第21話 女湯
「…………えっ……」
「……みく……?」
お湯の中から顔を出した楓真は、そこに立っていたタオルに身を包んだみくと目が合った。
「……ふうま……? なんでここにいるの?」
みくは口を開けて固まる。
「……みくこそ……てか、ここ…………」
楓真はここでようやく、事の重大さに気が付いた。
そこには、さっきまで暴れていたクラスメイトたちの姿はなく、タオル1枚に身を包んだみくがいた。
「なんで……? 楓真が女湯にいるの?」
純粋な質問。
みくからすると、訳がわからないだろう。
「みく待って……これは事故でして…………」
「とにかく! もうみんな来るから……早く帰って……」
みくは恥ずかしそうに顔を下に向けて、楓真に言う。
「わっ……わわわ……分かった……けどっ! どっどこから……!」
楓真も困惑しながら、あたりを見回す。
しかし、男湯の方は高い壁が設置され、運の悪いことに、女湯側の岩は登れないほど、そびえ立っていた。
「あーもう! とりあえず隠れといて!! みんながあがるまで、隠れるしかないよ! 先に入ってたのが、私でよかったね……」
ガヤガヤ……
屋内のほうから話し声が近づいてくる。
「やっやばいって……!」
がらぁ!
その時、屋内に繋がるドアが開けられた。
(終わった……)
楓真は死を覚悟した。
すると、楓真がいる温泉の中に、何かが飛び込んでくる。
バッシャアァーン!
楓真は避けきれずに、飛び込んできた何か(蒼桜)にぶつかる。
「あっ! ごっ……ごめんなさいっ!!」
蒼桜は立ち上がって謝るが、その顔は一瞬にして凍りついた。
みくと楓真は『終わった』という顔をして、こちらも凍りつく。
「ふうま…………」
3人の間に沈黙が続く。
「……ふうまが……こんなこと……やっぱり……ふうまは……」
「ちょっ! ちょっと待て蒼桜! 誤解だ!」
「そ……うだよね……楓真だって……男の子だもん……」
「完っ全に誤解を生んでる……」
「とりあえず隠れて! 楓真! みんなが来る!」
「でも……蒼桜が……」
「そんなのいいから! 早く! 他の人が来たら……」
楓真はみくの言葉の状況を頭の中で思い浮かべる。
(ここで……バレたら……たとえ事故だったとしても、女湯に忍び込んだヤバい奴だってレッテルを貼られる……)
「そんな高校生活……まっぴらだぁ!」
楓真はやけになって、掃除道具などが置いてある小さな物置に身を潜めた。
ガラっ!!
「おぉー広いねー」
「んー! いい香り……温泉に来たって感じだわー!」
柚花と、立夏、月乃、風凛が入ってくる。
楓真は物置に空いていた小さな穴から様子を伺う。
その後も続々と女子が入ってくる。
(駄目だ……今は出れない)
楓真はとりあえず今は諦めて、穴から目をそらす。
(……落ち着け……どうやったら一刻も早くここを脱出することが出来るか……)
(……壁は高すぎて超えられないし……ドアも屋内と繋がるとこしかない……)
(てかそもそも、ここから出た時点でもうアウトじゃ……)
(……駄目だ……。やっぱりみくが言うとおりに女子が全員出てから出るしか……方法がない……)
ガァァァン!!
(……っ!?)
その時、楓真の入っている物置に何かがぶつかった。
女子たちが遊んでいて、飛んできた桶みたいだ。
楓真は穴を覗いて様子を見る。
そこには、女子たちが桶で水を掛け合っていた。
(なんだよ……流れ弾かよ……ビビらせやがって……てか、やってること男子と変わんないだろ……)
楓真が安心したのもつかの間。
ギィィィィ……がシャンっ!!
(ギィィ……ガシャン?)
「……ッ!?」
なんと、飛んできた桶のせいで、物置の扉が壊れて倒れたのだ。
「やばいじゃんーあれー。どーするよー」
女子たちが楓真のほうへと向かってくる。
(いやっ! ヤバいのは俺のほうですけど……!?)
続く
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次話投稿は明日です。




