第29話 肝試しの始まり
「じゃあ、車だすぞ」
「「はい、お願いします」」
こうして楓真と蒼桜はようやく宿舎への帰路についた。
そして夜になったーー
「しゃ、今から肝試しだ!」
楓真はハイテンションで宿舎の外へ出る。
その後を悠希弥が追いかける。
「お前……分かってんのか? 林間学校帰ったら俺ら反省文5枚だぞ? さっき2時間くらい怒られたの、もう忘れたのかよ……」
「そんなこと、もうどうでもいいんだよ……それより俺はこの肝試しのペアをどうしてもみくと……なるんだ……」
「あーそれな……自分たちでペアを作るんじゃなくて、くじ引きでペアを決めるって、実行委員のやつらが言ってたぞ……」
「え? うそだろ?」
「残念だが、これは本当だ……」
「まっじかよぉぉぉ!!」
「残念だったな」
「いや、でも待てよ……。このクラスの女子は21人いるだろ……男女ペアだとすると、21分の1でなれる……。けど、他の男子と当たる確率もあるから…………うーん……えっーと…………」
「5組こっち来てーー!!」
楓真が一生懸命計算している間に実行委員このうちの1人が、楓真のクラスに集合をかける。
「じゃあ、今からくじ引きを始めまーす!! まずは男子からくじを引きに来て!」
楓真たちは言われた通り、1列に並んでくじを引いていく。
「8だ……」
楓真が引いたくじには、『8』と書かれていた。
「よーし! じゃあ次は女子来てー!!」
実行委員の掛け声で女子が並び、順にくじを引いていく。
(頼む……頼む……8だ……8を引いてくれ……みく……)
楓真は、祈るように願った。
「じゃあ、自分と同じ番号の人とペアになってーー!! その番号順に行ってもらうよーー!!」
みんなが自分の番号を読みあげて、ペアを探し出している。
「8! 8の人ー!」
楓真も同じように、自分の番号を言う。
「8の人いるー? 私8だよー」
その横で8の番号の人がいる。
「8ー! はっ……」
「8いるー? はっ……」
そこに対峙したのは、楓真とみくだった。
(えっ! えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!! 本当にペアになれたーーーーっ!!??)
「楓真……8?」
「あぁ、8だ……」
「よろしく……ね……」
みくが顔を赤らめて挨拶する。
「あ、あぁ、よろしくな……」
(キタァーーーー!! まじかよ……運良すぎだろ……俺……天才か?)
楓真のテンションはさらに上がっていた。
「順番にコースに沿って進んでいってねー!!」
実行委員がスタートをかけるーー
「次、8番のペア! いってらしゃい!」
楓真と、みくは実行委員に見送られて肝試しのコースへと、進む。
しばらく進んだところで、みくが声をあげる。
「……楓真…………手……繋いでも……いい?」
「えっ……えっ……いっいいよ……」
(みく……ちょっと震えてる。絶対怖がってる……かわいい……)
楓真とみくは手を繋ぐ。
(ん? そういえばみくって……怖いの駄目だった気が……)
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「……っ!? なっなに?」
楓真はみくの方を向く。
そこには、実行委員が取り付けたであろう、顔のついたおもちゃのちょうちんがあった。
「なんだよ……おもちゃのちょうちんじゃねーか……」
「……そういう楓真も震えてるじゃない!!」
「いや! 今のはお前にビビったんだよ!!」
楓真がツッコむ。
「この先もっと怖いのあるらしいけど、大丈夫か?」
「大丈夫! 大丈夫! さぁ行こう!」
みくが怖さを紛らわすために大きな声で言う。
(幸先の悪りぃスタートだな……)
しばらくは何もなく、楓真とみくは歩き続ける。
「なんだ……結構余裕じゃん! いけるいける! 肝試しっていっても、大したことないねー!」
「大丈夫かよ? それに多分これ……いきなり来る系だろ」
楓真はそう言ったが、みくは聞いてないふりをする。
しかし、楓真の予想は見事的中した。
「ぐぁぉぉぉぉぉ……」
奇妙な効果音とともに、ピエロのような大きな頭に、血しぶきが飛んでいる服を着た人が、楓真とみくの頭上から現れた。
「いっ……きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「おいっ! みく!!」
みくは楓真の手を振り払って走り出した。
「待てって……!」
続く
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