DAY81(火)12月19日
DAY81(火)12月19日
朝になり、四体と一緒に寝た結果だが、案の定卵を下に敷いて寝ていたらしい、体の下にあった卵があったかくなっていた。
傷を確認したら、比較的傷の修復が進んでいたため保温機へ入れてから下に行き、料理を始める。
トモミが起きてきてテーブルに着くのを見てから、ご飯を出す、トモミがアリスに食事を与えながら朝の準備をして、学校に行くのを見届ける。
卵を確認のために全部変身させ、和室に行かせる、そうして全ての卵の点検を終えてから解析機へ入れて解析をかける。
そのあとに人型のワンダーエッグを連れてハンバーグの材料を買い出しに行く、その道中にアマチャンと会ったから話しかけ、適当に話をする。
今日はスーパーの総菜コーナーのもので食事を終わらせるつもりだと言っていたから、なんとなく家に来るかを問いかけたら頷いたため、一緒に昼ご飯の材料を買ってから家へ帰る。
ひき肉や食パン、玉ねぎなどを冷蔵庫に入れてから、今から使う食材を切っていく、私が料理を作る光景を見ていたアマチャンは、今日卵が少ない事を気にしたらしいことを聞いてきたが、適当なことを言って流しておく。
アマチャンが疑問を聞いてきている間に料理が出来上がったため、食べさせて、その最中に色々と話をする。
その話はほとんど他愛もないものだったから、書くこともないだろうと思ったため、五号には残っていたが、書くのをやめた。
そして、卵を置いていっていないかを確認した後にアマチャンが帰り、ドリームエッグの確認しに行く。
卵自体にヒビが入っているものと、そうでないものがあるが、全てを動物型にして、食事を摂らせる、動物型は毛で覆われている率が高いため、怪我の度合いがわかりにくいが、ドラゴンや人型はあざや傷の見え方がえげつなかった。
これをトモミに見せるわけにはいかないので、今日もドリームエッグをふわふわな布を敷いた保温機の中へ入れるか、治療機の中に入れるか悩む。
検査はしなければいけないため、解析に回すために機材の中に入れているものを、ガラスや液体越しに見る、ストレス値やその他の数値などを、昨日貰ってきたデータ含めて解析をかけていたらいつの間にかにトモミが帰ってくる時間になっていた。
一先ず自己修復を促すために、怪我をした卵を取り出し、ふわふわな布の上に置いて放置する、トモミが帰ってくるに合わせてご飯を作り始めたら、トモミが帰ってきた。
ハンバーグに入れる玉ねぎをみじん切りにしていたため手が離せなかったが、トモミから話しかけられたことへは返すことが出来た。
その時の音声が五号の中に入っていたため書いておく。
「ハラさん、イルルとかシンたちはどこにいるんです?」
昨日と同じ疑問を問うてきたトモミに反射で返す。
「私の部屋だよ、みんな昨日の事で疲れているみたいでね、今日も休ませているんだ。」
そういうが、トモミは納得しない、更に問い詰めて来る。
「アインスもドライもいない、ツヴァイも、ゼクスも。
他の子たちもいないのは、それはおかしくないって、ハラさんは言うの?」
玉ねぎを切り終えて食パンと牛乳、卵を手で混ぜながら答える。
「トモミがこの家に来る前は普通の事ではあったね、研究実験に卵は付き合わされるから。」
ふと口を滑らせたことに気が付いたが、それに素知らぬ顔をしていると、納得していないようなトモミが、考えるような顔になる。
「まだ、会えなくて一日だよ?そこまで気にする事じゃない。
食事を待つ間、宿題かなにか、やってきたらどうだい?」
ちょっとだけ突き放すように言うと、それ以上こちらに噛みつけないのか、すごすごと退散していく。
きっと、普段いる個体がいないのは心配なんだろう、私も思わずため息を飲み込む、牛豚の合いびき肉を混ぜ、形成してフライパンで焼いているときに、テラから報告が入る。
どうやら、ドリームエッグを治療している部屋にトモミとアリスが無断で入ったらしい。
鍵をかけ忘れたことを後悔しながら手を洗って火を消し、急いで研究室へ行くと、そこには唖然としたトモミがいた。
「トモミ!どうして研究室にいるんだ!」
思わず声を荒げるが、トモミは治療のためのふわふわな布の上に置いてある卵を手に取り、それを黙って見ていたようだが、その顔をこちらに向けた時には怒りをあらわにしていた。
「どうしてこんなに卵がボロボロになっているんですか?」
聞かれたから、観念して答えることにする。
