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後編

本日2話更新。

そして完結です。

「最近、おかしいよイチゴ」


「そうですわ。いつものバカみた…明るく元気なイチゴらしくありませんわよ」


「ごめん……」


あれから何度か宇宙蟲の襲撃があって、なんとか撃退しているけれど、私はすっかりホワンとしたままだった。

いつもの心は彼の事を考えてフワフワしてるし、そうかと思えばもう会えないんじゃないかって泣きたくなる。あの時から……。


「それって、恋じゃなくって?」


「「恋!?」」


なぜかミカンまで驚いて私とハモった。恋?恋ってあの『恋』!?


「誰かを思って自分をコントロール出来ないなんて、ましてやそれが異性相手なら恋でしょう?」


「し、知らないよ。初めてだったし、あんな事……」


「「あんな事!?」」


今度はメロンとミカンがハモった。何かおかしな事言った?


「やっと見つけたぜ。お嬢さん達」


低く響くバリトンボイス。そして一瞬で私たちはディーバと共に空へ巻き上げられる。


「何!?この力……風!?」


「何者!?」


「何者とは悲しいね。いつも君達に追い返されていた僕達なのに……」


「まさか……宇宙蟲の親玉!?」


「そうだね、あれを操っている者……ではあるかな」


空に飛ばされたと思ったら、私達は気がつくと見知らぬ空間にいた。目の前に立つ長身の男性二人。

粗野な口調の男性は、茶色の髪に紫の瞳で赤い軍服みたいなのを着てる。物腰の柔らかい男性は、アッシュグレーの髪に灰色の瞳で青い軍服みたいなのを着てる。

辺りを見回すと、真っ白な宮殿みたいな場所。その建物の造りは、あの時の場所にそっくりだ。


「まさか……」


「久しぶりですね。私のスイートベリー」


「誰がアンタのよ!!」


思わず叫ぶ。

彼と再会できた嬉しさと、その彼が地球の侵略者というショックで涙が止まらない。


「イチゴ?どうしたの?」

「まさか……あの男ですの!?」


「は、初めて(の恋)で、初めて(のデコチュー)だったのに……う、うぇ、うぇええええん!」


「「なんですってーーー!?」」


怒りメーターが一気にMAXになるミカンとメロン。私はもういっぱいいっぱいで、ひたすら泣いてしまう。


「ちょ、ちょっと待ってください!何か誤解を……」


「王子、成人もしていない婦女子に何……」

「サイテーだな王子。引くわー、俺引くわー」


白い青年はアタフタと慌て、なぜか赤と青の男性も女子側になって責める。


「「問答無用!!」」


二人はディーバに乗り、私もえぐえぐ泣きながら乗って、三人で戦闘態勢に入る。

そうだ。私達は地球とご近所を守る歌姫《ディーバ》。


「恋なんか……恋なんかもう、するもんかーーー!!」


思いっきり叫ぶと、声に反応した機体が光る。

これはきっと、三人で最高の歌が歌える。私達は絶対に負けない!!


「ちょっと待ってください!私は貴女を……」


「王子、今はダメだ。出直すしかねぇ」


「あれは『トランス』だね。地球を侮っていたかな」


光るディーバから出力される力と私たちの歌声は、空間をも切り裂いていく。

やっぱりあの時と同じ。奴らは歌に弱いんだ。

ガラスの割れるような音が響く。


ああ、戻るんだ。


ふと目の端に映った黒髪の青年が、必死に呼びかけるのが見えた。何か聞こえたような気がしたけど気のせいだろう。



元の空間に戻ると、そこは夕方の商店街だった。

私達は守る。この日常を。

フンスと気合を入れている私に、その後ミカンとメロンがずっと「あんな事はどんなだったのか」と詰め寄ってて大変だった。

しょうがないから羞恥に悶えつつ話すと、二人とも可哀想な子を見るような目で私を見ていた。

何?何かおかしい?「あの白い男に同情する」って、何で?


解せぬ。




















「愛しい私の……」


白基調のゆったりとした服着る青年は、物憂げに呟き窓の外を見ている。

その青年に近づくのは、青の軍服に身を包む男性だ。


「良いのかい?ミロク王子」


「良くないです。彼女に近づく作戦をたててください。宰相ヨイチ殿」


「ふふ、そうですねぇ」


宰相と呼ばれた男性……ヨイチは、片眼鏡《モノクル》を押さえて王子……ミロクと同じく窓の外を見る。

高層マンションの一室からは夜景が広がっている。そこには先ほどまでイチゴ達がいた商店街の明かりも真下に見えていた。


「言うなれば僕達は赤の他人だからね。まずはご近所付き合いから始めようか?」


「友達ではダメですか?」


「お前、えらい嫌われてたじゃねーか。マイナススタートで友達とか無理だろうが」


「シジュはうるさいです!」


ミロクは涙目で言い返すが、赤い軍服の男性…シジュの顔をニヤつかせるだけで終わった。そんな彼の様子にため息を吐くミロクは、再び窓の外に視線をやる。


「そうですね。まずは……引っ越しましょうか」


「「仰せのままに」」


膝をつく家臣二人に、ミロクは満足そうな笑みを浮かべた。


「待っててくださいね。私のスイートベリー。愛しい私の欠片《ピース》」







お読みいただき、ありがとうございました。

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