第36話 3日目の長い夜 ⑤
今の時刻は9時30分。
楓真は、みくに渡されたメモに書いてあった場所へとやってきた。
(宿舎の裏ってここで合ってるよな……?)
楓真たちが出入りしている宿舎の正面玄関の方ではなく、宿舎の裏側にある小さな場所だ。
(あれ……先にいるって書いてあるのにな…………)
メモには、先にみくがいると書いてあった。
(まぁ……待つか)
楓真は、宿舎の壁にもたれかかって夜空を見上げる。
(今日で終わりか……。みくと見た初日の星を思い出す……)
楓真はそんなことを考えながら、みくを待った。
(初日からいろいろあったよな……林間学校。みくの料理……女湯事件…………蒼桜が迷子になって……山の中さまよったっけ……今日は今寺さんといろいろ話したいこと、話すことできたし……)
楓真はふと、スマホを見る。
(……? もう5分も過ぎてる……流石に遅くないか……? ちょっとみくに電話してみるか……)
楓真はみくに電話をかける。
呼び出し音が数回なったが、みくは出なかった。
(おかしいな…………じゃあ、1回蒼桜にかけてみるか……)
蒼桜はすぐ電話にでた。
『楓真? どうしたの?』
「お前って確か……みくと部屋一緒だったよな?」
『そうだよ? みくちゃんがどうかしたの?』
「今、部屋にいるか?」
『いないよ? さっきジュース買ってくるって出てったきり、帰ってない』
「ジュースを買いに?」
『うん』
「何分前くらいだ?」
『えっーとね……20分くらい?』
(ならもう、とっくにここに居たっていいはず)
『20分? いくらなんでも遅くない!?』
「いや……気づけよ……そこは…………てか、ジュース買うだけなら5分もかからないだろ……。あと、どこかに行くとかは言ってなかったか?」
『うん。ジュース買うとしか言ってなかった』
「そうか……ありがとう! 蒼桜。じゃ……」
楓真は電話を切った。
「一応……探してみるか……」
ーー20分前ーー
「はぁい! 私の勝ちぃ!」
みくはフルハウスのカードを机のうえに置いた。
「えー! またフルハウスじゃん! みくちゃん強すぎるよぉ……」
蒼桜が、1枚も揃っていない手持ちカードを見せる。
「こういうゲームって運で勝つんじゃないんだよ。実力なんだよ?」
「うーわ……調子乗ってるぅー」
柚花はジト目でみくを見ながら、カードを集める。
「でも、なぜそんなに得意なのですか? カードゲーム」
「ちっちゃい頃、楓真に鍛えられたんだよ。あ、言っとくけど楓真はめちゃくちゃ強いからね……!」
立夏の疑問にたんたんと答えるみく。
その後、手元のスマホで時間を確認すると、柚花に向かって言った。
「……そろそろかな…………柚花ちゃん! 私、ちょっとジュース買いに行ってくる」
「おっけー。じゃあ次はみく抜きでやろうか……」
柚花はカードを3人分にして配り始める。
「じゃ……行ってくるね……」
みくはそう言い残して、部屋を出た。
階段をおりて宿舎のロビーに行く。
そして、みくは自動販売機の前まで行く。
(あ……これ………)
みくの目に止まったのは、昔からよく飲んでいる『いちごソーダ』だった。
(……あとで……買おう…………)
みくはそのまま自動販売機の前を離れ、宿舎の正面玄関から外に出た。
そして、みくはキャンプファイアーが行われていた広場へと向かっていく。
途中、片付けを終えた担当の実行委員とすれ違った。
みくがキャンプファイアーの広場に着くと、そこにはもう誰もいなかった。
みくは階段状になっている広場の入り口に、腰掛けて楓真を待つことにした。
(…………星、きれいだな……)
みくは夜空を見上げる。
(楓真に会ったら……なんて言おう…………)
そう思っているうちに、みくはだんだん眠たくなってきた。
(……眠たい……? もう………………)
みくは、そのまま横に倒れた。
「……い! みく! 起きろ!」
突然、みくの耳元で声がした。
「……ん。なにぃ……?」
みくが目を開けると、そこには楓真が立っていた。
「……楓真っ!? なんで?」
「なんで……って、お前に呼ばれたんだが……つーか! 呼ぶ場所間違えてんだよ! あのメモ絶対間違えたやつだろ!」
みくは状況がつかめず、ポカンとする。
そして、なにかに気づいたようにポケットを探る。
「……あ、ごめん。渡すメモ……間違えた……」
「はぁ……わかったよ……で、要件はなんだよ?」
「うん……あのね……………………」
続く
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次話、遂に林間学校編完結!!
楓真に綴る、みくの気持ちとは……!?
次話
第37話 最後の宴