「つい昨日、研究所で検査をしてきたんだよ、その検査でボロボロになったんだ、家での検査じゃないと、そうなるから家でやりたかったんだけど……。」
トモミが止めるからできなかったと、口外に言えば、トモミは傷付いたような、『これは自分のせいだと言いたいのか』と言いたげな、子供らしい思いからのはっきりと怒りを、こちらに向けてきた。
「こうなることを……、全て……、知っていたんですか……?」
わななくトモミの事を諭すように言う。
「知っていたというのもそうだけど、今回のファッションショーでのことを報告する義務が私にはあってね、イベントで取り込んだ衣類の強度を確かめるためにも、この作業は必要だったんだよ。
私も、なるべくこんなことにしたくなかったから、自分で行おうとしたんだよ。
それをトモミが泣きながら止めたから研究所に頼んだんだ。」
諭すように言い訳をするが、トモミは納得していない顔をする。
「そしたら、そこの研究所基準での検査となってね、ドリームエッグは防御のための卵、そう言わなかったとしたらすまない。
だが、卵は研究対象、破壊されていないだけましな扱いなんだよ。」
真実という名の諭しを淡々と告げたが、トモミは全く納得をしていないらしい、布の上に置いてある卵一つ一つを抱きしめてこちらを恨めしそうに見る。
「ハラさんはこうなることを、全て……全て知っていた……。
それでも、それだとしても、家族である卵の事を、みんなの事を傷つけるのは許せない……!
なにより……、私が嫌がったことで、家族に危害が加わったことが、一番……許せない……!」
キッと泣きそうな顔で卵や私の事を睨みつけて来るトモミに、どうしたものかと悩み、それじゃあということで、提案をする。
「それじゃ、今度から規則に乗っ取ったやり方とは違っても良いから、トモミが検査をするようにするかい?」
まるで試すようなそれに、トモミは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をする。
「わたしが……、けんさを……?」
それに、私は頷く。
「そう、トモミがやるの、それならいいでしょ?」
そういうが、トモミが騙されないぞ!という顔でこちらを見て来るから、それにどうしたものかと一瞬考え、ふと思い立つ。
「トモミは私の助手になるんでしょ?だったら、強度とかを検査することを覚えるためにも、トモミがドリームエッグの検査官になるの。
そうすれば、手加減しながらも良いデータが取れるかもしれないし、ドリームエッグもここまで傷ついたりしない、可能性が高い。
どう?悪い話じゃないと思うけど。」
軽い感じに良い提案をしたと思ったが、トモミは首を横に振る。
「みんなの事を傷つけたくないから、お断りします。」
エゴから来るのであろうそれに、そう言われて、また考え込んでしまう。
「それだと、私が検査を受け持つことになるんだけど……、それでもいいのかな。
いつかはほかの人の卵の検査も行う予定なんだけど……、その時にトモミみたいな痛みを知っている人に検査を行ってもらった方が、卵にも負荷がなくていいかなって思ったんだけど。」
試すように重ねてそういうと、初めてトモミが考えるような顔になった。
「私が……、ドリームエッグの検査をする……。」
それに、私が頷くと、トモミはこちらを見ながら聞いてくる。
「どんな検査をするのか、教えていただいても?」
そう言われたから、研究室にあるプリンターを起動して、とある資料を印刷する。
それは、今まで組織から依頼されていた卵の耐久度検査のやり方と、その詳細が書かれているもので、そこに私が行っている卵へのアプローチなどが追加で書かれたものだ。
「もし、自分で検査をするなら、これを読んでほしいかな、その上で私がやっている検査方法を教えよっか。」
そうしてトモミを残したまま一階へ戻り、フライパンに入ったままになっている生焼けのハンバーグに群がっている一号や二号を蹴散らしてハンバーグに火を通す。
今日も卵には特別なメニューを作って出すことにはしているが、それでも卵たちが羨ましそうにご飯を見て来るのが最近常習化してきている。
そんなこんなで料理を終えてご飯を盛り、食卓に出す、トモミの側に、ドリームエッグがいないため、今日も淋しい食卓である。
いただきますをして私たちが食事を始めるが、トモミは難しそうな顔で資料を見ている、食べることに集中しろと言えば、ハンバーグに意識を集中させるが、それでも資料が気になるらしくて、その資料に目がいっていた。
