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おとぎ話考察  作者: 菜花村


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7/11

白雪姫考察(KY鏡編)

 白雪姫の物語の鍵である【魔法の鏡】の考察。


 「この国で一番美しいのは誰?」と毎日お妃に聞かれ続けていた魔法の鏡が、ある日突然「今日から白雪姫になりました」と言ったばかりに始まった物語。

 もしこの鏡が空気を読んで「(本当は白雪姫なんだけど)お妃様が一番美しい(ってことにしておいてあげる)」といえば、お妃は罪を犯すことがなかったのだ。

 きっと、魔法の鏡は『真実を伝える』というより、『思ったことを全部喋っちゃう嘘が付けない性格』なんだろう。


 それにしても、魔法の鏡が、美魔女である白雪姫をある日突然お妃より美しくなったと判断した材料はどこにあるのか。

 そもそも、白雪姫は歳より随分若く見られている。

 お妃が嫁いでくる前から、美しさは変わっていないはずだ。

 それなのに、魔法の鏡はしばらくの間「お妃様が一番美しい」と言っていたのだ。

 もしかすると、白雪姫が化粧品をいつもと違うものに変えたのかもしれない。

 ヘアセットもこだわってみたのかもしれない。

 そういう小さな変化に気付いてあげられるスパダリ気質を、魔法の鏡は持っていたのだろう。


 もし、お妃の性格が『嫉妬した相手を傷つける』のではなく『物に当たる』タイプだったとしたら。

 「この国で一番美しいのは誰?」

 「白雪姫でーす」

 「キィーッ!!ふざけんな!!」パリーン

 このような結果になっていたかもしれない。

 正直なことは良いことだが、時と場合によっては空気を読まないと、文字通り全てが壊れてしまうのだ。

 魔法の鏡にとっては、お妃の性格がより残酷で良かったとしか言いようがない。


 この魔法の鏡だが、狩人がせっかく命懸けで白雪姫を助けたのに、逃げ隠れている白雪姫の居場所を喋ってしまう。

 しかも、こびとたちの家の住所まで。

 個人情報を勝手に開示している、プライバシーの侵害だ。

 いくらハッキング能力に長けているからと、お妃に自分の実力を見せつけたとはいえ、これは流石にコンプライアンス違反である。


 総じて、この魔法の鏡は『特定分野の能力が突出して高く、いつもと違うことに目ざとく気付き、聞かれたことは何でも真っ直ぐに受け止めて答えてしまう』という特性が浮かび上がってしまった。

 もしかすると、自閉スペクトラム症(ASD)気質なのかもしれない

 検索機能は自身に充分すぎるほど備わっているので、一度国内の専門的な病院を調べて検査をしてみた方が良さそうだ。



 最後に、物語では名前すら登場していない【国王】を考察。

  ここまでに国の人物が何人か紹介してきたが、白雪姫の母国で王族に当たるのは『白雪姫』『お妃』『国王』の三人だけ。

 その三人のうち、ふたりは高齢者(国王に至っては超後期高齢者)。

 白雪姫に兄弟姉妹の描写がないためおそらく一人っ子。

 国王にお妃以外の側室がいる様子もない。

 なぜ、国王はこの事態まで白雪姫を放置していたのか。

 絶世の美女である白雪姫可愛さに、「お前ごときに娘はやらん!」と昭和の頑固オヤジになっていたのかもしれない。

 見た目の歳を取らない白雪姫を、いつまでも若い娘と思い込んでいたのだろう。

 しかしその結果。

 お妃と老衰寸前の国王の間に子供は厳しい。

 歯が抜ける程歳をとってやっと嫁いだ白雪姫の子供を養子に迎えるにも、高齢出産は事故や病気、子供の障害リスクも高い。

 つまり、国王がお妃を娶るずっと前の白雪姫がまだ若い頃、白雪姫が結婚適齢期で婿を取れなかった時点でこの国は破綻しているのだ。

 国王ともなれば、一族の温存は最優先して守るべき事だったはずなのに、このザマである。

 白雪姫が傾国の美女でなければ起こりえなかった惨劇だった。


 この国にも、桃太郎やシンデレラの王子のような優秀な人事がいれば、最悪の事態は免れたのかもしれない。

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