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DAY82(水)12月20日

DAY82(水)12月20日


今日は、昨日トモミの前で泣いた手前、会うのが恥ずかしいが、食事を作らなければと頑張って起きる。


しかし、トモミの方が早くに起きていたらしく、ご飯を出されてしまった。


大人としてどうなのだろうかと思い、ふとカレンダーを見た。


……ふむ、今日は二十日か、トモミにクリスマスプレゼントを考えなければ、ということで、トモミに問いかけることにする。


その音声は、しっかりと五号に残っていたから、記録のために書く。


「トモミ、もうすぐだけどクリスマスだな、なにかサンタさんに欲しい物とかの手紙を書かなくても良いのか?」


そう聞くが、トモミにいぶかし気な顔をされてしまった。


「サンタを信じているとお思いで?」


その目は馬鹿にしているのか、と言っていたから首を振る。


「形式的なもの!形式的な!ほら、何かない?欲しい物。」


そう聞けば、トモミは黙って考えだし、思いつかないみたいで頭をひねっていた。


「学校行った後にでも考えればいい。」


それだけを言って、焼いてある食パンを食べる、今日の朝ごはんは食パンにマーガリンを塗ったやつと、レタス、目玉焼きだった。


「ですが、良いんですか?クリスマスプレゼントなんて貰っても。」


聞いてくるトモミの事を見て、思わず笑ってしまう。


「そこは大人に甘えな、なにせ、欲しいものが合法的にもらえる年に一度の機会だからね、そういえば、プレゼントと言えばトモミの誕生日っていつだっけ。」


ふと思い出し聞けば、トモミは不思議そうな顔をした。


「それって、なにか関係あります?」


その質問に私も質問で返してしまう。


「いや、プレゼントと言えば誕生日もだなって思ってな、いつなんだ?」


聞けば、トモミは言いづらそうにした。


「誕生日に何かあるのか?」


聞くが、トモミは首を振るだけで答えようとしない、言及しても仕方ないということで、その話を流そうかと思ったところでトモミが口にした。


「6月14日です。」


苦々しい顔でそう告げたので、その日に何かあったのかと思い、思わずスマホで調べてしまう。


「6月14日……、特に記念日でもなさそうだけど、何かあったのかい?」


そう尋ねたところでトモミの登校の時間となり、うやむやのままトモミは学校へ行った。


寝床で昨日一緒に寝た卵たちの様子を見た後に、解析をかけるために全ての卵を持って研究室へと向かい、機械にセットして調べる。


シジマ所長のところで計測したものと、傷の度合いやストレス値、その他計測していた値を出して、報告書を制作する。


午前中に終わったその作業の後、今月分の報告書の制作に取り掛かる、今月のいつ頃提出なのかを確認し、まだ(おこな)っていないワンダーエッグとドリームエッグの講習会の日程も確認する。


今週の週末に講習会、26日に提出か、クリスマスが25日なことを考えて、今日中にお知らせを作るか。


ワンダーエッグとドリームエッグの講習会にクリスマスパーティーをねじ込むか考えながら、パソコンに講習会日程を書き込んでいく。


色々とやっていたらお腹が減ったため、作業を止めて食事を作り始める、そんな中、外からバイクの喧しい音がしたから、頭の中で排気口に卓球の球でも詰め込んでやろうかなんてことを考えた。


しかし、それが家の前で止まったから気になり、窓から外を見てみる、そこにはアマチャンたち一団がいた。


その様にどう叱ろうか悩みながら玄関へ出ると、意気揚々とアマチャンが玄関に来ていた、私の胸ポケットに五号を入れていたから話が入っていた。


「ハラぁ!クリスマスの事考えてくれた!?」


そのアマチャンの生き生きっぷりと、後ろにいる族の集団に面倒くささを感じながら、そのことについて思い出す。


「あー……っと、昨日言っていたクリスマスパーティーがどうとか?」


昨日五号の中に入っていたが、別にいいかと思って記載しなかった話が出てきたから、記録しておけばよかったと思いながら話を続ける。


「そーそー、今度の土日さぁ、なんか予定あったっけ?」


その顔には、もう一度答えを聞きたいと書かれていたから答える。


「ワンダーエッグ、或いはドリームエッグの講習会、それで?何かあるのかい?」


そう言うと、アマチャンは楽しそうな顔をする。


「そのどっちにかさ、クリスマスパーティーねじ込めない?」


それをどう受け取ればいいかわからなくなり、考えていたことを言う。


「まぁ、それは考えていたけど、そのクリスマスパーティーの規模や何を行うかによる。」


それに、アマチャンがやりたいらしいことを言う、何でもクリスマス当日にはやることがあるからその日のパーティーは無理とのことで、だったらその前日か前々日に私の事を呼んで一緒にクリスマスパーティーをしようと思ったらしい。