「トモミ、今日はリクエストのハンバーグなんだけど、どうかな?」
食事に意識を向けないトモミに質問するが、当然の如く無視される、それにさみしさを覚えながら食事を終えた。
お風呂を沸かそうとしたら、トモミから質問が沢山来たから、一旦その質問をやめさせて、お風呂を軽く洗った後に沸かし始めてから話を聞く。
そうして、色々と説明が終わったところでお風呂が沸いた、それを聞いたトモミが入りに行く。
今日も私は卵のご機嫌を取りに食事をドリームエッグに持っていく、変身させて食べさせていくと、卵が甘えて来るから頭を撫でてやっていたら押しつぶされた。
それを横目にシンは食事をしていた、そりゃ君はほとんどというか、まったくファッションショーで読み込んでいなかったから、他の卵に比べて検査項目が少なくて済んだ上に、怪我も大したことなかったからよかったけど、そんな高みの見物にするか?ってくらいこっちを見て来る。
そんな状態の私のことをテリクスは支えてくれたが、テリクスも痛手を負っているため、あまり助太刀を期待してはいけない、腕や足は折れていないように見えるが、それでも打撲が随分と痛々しかった。
そんな感じにわちゃわちゃとしていたら、トモミがノーノックで部屋を開けてきた、そして、ご飯を食べているドリームエッグの状態を見て悲鳴を上げる、そりゃそうだな、あざだらけで被毛に血の跡があったりの、確実に何かがあった者たちを見るのは、精神衛生上よろしくない、食事は既にほとんどの卵が終わらせていたためもとの卵型に戻す。
そして、トモミが私にまた詰問してきたけど、それに真実を突き付けた結果、トモミが今度から自分が検査を行うと言ってきた。
言ってしまえば、こんなズタボロになるまでやらずとも問題はないのではないだろうか、ということをざっくりと意味を取ればそのようになった。
それにお礼を言いつつも、「無理だったら言うように、私もやり方は考えているから。」と言えば、トモミは頷いた。
トモミからお風呂に入るように言われたため、風呂にいくと、いつ買ったかも覚えていない入浴剤が溶けていて、良い香りがした、12月にゆずの香りとは、普段思わない贅沢を感じた。
風呂から出ると、誰もいないリビングでぼんやりとしているトモミがいたから話しかける。
どうやらテーブルの上に五号が居たために、音声が入っていたからこれも書いておく。
「トモミ、今日……だけじゃないね、黙っていてすまなかった。」
今日の事やほかの事を思いながら、困ったように弱弱しく告げると、スマホを弄りながらソファに座っていたトモミが顔をあげる。
「なにが悪かったか、分かっているんですか?」
子供じみた詰問をするトモミの口調にはとげがあったが、それが今の私には心地が良く感じた。
「卵の検査の事、トモミが私の助手になりたいって言ったときに言えたらよかったんだけど、言えなくて……。」
トモミが黙ったままだから、他にも私の事を責めていることがあるのだと察する。
「ほ、ほかにも!イベントが卵の成長度合いを測る会場だったってことも!言わなくて、悪かった……と、おもう……。」
子供が親に謝るときのようなそれに、トモミがこちらを睨みつけて来る。
「それ、初耳なんですけど。」「あ、ごめん……なさい。」
しおしおになる私に、トモミが睨みつける目そのままにため息を吐き、私がびくつく。
「……で?ほかにも隠し事してるんでしょ?」
それにまごつくと、トモミは更にため息を吐いて、頷く。
「私が子供だから、頭を突っ込んでほしくないって、ハラさんは思っていると思うし、私にもできないことはたくさんあると、わかっているつもりです。」
そう告げるトモミは、何か思うところがあるのだろう、こちらを見る目に何やら同情が浮かぶ。
「だけど、ハラさんには、無理かもしれないけど頼って欲しいのも確かです。」
「ともみ……。」
この家に来て、まだ少ししか時間が立っていないにもかかわらず、トモミはこの家の住人なんだということをその眼が言っていた。
「それに、私は言いました。『ハラさんを一人にしたら、ロクなことにならないみたいですね』、と。」
それに、少しカチンと来たから言い返そうとしたが、トモミが手で止めてきたから、思わず何も言わずに止まってしまう。
「その言い分を変えます、ハラさんには『私がいなければだめかもしれませんね。』」
