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おとぎ話考察  作者: 菜花村


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9/11

浦島太郎考察(飛鳥文明竜宮城編)

 浦島太郎物語のヒロイン【乙姫】について考察していこう。


 浦島太郎が来てまず彼女のとった行動は、宴でのおもてなし。

 その前に、しなくてはならない事があるはずだ。

 浦島太郎は亀に乗って海中を素潜りしてきている。

 つまり、服がずぶ濡れなのだ。

 まずは着替えの用意をするのが先ではないか。

 一般庶民を王宮へ招くのに、着替えも風呂の用意もないのはどうなんだろう。

 浦島太郎も着心地の悪い服のままでは、宴を心から楽しめないだろう。

 そこのあたり、乙姫はもう少し気を使ってあげた方がいいのではなかろうか。


 さて、そんな急かされて案内された宴の内容だが、『豪華な食事にタイヤヒラメの舞踊り』だという。

 たくさんの魚が舞い泳ぐ様子は、きっと見ていても美しいだろう。

 ただ、問題は食事内容。

 舞い踊っている魚たちを捕まえて捌いて食べるという残酷なことはしないだろうから、必然的に食材は海藻になる。

 そしてここは海底。

 いくら竜宮城に空気があるとしても、火を使うと酸素が不足してしまうし、そもそも火が使えるのか怪しい。

 つまり、浦島太郎は生の海藻を食べさせられた事になる。

 竜宮城では豪華な食事だとしても、あまりにもひもじい食事内容である。


 いくら働かなくてもいいとはいえ、ずぶ濡れのまま生の海藻を食べさせられていたとなれば、流石に三年も経つ頃には飽きてくる。

 地上に帰りたいと言う浦島太郎。

 そんな彼との別れを惜しみつつ、乙姫がお土産に渡したのは玉手箱。

 中身は、あっという間に歳をとってしまう煙。

 そのような恐ろしいものを、別れを惜しむような相手に普通持たせるだろうか。

 万が一、竜宮城でそんなものを開ければ、城内の限られた空気中に毒ガスが充満してしまう。

 実は、乙姫もそんな玉手箱の管理に困り果てていたのかもしれない。

 二度と会うことのない相手へ譲渡してしまえば、処分に手間がかからないと思ったのだろう。

 浦島太郎を体のいい廃品回収業者として見ていた可能性がある。


 さて、浦島太郎が地上に帰ってきたのは300年後。

 つまり、それだけ地上では文明が発達していた事になる。

 江戸時代の人が現代へタイムスリップするほど、世の中は変わり果ててしまったのだ。

 一説には、浦島太郎は飛鳥時代の人物とされているのだが、そこから300年後は平安時代。

 大陸から漢字が導入され始めた頃の時代から、カタカナやひらがなが発明された時代へと変わっていたのだ。

 未知の文字が溢れかえり、見たことのない寝殿造の建物が建ち並び、新しい宗教まで普及している。

 慌てふためいた浦島太郎が、ダチョウ倶楽部になってしまうのも仕方がない。

 ここで気になるのは、竜宮城の文明。

 飛鳥時代の浦島太郎が三年いても違和感のない時代設定ということは、竜宮城も飛鳥時代なのだろう。

 そこで三年も居候できるほど娯楽があったのかは不明だが、竜宮城での三年は現実世界の300年。

 つまり、竜宮城では今でもまだ14年ほどしか経ってないのだ。

 もし今竜宮城へ案内されても、連れていかれるのは1400年以上昔の時代。

 当時の娯楽を経験したいならともかく、深海まで素潜りした挙句に、ずぶ濡れのまま生の海藻を食べさせられるのは、タイやヒラメの舞踊りだけでは割に合わない。

 竜宮城には是非とも早く現代文明を取り入れてもらいたいものだ。

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