そういえば、昨日私にクリパやるから来てくれって言われていたことを思い出す、正直行く気はほとんどないが、アマチャンが族を引き連れて誘いに来たのにはなにか思惑があるのだろうかと思ってしまう。


「土日に開催するクリパには、あたしのところの族の全員が参加するんだけど、いつもお世話になってるハラも居たら楽しいかなって思って!ねぇ、どうかなぁ。」


その目は輝いていたが、それに乗るかを考えていたら、後ろから一人の男が近づいてきた。


「姉御もそう言ってるんだし、どうだい?おばさん、一緒に行かねぇか?」


おばさんといわれてキレかけるが、それを咳払いで止めてから、とりあえず返答を返す。


「それで、もしパーティーするならどのあたりでやるの?可能ならば顔を出すだけ出してあげるから。」


アマチャンは嬉しそうに頷いた後にスマホを見せてきた。


「場所はここ!前にハラがドリームエッグ届けてくれた建物でやるつもり!」


それを聞いて、苦虫を嚙み潰したかのような顔になる。


「前に来るなって言ってなかったっけ?」


アマチャンは頷くが、なにやら吹っ切れたような表情をしていた。


「それはそれ、これはこれ、あの時は確かに恥ずかしかったけど、よくご飯を作ってくれるからクリパくらいお礼させてよ!」


その表情に曇りはない、だが、そこでトモミの事を思い出す。


トモミの事を放っておいたら可哀そうだ、どこかでお祝いに参加するかもしれないが、せめて今年は一緒に居たい、そう言った考えからアマチャンの言葉を辞退することにした。


「すまない、考えたんだけど、同居人が心配でね、クリスマスイブに一人は流石に可哀そうだ、だから、行くのは無理だ。」


アマチャンがショックを受けたような顔をして、こちらを睨みつけて来る。


「あたしと同居人、どっちのが大切なの?」


「いや、同居人でしょ、確かにクリスマスパーティーに参加するのは面白そうだとは思う。


ただ、まだ同居人が来て一年も立っていないんだよ、それに、せっかくのクリスマスだ、一緒に祝いたいからね。」


そう言ったら、アマチャンは悩んだ後に、良い事思いついた!みたいな顔をした。


「なら、その同居人も一緒に来なよ!あたしが決めたんだから、それで決定ね!」


そう言われて頭が痛くなる。


「あー、なら、うちの子たちみんな連れて行っていいかな?」


自己防衛の観点から、卵を持っていくことを提案したら、すぐに許可が下りた。


「いいよ!ドラゴンとか龍とか、犬とか猫とか面白いの多いからね、何連れてきてもハラならおっけー!」


ということで、私は土曜日にトモミと一緒にアマチャンが率いている族のアジトへと行くことになってしまった。


その後色々と調節などがあった後にアマチャン達が去って、時間を見たら2時間立っていた、お腹が鳴っていたからご飯を作る、それをみんなで食べてから夕食の下ごしらえをして、仕事に戻る。


家での講習会開催にあたり、どこで講習会を行うかを考えて色々と要項をまとめてそれらを情報として、後で流すことにする。


講習会で行うことは一応考えるとして、トウカがワンダーエッグを貰うことになっているから、研究室の一区画にある所有者が決まっていない卵が置いてあるところに行く。


棚を開けて、ワンダーエッグとドリームエッグを見渡す、どれを持っていこうか悩んで、どれも同じだろうということで、卵を一つ手に取り閉める、それを講習会で使うためのものをとりあえず詰めたカバンの中に入れて発信器も各種入れ、ついこの間届いた親御さんと卵を繋げるためのGPSもカバンの中に入れておく。


