中編
私達の専用機であるディーバは、見た目大きめのバイクみたいなものだ。
そして反重力の何とかで空も飛ぶ。こんな技術あるなんて、日本の防衛軍もやるもんだ。
ミカンは「イチゴは説明会で寝てたからね……」と諦め顔だ。だって分からないんだもん。理系女子なミカンとは違うんだもん。
「これって普段も乗ってていいのが嬉しいね」
「ま、声の認証だから、盗まれないってのもあるしね」
私、草花イチゴと仲間であり親友の橙ミカンは、ご近所のパトロールをしていた。
学生な私達は勉強もしなきゃなのだけど、アイドルとして活動していた時間を防衛軍として動くことになっているからしょうがないんだ。やったー勉強しなくてラッキとか思ってない。決して。
それでも防衛軍所属のアイドルとしてテレビに出たり歌ったりする活動しているから、実際そんなに生活が変わったわけじゃないんだけどね。
ちなみにメロンは今、防衛軍の会議に出ているみたい。
世界各地で起こっていると思われていた『宇宙蟲』の攻撃は、なぜか日本の、しかも東の京近辺に集中していた。
それでも世界各国に被害がないわけでもなく、自然災害程度にハリケーン並みの被害を出している。
うん。地味に迷惑だ。
もちろん、私達だけじゃなく歌で攻撃出来る人もいるけど、数がすごく少ない上に攻撃力も低いみたい。
自然と迎撃依頼は私達に来る。
「ねぇ、なんで私達なのかな」
「へ?どしたのミカン?」
隣走っているオレンジ髪のポニーテールが、風になびいてサラサラ綺麗だ。私のピンク髪の猫っ毛に比べてストレートなミカンが羨ましくなる。
「歌で宇宙蟲が弱るって、なんか変じゃない?」
「うーん…そう言われても、難しい事は分からないよ…」
ミカンが言いたい事は何となく分かる。
最初のドームでの襲撃の時、あれが一番おかしかった。
何ていうか……何かを探しているというか……
ふと、何か違和感を感じる。左を見ると、さっきまで並走していたミカンのディーバがいない。まさか、はぐれた!?
慌ててブレーキをかけて、ディーバから降りる。
「え?ここ……どこ?」
見渡す限りの草原。
そして少し先に見える丘を上って行くと、真っ白なすり鉢状のコンサート場のような場所に出た。真ん中の舞台には、真っ白なグランドピアノ。そして流れてくるピアノの音楽。
演奏者が見えなくて、ゆっくりと角度を変えて降りてみる。
ふわりと揺れる黒髪に、白を基調とした軍服……礼服のような出で立ちの青年が、ピアノを弾きながら歌っている。
舞台に近づいた私に気づいて向けたその目は、とても綺麗な青だ。
歌っている歌は聞いたことがないけれど、恋の歌みたいだ。私と目を合わせたまま、彼は甘く響くテノールで、私に何かを訴えかけるように切ない表情で歌う。
思わず近づこうとしたその時……歌が聞こえた。
「思ったよりも早く来ましたね。この続きはまた今度……私のスイートベリー……」
「ふぇ?」
その甘く響く声にホワンとした気持ちになってしまう私。そんな私を見て彼はクスリと笑うと、そっと近づく。
…………カッシャーーーーン…………
ガラスの割れるような音と、私に飛びついてきた涙目のミカンとメロン。
気がつくとそこはパトロールしていた商店街で、あの白い舞台やピアノの青年は消えていた。
「イチゴ大丈夫!?突然消えたからびっくりして、メロンと一緒にディーバを感応させて探したんだよ!」
「歌でどうにかできて良かったですわ。宇宙蟲と同じ波長を検知できて、そこからは勘でしたもの」
私は呆然としたまま、おでこを押さえていた。
「どうしたのイチゴ、顔真っ赤だよ?」
もう、何が何だか分からない。
夢だったのかな。
私は押さえたところに残る柔らかい温もりに、頭から湯気が出るくらい真っ赤になって……
倒れた。
お読みいただき、ありがとうございます。
アニメもリアルも変わらないキャラ設定とか(笑




