第19話 カレーのような何か
「ちょっと!? なにしてんの??」
突然、蒼桜の声が響き渡る。
その横には、目が点になったみくと柚花が立ち尽くしていた。
「あっ…………」
その様子を見て、楓真は思い出した。
(みくのやつ……料理が死ぬほど下手だったんだ……)
「私たちだけのせいじゃないもん!」
「じゃ誰のせいなのよ……」
「分かんなかったから……風凛ちゃんに聞いたんだよ」
(あいつか……! 片谷……)
みくと柚花が作ったカレーの中身は、何故かいちょう切りのじゃがいも、真っ二つのにんじん、みじん切りにされた玉ねぎ、牛肉。
そして、なぜか色は紫色に。
「野菜の切り方って分かってるのか……? 後、どーやったらカレーをこんな色に出来るんだよ!」
楓真がふと横を見ると、調味料がいろいろ散乱していた。
「まさか……お前らこれ全部入れたんじゃ……」
「いっぱい入れたほうが美味しくなるかなって思って……」
「風凛ちゃんと相談して入れたの……」
「おい片谷ぁ!!」
楓真が風凛を呼ぶ。
「なによ」
「なによじゃなくて! 人の班の料理に手を出すなよ!」
「指示したのはあたしだけど、入れたのは一条と藍井よ!」
「指示したんならお前も共犯だろーが!!」
楓真は半ば呆れたかのようにツッコむ。
「でも、見た目で判断してるようじゃあんたもあんたね!」
「いや、これは誰もが見ただけで不味いと分かるぞ……?」
「じゃ、食べてみなさいよ。あたしの言うことが聞けないんだったらね」
そう言うと風凛はカレーのような紫色の液体を皿によそい、楓真に渡す。
「くっ…………」
楓真は悔しそうにスプーンでそれを口に運ぶ。
(まぁ……食べたところで死にはしないだろ……)
パク。
「!!?」
パタ…………
「あ、楓真死んだ……」
蒼桜がなんとも言えない表情で呟く。
「そんなにまずかったかなぁ……」
みくは何が起きているのか、全く理解できていない模様。
「ぐはっ…………。なんだコレ? どう作ったら……こんな異次元のまずさになるんだよ……」
楓真は蒼桜に渡されたコップに入った水を一気に飲み干すと、やっともとに戻った。
「柚花はともかく、みく……お前……あれだけ人に料理は作るなと俺にも親にも言われてただろ……いや、俺も忘れてたけど……」
「そーだったっけ?」
「はぁ……みくちゃんと柚花ちゃんは楓真と悠希弥と一緒に、ご飯の方を見てきて」
「わたしがカレー作る」
蒼桜が指示を出す。
「お前……作ってくれるのはありがたいけど……それ……もはや食べ物じゃねーぞ?」
楓真は今食べたものを指さして言う。
「大丈夫だよ。わたしに任せて!」
「じゃあ頼んだぞ! それを蘇らせてくれ……」
楓真はそう言い残すと、みくと柚花、悠希弥と釜戸の方へ向かった。
「思い出したぞ。みく。お前が中学校の時に作ったくれた卵焼き」
楓真とみくがまだ中学校1年生だった頃、みくが楓真に昼食をご馳走したことがあるのだが、その時に作った卵焼きが格別にまずかったのだ。
「卵を割って、溶いて、四角に焼くだけなのに……なんか、泥に虫とか入れて煮たのかっていうほど、えげつないの作ったよな……」
「そこまで言わなくても……私の料理ってそんなに美味しくないの?」
「あんなもの量産しといて、自覚ないのかよ……」
「あっ……おい! 楓真! ご飯炊けたぞ」
「おっ! ナイス悠希弥! じゃ、皿によそうか」
「みく、柚花……これくらいできるよな?」
「やれるよ!」
流石にご飯をお皿によそうことはみくと柚花も出来たよう。
「じゃあ蒼桜のとこ戻るか……」
「えっ!!」
先に蒼桜の方へ走っていったみくが声をあげた。
続く
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次話投稿は明日です。