講習会を自宅で行うつもりのため、使用する部屋の中を片付けようと考えて、とりあえず今目の前の仕事を終わらせようと思い立つ。


その後はトモミが帰ってくるまでの短い時間、卵の解析の結果を報告書にまとめる作業を延々としていた。


トモミが帰ってきて、料理を作って出すと、トモミはうつむいた状態で食べ始めた、なにがあったか聞いたのが五号に入っていたため書き記す。


「辛そうな顔しているけれど、今日、嫌な事でもあったか?」


聞くと、トモミは首を軽く振り、こちらを見てきた。


「クリスマスプレゼント、いりませんから、大丈夫です。」


その目は確実に私を拒絶していたから、思わずため息を吐いてしまう。


「あのねぇ、それ、昨日今日で言う?」


不思議そうな不機嫌そうな顔をするトモミに、私は困った顔をして言う。


「トモミは、私の事を困った人だなって、放っておけないなって、思ったんでしょ?それは私も一緒、トモミの事が心配なんだよ。


それに、クリスマスプレゼントは純粋にトモミが欲しいものを聞くつもりだったし、せっかくのクリスマス、楽しみたいじゃない?なにもないなら、それまでなんだけど……。」


そういうと、トモミは言いづらそうに口を開けた。


「……あさ、わたしの誕生日、聞いてきましたよね。」


それに、朝の事を思い出し頷く。


「あぁ、そうだな、それで何かあったのかを聞いたね。」


「その日、両親が離婚しました。」


私の言葉をかき消すようにトモミは言った、思わず絶句すると、トモミはそのまま続ける。


「両親は私が幼いころに、父親が不倫相手を選んで、そのまま母親と喧嘩した挙句に、私と母を追い出しました。」


その顔は何も思っていないかのように淡々と語っていたが、辛いのは伝わった。


「母はその後、色々とふらふらしてから今のコタロウさんと結婚しました、それが小学校5年生の事です。」


食事の手が止まったままの私たちを気にするように、人型のワンダーエッグたちも食べるのをやめる。


「私は、誕生日に両親が別れ、違う誕生日の日に嫌がらせのように両親が再婚したんです。」


絶句したまま何も言えない私に、トモミが自分を小ばかにしたような口調でそのまま話す。


「ずっと、自分の誕生日が来るたびに、思い知らさせられました、私が不必要な存在なんだということを。


それで、何があっても私は、あの家で幸せになってはいけないと、そう感じたんです。」


辛そうな顔をするトモミに、自分でもなんなのかわからない涙が出そうになって上を向く。


「そっか……、確かに自分の誕生日は祝えないね……。」


そういうと、トモミはこちらを見て驚いた顔をしてから、頑張って明るくなろうと声色を変える。


「ほ、ほら!だから誕生日は嫌いなんで、祝われなくっていいんです!早く食べちゃいましょ?」


そういって口にご飯を運ぶトモミの方へ立ち上がって向かい、動揺するトモミの頭を抱きしめた。


「ハラさん……?」


「辛い事、思い出させてごめん……、保護者失格だ……。」


頭を抱きしめたせいで食べられなくなったおかずを、茶碗に置いたトモミは、私の腕をつかむ。


「同情しないでください、痛みがわかっていない人にされても気分が悪いだけです。」


その目は痛みを抑えていたから、胸に顔をうずめさせる。


「これは、今まで辛かったであろうトモミを慰めるためよりも、私がしたいからしてるんだ、トモミには特にこれについての感想は求めていない、だから。」


食事中にこれは良くないのはわかっている、ただ、泣きそうな顔を見られたくなかったから、トモミのことを胸に押し込んだだけなのだ。


「どうか、泣いてほしい、わたしも泣きたいんだ。」


それだけを言って、私が静かに泣き始めると、トモミも最初は動揺していたみたいだが、私が泣いているのを感じ取ったらしい、トモミももらい泣きをし始めた。


どれほど時間が立ったかわからない、トモミの頭に顔をうずめたまま泣いたから、トモミの頭が濡れまくっていた、そして、いつの間に抱き着いていたのか、トモミからの抱き着きも収まり、顔を離すと鼻水が糸を引いた。


「うわっやばっ!」


そういって食卓付近に置いてあったティッシュを手に取りトモミの頭を拭く、トモミも嫌そうな顔をしながら、私の服に着いた鼻水を拭っていた。


「全く、ハラさんはどうしようもないですね。」


鼻をかんでいるトモミに、赤くなった目を見られながら言われ、恥ずかしくなりながらぶっきらぼうに答える。


「いや、別に、ただ謝りたかっただけだし……、それに、私トモミの保護者だし……。」


そういうが、トモミの方が保護者のような貫禄があった。


「もういいですよ、こんなに泣かれたら、私だって泣けなくなっちゃうじゃないですか!」


その笑顔には影があるが、それでも少しは明るくなったらしい、顔が晴れやかになっていた。


「……ごはん冷めちゃったから、あっためてこようか?」


トモミに聞くと、首を横に振りそのまま食べ始める。


「いいですよ、別に、冷めても食べられますから。」


そして、黙ったまま私も食べ始めると、見ていたであろうワンダーエッグたちも食べるのを再開させる。


ようやっと食卓の空気が温かくなり、普段の食事風景に戻り、そのまま食事を終え、新しいティッシュで食器の汚れを拭った後、食洗器へと放り込む。


洗っている間にトモミにクリスマスプレゼント何がいいか尋ねると、ゲーム機が欲しいと言ってきた。


「ずっと、周りがゲームの話をしていたんですけど、親にゲーム機を買ってもらえなかった上に、そういった遊び全て禁止されていたんで、これを記にゲームをやってみてもいいですか?」


