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第28話 蒼桜の誘い

 ブブッ ブブッ ブブッ


 楓真のスマホが震える。


「あ……そういや着信音切ってバイブにしてたな……」


 楓真はスマホを取り出し、画面を見る。


 『I.MIKU』


 と、スマホの画面には表示され、みくからの電話だった。


「みくか……」


 楓真は電話に出る。


「もしもし?」


『やっと繋がった……。楓真! 今どこ?』


「どこって……えっーと……川の横」


『川の横って……どこのよ?』


「そんなの知らねぇよ……お前らこそ、どこにいるんだよ?」


『分かんない……でも、山は下りてきたよ……?』


『お前に迎えに来てもらおうと思ってたんだけどな……』


 電話の向こうから悠希弥の声が聞こえる。


「悠希弥か? お前ら一緒にいるのか?」


『そうだよ。で、蒼桜ちゃんが見つからないんだけど……そっちはどう?』


「蒼桜なら隣にいるぞ……」


『えっ?』


 楓真はスマホを蒼桜に渡す。


「蒼桜だよ」


 蒼桜が電話に出た瞬間に、横にいる楓真にも聞こえるほどのみくの声が飛んできた。


『見つけたんなら電話しなさいよ! 楓真!』


「わっ……悪りぃ……って……」


(その蒼桜が電話かけるなって言ってたんだけどな…………)


『で、楓真! これからどうするの?』


「スマホのマップ機能で帰ってこれるか?」


『それが……バグってて表示されないの!』


「バグ!? どんな風に?」


『なんか……全然起動できなくて……強制終了されちゃうの……』


「それはお前のスマホが悪いんじゃ…………」


「はぁーー。分かったよ……。迎えに行ってやるから、その場所から見える物とか言ってくれ」


『えっーとね……赤い鉄塔が見える。それと……周りに田んぼが広がってる』


「赤い鉄塔? 分かった」


 楓真はそう言って電話を切る。


「蒼桜! スマホ貸してくれ……地図見る」


「…………」


「どうした?」


「……あの……その……充電……が……」


「切れそうなのか?」


「ううん……。無くなった」


「夜中に充電しとかなかったのかよ!」


「じゃあ、楓真のスマホ使えばいいじゃない」


「……俺のもあと3パーセントなんだよな……」


「人のこと言える立ち場じゃないでしょ!」


 蒼桜はパシンと楓真のあたまを叩く。


「痛って…………ん?」


 楓真はふと、横を見ると、道路が見え、そこに軽トラックが止まっている。


「呼んでる?」


 楓真は確かにそこから声が聞こえたのだ。

 

 すると、軽トラックから人が3人降りてきて、楓真たちのところまで来た。


「君たち……西条高校の生徒さんか?」


 先頭の50代くらいの男が楓真に聞く。


「あ、はい。そうです」


「なんでこんなところにいるんだ?」


「はぐれました」


「今朝の説明ちゃんと聞いてた? 班で固まってしっかりと歩くこと!」


 今度は右側にいた女性が言う。


「すみません……」


「はぁ、私たちが通りかかって本当に良かったわね。宿まで乗せてってあげるから、先生に連絡しなさい……!」


 そう言って、先生の携帯電話の番号が表示された携帯電話を渡される。


「…………もしもし、立華です。本田先生ですか? ……えぇ……はい、七星も一緒ですが……」


「えぇ……! あ、はい。そうです。今、ちょうど宿舎の方が通りかかって、宿舎まで送ってくれるそうで……」


「はい……はい……分かりました…………失礼します」


 楓真はそう言って電話を切る。


「ありがとうございました」


 携帯電話を宿舎の人に返し、蒼桜の方を向く。


「俺たちがいないことに気づいて、先生たちも探してくれていたようだ。今、みくたちも見つけたって……」


「良かった……」


「じゃあ、車だすぞ」


「「はい、お願いします」」


 こうして楓真と蒼桜はようやく宿舎への帰路についた。


 続く




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