鶴の恩返し考察(浦島太郎編)
鶴の恩返しに登場する、主人公なのに名前の明かされていない【若者】、彼を考察。
物語のきっかけは、罠にかかった鶴を助けたことから始まる。
確かに、目の前で生き物が苦しんでいる様子を見ると、心が痛むのはわかる。
しかし、罠にかかった鶴が可哀想だからと、他人が仕掛けた罠を勝手に外して逃がしたことは、許し難い行為だ。
更に言うと、本当の善人なら解放した獲物の代わりを提供するはずだ。
けど、その描写は特に書かれていた形跡がない。
若者は、亀をいじめた子供に魚を差し出す、しかも自分だけでなく母親のご飯の分まであげて助けた浦島太郎以上に、自分の中の正義感が自己中心的で自惚れ屋なのかもしれない。
さてこの若者、一体どんな仕事をしているのだろう。
彼は一人暮らしなのに、自宅には機織り機があった。
しかも、彼の家に来た鶴が直ぐに使えるほど、機織り機は整備されていた。
高価な機織り機が、貧しい一人暮らしの男性宅にただ置いてあるだけの可能性は低い。
このことから、若者の職業は機織りだと推測される。
鶴の織る布は、二人の生活を豊かにした。
機織り機も、鶴が占領してしまっている。
若者が機織りで働く必要がなくなったのだ。
鶴が嫁に来てからというもの、若者が機織りをしている描写はない。
浦島太郎と同じく、ニートになってしまったのだ。
この物語は、鶴の正体がバレたことで終わりを告げることになる。
「開けるなよ、開けるなよ、絶対に開けるなよ!」
どこかで聞いたフリだ。
そんなの、開けるに決まっている。
いや、開けない方が失礼なのではないか。
そして若者は扉を開ける。
若者はダチョウ倶楽部だった。
さて、ここまで見てきて、ひとつの仮説が浮かんだ。
『他者への配慮がない自分勝手な正義感』『無職』『ダチョウ倶楽部』。
あまりにも浦島太郎との共通点が多い。
一説によると、浦島太郎は玉手箱を開けて歳をとったあと鶴になって千年生きた、という話もある。
若者の妻は鶴。
鶴との相性が非常に良い。
もしかすると、若者は浦島太郎だったのかもしれない。
続いては、人に変身できる能力を持った【鶴】を考察。
助けてもらったその日の夜、吹雪の中「道に迷った」と若者の家に訪問した鶴は、どのタイミングで人間になったのか。
罠から助けてもらったすぐ後か、それとも若者宅へ出向く直前か。
いずれにしても、吹雪でも目的地に到達できることの出来る身体能力の持ち主であることに違いはない。
更に、若者が家に帰るところをバレずに後をつけることができることからも、尾行能力も高い。
それなのに、昔ながらの簡素な罠にかかってしまった。
なぜ罠を見つけられず、捕まってしまったのだろう。
基本能力は高く、目的の獲物を狙うのは得意なのかもしれないが、過集中でまっすぐ前しか見えないドジっ子特性がありそうだ。
彼女は、鶴の状態ではたを織る事が出来る。
しかも、羽を糸に変えて布にする特殊能力持ち。
よくある挿絵や、人間姿ではたを織るごとにやつれていくことから、恐らく柔らかい羽毛ではなく硬い正羽を使っていた可能性が高い。
鶴の状態ではたを織るだけでなく、自身の羽を使って布を作る。
器用という一言では済まされない才能の持ち主だ。
美しく、基礎能力が高く、とんでもなく器用、それでいてドジっ子という少し抜けたところもある親しみやすさ。
鶴であっても結婚したくなる若者の気持ちも分からなくはない。
材質が鶴の羽という特殊な布は、反物ひとつで夫婦が当面裕福に暮らせるほどの代物だったという。
だがこの布、気になるところがある。
染料が自宅にある様子はなく、鶴が反物を染める形跡も特になかった。
つまり、無地なのだ。
それなのに高額で取引をされている。
つまり、鶴の羽の布は見た目ではなく、材質がとんでもなく優れている事になる。
寒さに強い鶴の羽なので、保温効果がとても高いと予測される。
鶴の羽の布は、世界最古のヒートテックだったのかもしれない。




