浦島太郎考察(浦島太郎倶楽部編)
【浦島太郎】がどんな人物なのか、考察していこう。
まずこの物語は、釣りを終えて自宅へ帰ろうとしていた浦島太郎が、亀をいじめている子供たちを見つけたことから始まった。
一匹の亀を大勢の子供たちがいじめている。
その様子を見て見ぬふりをせず注意するところは、とても素晴らしい。
ただ問題はその後。
注意しても止めない子供たちに対して、魚を差し出したのは良くない。
生き物を虐めれば報酬が得られると勘違いさせてしまう。
ヤンキーにビビってカツアゲされているパシリと変わらない。
浦島太郎は立派な大人。
更に、この時代は現代ほどモンスターペアレンツもいないし、多少の体罰をしてもコンプライアンス的に問題ない。
ゲンコツでもくらわせて、因果応報を教えてあげるのも大人の役目だ。
さて、亀を助けて手ぶらになった浦島太郎は、このまま帰ると食事ができなくなる。
しかも、あろうことか母親の分まで子供に魚をあげてしまったのだ。
どうにか食料を調達しないといけない。
そこで目をつけたのが、いじめられていた亀。
浦島太郎がいたのは海。
つまり、亀はウミガメの可能性がとても高い。
そして、ウミガメが陸に上がるのは、メスが産卵をする時と、子供が卵から孵って海へ行く時のみ。
つまり、亀はメスで、産卵場所を探していたか、または産卵していた途中で、子供たちに暴力を受けていた事になる。
浦島太郎は亀が海へ帰るところを見送っていたので、亀は無事に産卵を終えたのだろう。
そうなると、浦島太郎の近くには、産卵したての新鮮な卵がある。
この際、卵が鶏卵でない事は目をつぶって、浦島太郎は亀の卵を持って帰り、その日の食料にした可能性がある。
浦島太郎、子供より残酷かもしれない。
亀は、浦島太郎に卵を食べられたとは夢にも思ってなかったのだろう、助けてもらったお礼にと、浦島太郎を竜宮城まで連れていくと言うではないか。
浦島太郎は亀の背中に乗り、仕事を放棄し、竜宮城へ向かうことになった。
この時、浦島太郎は酸素ボンベを背負っていた訳ではなく、素潜りで竜宮城まで行っていた。
竜宮城には空気があるのかもしれないが、そこまでの道のりは特別な道具はなし。
完全無呼吸状態。
更に言うと、海面から見えないほど深くに存在する竜宮城の水圧は、海面近くに比べて並大抵ではない。
それを、息を止めていられるだけの時間で海面から一気に沈んでいく。
肺どころか全身への負担は尋常ではないはずだ。
しかし、浦島太郎は無事竜宮城へたどり着き、対面した乙姫との会話後すぐ、おもてなしを受けている。
とんでもなく海に順応した身体なのだ。
浦島太郎は釣り人ではなく、この特性を活かして海士になった方が稼げるかもしれない。
竜宮城での楽しい時間を過ごす浦島太郎。
その時間は、一、二時間程度ではない。
体感時間で三年だ。
しかも、同居している母親に何の連絡も一度もせず、仕事もせず、ずーっと遊んでいる。
一般企業に務めていたら、無断欠勤三回で解雇処分になるところだ。
反抗期の高校生でも、数日で帰るか、一旦連絡を入れるかはするであろう。
不良に憧れる少年と同じようなものだ。
ここまで見ていて、浦島太郎の行動には一貫性がない。
漁で生計を立て母親を養うだけの仕事ぶり、いじめを注意する正義感、強い水圧に耐えるだけの強靭な体と肺を持ち合わせている、傍から見れば優秀な人物と思わせておきながら、子供からカツアゲされる気の弱さ、亀の卵を奪う残忍さ、目の前の誘惑に逆らえない未熟さ、家族を何度も蔑ろにする思いやりのなさが露出している。
『外面がいいだけの内弁慶』と評価されても仕方がない結果である。
三年間ひたすら遊び尽くしてヒモ生活に飽きたのか、ようやく家に帰る決心をした浦島太郎。
乙姫からお土産に、玉手箱を貰う。
その時に言われたのは、
「開けるなよ、開けるなよ、絶対に開けるなよ!」
これを聞いた浦島太郎のとる行動は、ただひとつ。
開けるに決まっている。
これはもうお約束。
ある意味、乙姫も悪いのだ。
そんなフリをして開けずにはいられない。
結果、浦島太郎はダチョウ倶楽部なのだった。




