表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/41

第33話 3日目の長い夜②

「立華くん!?」


「……いっ……今寺さん!?」


 宿舎の事務室の中にいたのは、今寺彩葉だった。


「どうしてここに?」


 彩葉が楓真に問いかける。


「俺は、倉庫の鍵を柚花から返してほしいって言われて……」


「どこの倉庫の鍵?」


「分からない。倉庫の鍵としか聞いてないから。それより、今寺さんこそなぜここに?」


「私も、食堂の鍵を返しに来て……」


「2人とも同じ境遇か」


 楓真は少し苦笑いした。


「ま、お互い早くキャンプファイアー行ったほうが良いだろうし、戻ろうか」


「うん」


 楓真と、彩葉は鍵を元の場所に戻してドアに向かう。


「…………うん?」

 

 楓真はドアに手を当てた瞬間、違和感を覚えた。


「どうしたの?」


 彩葉が覗き込む。


「今寺さん……もしだけど、ここから出られなくなったらどうする?」


「え? 出られなくなったら……って、そんなわけ無いでしょう? 早く出ようよ」


 彩葉は、少し楓真を急かすように言う。


 しかし、楓真はなかなかドアを開けない。


「え? どうしたの? …………まさか……」


「そのまさかだ。ドアが開かない……」


「えぇ? なんで? 立華くんちょっとどいて?」


 彩葉はドアの前に行く。


 ドアノブをひねるが、ドアは開かない。


「っ! 見てこれ!」


 彩葉はドアノブになにかを見つけたようで、楓真に教える。


「…………鍵穴がない……」


「うそだろ!?」


 楓真は彩葉に言われた通りに、ドアノブを見るが、そこには鍵穴がなかった。


「内側からは開かないようになってるのか……てかここ牢獄じゃねーんだから!」


 楓真はそう言いながら、事務室のなかを見渡す。


 ドアのすぐ左側には、机が並べられパソコンが置いてあった。右側には、楓真たちが持ってきた鍵を置く場所がある。

 

 奥には何やら机や椅子が並べられてあり、会議室みたいな感じになっていた。


 広さは学校の教室ほどしかない。


「今寺さん……スマホ持ってる?」


 彩葉はポケットを確認して言う。


「……持ってない…………立華くんは?」


「俺も部屋に置きっぱなしだ……」


「連絡手段もないかぁ……」


 彩葉は落ち込む。


「……変なこと聞くけど、今寺さんはキャンプファイアーどうやって過ごす予定だったの?」


「実行委員の私にそれ聞く?」


「え? そうだったの?」


「知らなかったの?」


 彩葉は少し笑って話始める。


「キャンプファイアーって最初に実行委員の劇、有志の出し物。で、最後にダンスだね」


「実行委員の劇、大丈夫なのか? おそらく俺たち、キャンプファイアーの開始時刻には、間に合わないと思うけど……」


「ううん。大丈夫。私、出演者じゃないから」


「あ、そうなんだ……」


「有志の出し物はダンスとか、歌とかかな。ダンスは適当に踊る感じ?」


「なんで疑問形なんだよ……? 俺が聞いたとこによると、男子同士、女子同士、もしくは男女で、なんでもいいからペアやグループ作って踊るみたいだけどな」


「だから、今日1日みんな誰と踊るとかいう話してたのかー。私も誘われたわー」


「誰かと踊るの?」


「いや、私は実行委員で忙しいから踊る人は決めてないなー。最後、柚花ちゃんと踊るかもしれないけど……」


「そういや、あいつも実行委員だからな……。あいつは劇出るの?」 


「うん。主役だよ」


「すげぇ……」


「てか私たち、完全に出ること諦めてるね……」


「まぁ、実際に出られねーからな……」


「ドアを叩いてたら、誰かに気づいて貰えないかな?」


「いや、宿舎の人もキャンプファイアーに行ってるはずだから、宿舎の中には多分俺たちしかいないはず……」


「そんな……じゃ、窓からとかは?」


「俺も考えてみたけど、小さすぎる」


「じゃあ、みんなが帰ってくるまで待たなきゃいけないってことかぁ…………」


「7時32分。キャンプファイアー始まったな……」


 楓真は、事務室に置いてある時計を見て呟く。


(みくとは、絶対に踊りたい。ダンスの時間がどれくらいなのかは分からないけど、8時半くらいまでには、脱出しておかないと……)


 楓真はそう思っていたが、脱出する術はほとんどない。


 薄暗い事務室で、楓真と彩葉は黙り込む。


 何分かその状態が続いた。


 沈黙を破ったのは、彩葉の一言だった。


「……非公式生徒会って……楽しい?」


「えっ?」


「……ほら、立華くんってほぼ強制的に、非公式生徒会に入ったから……実際楽しいのかなって思って……」


「うーん……。どうだろうな……。楽しいと言えば楽しいのかな。そりゃ、まだ俺だって蒼桜に振り回されたり、みくとの2人の時間潰されたり、片谷にいらついたりするけど、これはこれでいいのかなって最近思うようになってきた」


「……そっか……立華くんって青春してるんだね……」


「俺の思い描いた青春とは違うけどな……」


「……私は、あんまり楽しくないな……思ってたより、生徒会みたいな感じはしないし……なんか、遊んでるだけな気がするんだよね……」


 彩葉は非公式生徒会と、吹奏楽部を兼部しているのだ。


「吹奏楽のほうが楽しい?」


「……うん……」


「…………『生徒会』って……なんなんだろうな……?」


 続く

この作品が少しでも面白いと思ってくださった方はブックマーク、下の評価をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