第34話 3日目の長い夜③
「…………『生徒会』って……なんなんだろうな……?」
またも沈黙が始まる。
「今寺さんは、生徒会ってどんなのだと思ってるの?」
「うーん……。私は……なんかもっといろんな人と関われるものなのかなって……」
「いろんな人と関われる……か。俺とは全く違うな……」
「立華くんは、どう思ってるの?」
彩葉が質問をする。
「……正直、生徒会なんて関わりたくもなかった。みくに誘われてなかったら絶対に入ってなかったよ」
楓真は少し苦笑して、そう言う。
(俺は、ただ単にみくとの高校生活を楽しみたかったんだけどなぁ……)
「だってさ、生徒会なんて、放課後残らなきゃいけないし、行事の運営とか準備とか、絶対に面倒くさいと思うんだよね……」
「え? そこが楽しいんじゃないの?」
「楽しい……?」
「だって、行事とかって準備期間が1番楽しいじゃない」
「そりゃ、そうだけどさ。と、いうか今寺さんも面白くないって言ってたじゃん……」
「だって……準備とか、運営とか私がやりたいこと……やらないんだもん」
「それは……今は行事がないだけで、文化祭とか来りゃやることはいくらでも降ってくるだろ?」
「ううん。そんなことはないよ。少なくとも『非公式生徒会』には」
「『非公式生徒会』には?」
彩葉は椅子から立ち上がり、楓真の方へ向き直す。
「私、入学してから2ヶ月半くらい、『非公式生徒会』について調べてみたの」
「……何か分かったの?」
「立華くんは、『非公式生徒会』がなんで全校生徒から嫌われているか知ってる?」
「えっーと、確か今の生徒会長……神崎先輩? が酷い噂を流したとかって……」
「そう。けど、私たちの代になってから、その酷い噂は少なくなったらしい。そしてもう1つ、紗千花先輩と、神崎先輩の仲が思っている数十倍も悪いということ」
「その噂も、2人が喧嘩してから始まったものらしいしな……けど、仲が悪いってどれほどのものなんだよ?」
「えっとね……例えるなら、魔王と勇者って言われた。神崎先輩は超がつくほどの完璧主義者で、ミスをした人は容赦なく切り捨てていく。けど、紗千花先輩はミスをした人を自分でカバーして、誰とも仲良くやっている……」
「価値観の違いってやつか……」
「あと、神崎先輩が理系で、紗千花先輩が文系てのもあるかもしれない……」
「あのさ、ふと気になったんだけど、その噂を流す原因になった2人の大喧嘩ってどんなんなの?」
「『非公式生徒会』ってもともと、紗千花先輩が生徒会の真似をしたくて作ったものらしいの。だからやることは普通の生徒会と同じ。ある1人の生徒会役員にスケジュールなんかを貰って活動していたらしい」
「ん? でもそれだと、生徒会のやることが無意味に……」
「紗千花先輩にスケジュールを渡していた役員は、勿論神崎先輩によって生徒会を辞めされられてる。ここから、『生徒会』と、『非公式生徒会』の干渉が難しくなった……」
彩葉は、さらに続ける。
「そして、これが問題になって2人の先輩で話し合おうってなったんだけど……。口論がヒートアップしていって……最後には、クラスメイトたちが、神崎派と、片谷派に分かれて殴り合いの乱闘に……」
「戦国時代じゃねーか……」
「実際にその当時は65人の乱ってあだ名がついてたみたい」
「なんかいろいろ混ざってんなぁ…………」
楓真の頭の中に、2.26事件、5.15事件、応仁の乱が思い浮かんだ。
「で、神崎先輩目線でいうと、この事件は勝手に仕事を奪われ、反乱を起こされた気分。そりゃ、『非公式生徒会』を嫌うのも無理ないよ……」
「反乱を起こされた気分……か……」
「この日から『非公式生徒会』の役目は、ほとんど生徒会に抑えられるようになって、学校の掃除くらいしかやることがなくなったんだって……」
「つまり、神崎先輩率いる生徒会が存在している以上、非公式生徒会は下手に動けない……と」
「そういうことだね。……私はもっと自由に何かに取り組めるものだと思ってたのにな……」
「じゃあ俺たちで、生徒会に申し出たらいいんじゃないか?」
「無理よ。非公式生徒会はあくまで同好会っていう扱い。生徒会は学校のトップの組織だし……話を聞いてもらえるかさえも分かんないよ」
「そっか…………」
(非公式生徒会。2ヶ月続いたんだし……)
「……突然だけどさ、今立華くんの考えてることと、私の考えてること……多分一緒だと思う」
彩葉は顔を上げて、楓真の方を見る。
「え?」
「せーので言おうよ。なんか、私当たってる気がする」
「違うよ? 多分……」
「せーの……」
楓真の否定の言葉をかき消すように、彩葉がせーのと言う。
「「非公式生徒会を辞めたい」」
「え…………?」
続く
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