真意が読み取れなかったため、頭に疑問符が浮かぶが、馬鹿にされているのだけはわかり、ムッとしてしまう。
「そんなことない、私もこれまで一人でやってきたつもりだし、研究一辺倒だったけど、それでもやることはやって来たし……。」
言い訳をするが、トモミの眼が怖くて黙ってしまう、トモミはそれをみて、何か溜飲を下げたらしい、なにかを思いながらこちらに話しかけて来る。
「勘違いしないでください、ですが、ハラさんには何かが決定的に欠けているのは確実です、それがなんなのかまではわかりませんが……とにかく欠けている気がするんです。
中学生の言うことなんて信じられないかもしれませんが、それでも、私に頼ってください、子供扱いしないで、ひとりの大人として見てください。
それで今回は良しとします。」
そう言われるが、これはあまり子供がやるような仕事ではない、確かに助手にすると言った上に検査をやらせると言ったのは私だが、そんなに沢山の仕事をやらせるわけではない、それに、解析も項目が大変になるのが目に見えているのだ。
そもそも問題、トモミはまだ中学生だ、学生の内は勉強に精を出した方がいいだろう、それを、先もわからない卵の研究に全て捧げることになったら、ある意味気の毒だ。
そんなことをつらつら考えていたが、最終的な落としどころはいつも通り、「まぁ、研究が進むならいっか」、ということで落ち着いた。
「そうか、トモミは仕事を任せてほしいのか。」
その顔がどのようなことを物語っているのかわからなかったが、トモミがギョッとした顔をした後に、顔を引き締め、頷いた。
「私が行っている仕事の内容は、組織から情報の黙秘を言われているため詳細は話せない、それに、話したらトモミの未来が狭まってしまうから、それは避けたい。」
淡々という私の声が、震えるのがわかる、トモミは何も言わずに頷いた。
「トモミに仕事を任せることはほとんどない、いてくれるだけで結果が変わっているということから、それが研究に有用に働いているからだ。」
トモミの顔が変わるが、それを無視して話す。
「トモミには辛い仕事はやらせる気はない、だから、せめてそばにいてくれないか……?」
いつの間にか目線を下にしながらそれだけ言うと、トモミはため息を吐いてスマホを置いたみたいだった、その音にびくつきながらトモミの方を見ると、トモミは諦めたように笑っていた。
「ハラさんは仕方ありませんね、もういいですよ、それで。」
その顔には、苛立ちはなかった。
「みんな、ごめんなさい……!」
今まで卵に対して行っていたことが色々と頭の中で巡っていたなかの言葉の中で、なんとか絞りだした言葉でそれだけを思わず謝ると、トモミは困った顔をしながら声をかけてきた。
「ハラさんが研究のためにやってきたと言ってたではないですか、これからは私も一緒に頑張りますし、一人で抱え込まないでください、中学生ではありますが、私は意外と有能かもしれませんよ?
そして、辛い事も、今まで通り私に話してくれていいんですからね?」
言いながらトモミは自身の目元を指さしているから、それを自分のことだと理解してそこに手を添わせると、いつの間に泣いていたのかわからないが、目から涙が流れていた。
「なっあっちがっ!これはちがう!」
そう言いながら涙をぬぐうが、なぜか流れてきてしまうのに、トモミがこちらに来てティッシュを渡してくる。
「泣かないでくださいよ、それにほら、ハラさんにも大人なりに、子供には言えないことが沢山あるんでしょ?もういいですよ、そんなに泣くなら、それに子供の前ですよ?」
呆れたように言われるが、飛び出した涙が引っ込まないため、ティッシュを貰って鼻をかんで手の中に握る。
「……実験生物だって、割り切りたかった。」
「はい。」
「……自分が飼うことになるなんて、思ってなかった……。」
「はい。」
「……感情がなければ、それだけだった……。」
「はい。」
「……あいつらに愛着を持つべきではなかったのに、愛着を持ってしまった……。」
「はい。」
トモミと会うまでの、今までの事を淡々と呟くように話すと、トモミはそれだけを呟きながら頷いていた、大人が中学生にあやされるなんて、他の大人が見たらなんていうだろうか。
だけど、今この時だけは、今までの事を思い出してぐちゃぐちゃになった感情を、割り切れなかった感情を、慣れることが出来なかった感情を吐き出したかった。
実験の詳細は伝えていない筈だが、卵は実験動物的扱いの存在だったことは、トモミには伝わったと思う。
