒に依頼を受けることでギルドメンバーから認めてもらえていて嬉しい。
ちなみに言葉に関しては、声を変えて発している。ギルドメンバーは誰一人、私が八歳の女の子だとは察していないので上手くやれていると思う。
ガルディー歴 1280年 三の月 十二日
魔法の練習を必死に行っている。
クシュの視界をかりることが出来るようにもなったので、ちらっとノルケーシア様をのぞいてもらった。
ただノルケーシア様はチェレンダ侯爵家の嫡男なので、のぞき見するのも大変だったりする。
もっとノルケーシア様に迷惑をかけないような範囲で見守れるようにしないと。
ガルディー歴 1280年 三の月 十五日
今日は両親と一緒にお出かけをした。分家筋の娘として、同じ分家の子達と交流が必要だったらしい。
ここが乙女ゲームの世界だからか、綺麗な顔立ちの人が多い。一番はノルケーシア様だけど。
ガルディー歴 1280年 三の月 十六日
人形に関しては戦闘特化のものと、別の雑用をするものなど分けてみることにする。
回復系の魔法を使うためには、それ特有の素材を使った人形の方が魔法が通りやすかったりとかもあるしね。
人形遣いの魔法って奥深い。
前世の乙女ゲームをプレイしていた時は、人形遣いの魔法が此処まで奥深いものだとは思っていなかったからびっくりだ。
ガルディー歴 1280年 三の月 十八日
今日は一日中素材集めに勤しんだ。
今月は人形の姿で『黄昏賛歌』の依頼を受けたりなども必死にやっているから、素材が足りなくなってきたのだ。
在庫管理って大変だ。
ギルドメンバーで怪我をした人にも薬を渡したりしたからその分減ったのだ。
ちなみにギルドに薬を卸した分は、テレミアと相談して報酬を受け取っている。他で買うよりは全然安くはすんでいるはず。
あとはそのうちギルドメンバーに調合出来る人を増やして、その人にも薬を準備してもらうようにしたいって話もしている。
ガルディー歴 1280年 三の月 二十一日
『黄昏賛歌』のメンバーの一人として人形を遣って依頼を何度か受けて、無事に成功させている。
私が『黄昏賛歌』のトップであることも、ギルドメンバーたちには認めてもらえた。
ちゃんと力を示しているからだから、もっと力をつけたい。
一切姿を現さないというのもあって、『幻妖の魔女』などと呼ばれ始めているらしい。
何だかかっこいい二つ名! 確かに正体不明だし、そういう呼び名もされるもんだなって思った。
ギルドメンバーからはマスター呼びされていて、名前も出さない徹底ぶりしているしね。
ガルディー歴 1280年 三の月 二十三日
お兄様も私の呼び名を知っていて、揶揄われた。
なんだか直接二つ名を呼ばれるとちょっと恥ずかしかった。
お兄様は私が頑張っているって褒めてくれたから、それは嬉しいけれど!
ガルディー歴 1280年 三の月 二十六日
『黄昏賛歌』は素晴らしい活躍をしている。私も嬉しい。
ただその活躍を面白く思わない人も当然居る。他のギルドの一つに喧嘩を売られていると聞いた。
どうにかしないとね。
それにしてもあくどいことをやってまで私達を潰そうとする人ってどうなんだろうね? 私はそう言う人たちに容赦をする気はない。