それに、首を縦に振るが、一つ約束をさせる。


「ゲーム機を買ってもらえたからって、ずっとゲームをやっていたら怒るからね?」


それに、トモミは頷く。


「わかりました、約束します。」


「それで?どんな種類のゲームが欲しいの?」


聞くが、トモミは意味深そうな笑みを浮かべるだけで答えない。


「ひみつ、です。」


「はぁ?ゲーム機なんてゲームがなけりゃただの箱じゃないか!」


そういうが、トモミは答えない、ニコニコとしたままだ。


「ま、いっか、クリスマス当日までに色々と頑張るわ……。」


そういうと、トモミは嬉しそうに頷いた。


その後、お風呂に入り、トモミが部屋に帰る時に、トモミに部屋に来てほしいと言われたため、部屋に入る。


そこはトモミの物はまだ少ないが、それでもトモミの部屋の匂いというものが作られていた。


「それで?今日はなんで部屋に来いなんて言ったんだ?」


問えば、トモミは機嫌良さそうにクマの人形を指さしながら座るように言ってきた。


それに従いクマの上に座ると、トモミが抱き着いてきた。


「な、なに……?」


戸惑いながらそういうが、トモミは私に抱き着いたまま甘え始める、その頭を撫でたら、胸に顔を押し付けてきた。


「……ハラさんは私からはなれませんよね?」


その言葉に、すぐに反応する。


「トモミから離れていかない限りね。」


いうと、トモミは抱き着いたまま思いっきり深呼吸した、風呂に入ったとはいえ、これは恥ずかしい。


「……あのー、いきなり、なに……?」


頬をかきながら言うと、トモミは一言。


「今日一緒に寝ませんか?」


といってきた。


「いや、流石にきついだろう、確かにセミダブルベッドのロフトベッドは買ったが、一緒に二人で寝るのはちょっと……。」


トモミはそれを聞き、締め付けを強めてきたから観念する。


「仕事まだ終わってないから、それが終わったら一緒に寝よう、それとも、私の部屋で寝るかい?」


聞くと、トモミは頷いて私から離れる。


「今日、ハラさんの寝室、行きますね。」


自分の寝床から枕を持ってきたトモミが言うのに、ため息をついて立ち上がる。


「しょうがないな、それじゃ、鍵開けとくから勝手に寝てな。」


そういえば、トモミは頷いて部屋を後にする、相手が何を考えているのかわからなかったから仕方ないが、トモミの後に続き自分の部屋の前へ行き、鍵を開ける。


「ハラさんの部屋に入ったの、初めてな気がする。」


トモミが私の部屋の扉を開けながらニコニコ顔で言うため、それの頭に手を置いてから私は研究室に行き、作業を行う。


終わったのは0時で、眠くなったため部屋に戻ると、トモミがベッドの上で寝ていた。


私のベッドは各種シャドーが大きくなっても寝られるように大き目のベッドを置いているため、トモミが寝ていても悠々と寝られるが、中学生と一緒に寝るのは少し恥ずかしい。


というか、私の匂いがしみ込んでいるだろうそこに、卵以外のものがいることが恥ずかしい。


ドリームエッグを全て確認し、自己修復を促すための布の上に乗せたことを視認した後に、ワンダーエッグを保温機に入れて休ませる。


私もトモミの横に体を滑り込ませて布団をかぶると、トモミと目が合った。


トモミに起きていたのかと聞いたら、トモミは私に抱き着きながら待っていたと言い、そのまま寝始めた。


日誌にこのことを書こうか悩んだが、一応書いておくことにする。


とりあえず、トモミには心を許してもらえたのだろうか、それならいいけど、と思いながら私も寝ることにする。


明日はどんなことになっているやら、なお、私は寝相がとても悪い事だけは書いておく。


そういえば、トモミにアマチャンとのクリスマスパーティーの話していないことを思い出す。


後日、伝えなければならないだろう、が、クリスマスまであと数日、このままアマチャンとのクリパがどうなることやら。

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