子供たちに卵をばら撒いたことへの詳細は言わずに、自分の家にいる卵の事を伝えると、トモミはひたすらに頷くだけだったから、理解してくれたかさえ苦しい。
しかし、気持ちを吐き出して、泣き止んだころには、トモミは泣きそうな顔になっていた。
「……ごめん、本当は話すつもりなかった。」
弁明をすると、トモミは首を振った。
「……みんな、いつか解体されちゃうの?」
悲し気な顔をするトモミに、私は首を振る。
「私が元気なうちは大丈夫、それに、うちの子たちはみんな、ちゃんと育ち切って、死ぬまで生かすって契約になっているから、気にする必要はないかな。」
そういうと、トモミは明るい顔になる、しかし、その裏で物語っているものがある、それは。
私が死んだり、どこかに失踪したりして、飼育続行不可能となった際に、後継者がいなければ、私の卵は全て研究対象として破壊され、検体になるということ。
最後まで看取るのには、それも含まれているのだ。
それを伝えるかどうか悩んだが、トモミの重しになってはいけないと、黙っておくことにしたのだった。
そんなこんなでトモミから、今のドリームエッグの状況を見たいと言われたため、見せてやることにする。
全てのドリームエッグの事を動物型に変えると、トモミはすごく痛々しそうな顔をしたが、それでも現実を受け入れようとしている風には見て取れた。
「だから、トモミに見せたくなかったんだよ。」
ぼそりと呟けば、トモミから脳天にチョップを食らった。
「痛っ!」
「自分の家族が怪我をしたら、容体を見るのは当然でしょうが!」
その言葉に、思わず衝撃を受ける私がいたが、トモミがそう言うならそうなのだろう。
家族という目で、卵を見たことは、ないはずだった、感情のパラメータも、可能性があるというだけで付け加えたところもあるのだ。
だから、家族と言われて思わず、何も言えなくなってしまったのだ。
「そうか……、家族……。」
その言葉に反応したトモミが頷く、むず痒いような感情になったが、それを無視してトモミに嫌がらせをするために話しかける。
「とにかく、今日は気にしないで勉強して寝ること!学生の本分を疎かにしたら、私の顔が立たないからね!」
全てをぶった切ってトモミが嫌がるだろうことを言えば、案の定トモミは嫌がった。
「ハラさん!子供扱いしないでよ!」
「あんたは子供でしょうが!黙ってしたがっておいた方がいいからね!」
そんなことを二三言、言いあった後にトモミは自分の部屋に戻っていった。
自分の部屋の扉を開けたトモミは、こちらを見ながら舌を出す。
「ハラさんの泣き虫!」
それに思わず赤くなり、怒鳴りつける。
「さっさと勉強して寝てろ!子供が!」
トモミはケラケラと笑いながら扉を閉めた、その扉を恨めしそうに見た後に研究室に引っ込む。
その後は残っている卵の解析を進めた、大体4分の3が終わったところで今日は切り上げる。
パソコンを起動したまま、配った卵の解析を進め、出たデータを明日以降にまとめることにした。
今日は、シン、ドライ、フィーア、フュンフ、ゼクスといった、残っていた卵と一緒に寝る。
昨日と同じように布団をかけ、ゴロゴロとしている卵に乗らないように電気を消すことにする。
五号からの情報を日誌に書いてからのことではあるが、泣いたことは別に書かなくてもよかったかもしれないと、自分では思っている。
中学一年生に泣かされる28歳……、どこをどうとってもダメだろうが、自己反省が酷い、それと、中学生と精神年齢が同じような会話を繰り広げているのも、やばいだろうな。
卵は全て研究対象だという目で感情を切り捨てて、研究のために動いていた私だが、昔の血も涙もない性格がどうしてこうも軟化したのかがわからない。
というか、涙でトモミの事を研究に使うために引きずり込んだまである、研究のために冷徹にならなければ、これはできないだろう。
そう思いつつ、多分もう、そう思うことは無理なことはわかっていた、ドリームエッグもワンダーエッグも家族として見てしまえば、もう、引き返すことはできないだろう。
トモミには、研究というか検査を手伝ってもらい、後継者になってほしいという願望が少なからずある。
自分の汚いところを見せてしまったが、研究対象であるドリームエッグも、ワンダーエッグも、大切な家族なんだと、頭が理解してしまう。
傷付けることを恐れるなんて、研究者失格だな。




