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DAY83(木)12月21日

DAY83(木)12月21日


朝、目が覚めたら、トモミが拘束するように抱き着いたまま寝ていて、その心地よさから思わず二度寝しかけた。


トモミに起きるように促したら、眠そうな顔のまますり寄ってきたから、それを引きはがしにかかる。


いつもだったら布団を巻き込み他人を排除して寝ている私だというのに、それがなかったことを考えると、寒さから抱き着かれたため、その状態でそのままになったのだろう。


とにかく目覚まし時計を止め、トモミに朝が来たことを告げてから、そのままベッドから降りたら、トモミも一緒になって起きたらしい、のそのそとベッドから降りるのを視認した。


卵を起こしてから一階へ行き、朝ごはんの用意をする、その時にアマチャンからクリスマスパーティーに呼ばれているから、一緒に来ないかといわれたことを言うと、トモミからブーイングを貰った。


そんな族のクリパなんかに行かずとも、私がいるから、とのことだったが、相手から無理に誘われたため行かざるをえない。


ということをトモミに言い、土曜日にみんなを連れてクリパに参加することを言うと、トモミから本気でやめてくれと言われた。


その本気度を見たから、とりあえずアマチャンに連絡を入れることにして、料理が出来上がったのをみんなして食べた。


トモミが学校へ行くのを確認した後、アマチャンに連絡をする、クリパに行くことは無理かもしれないと送ったら、大体2時間後に駄々こねの連絡が入り頭を抱えた。


その2時間の間にやることをやり、一階の広々和室を片付けていた、その時に座布団などを出して来客のために備えようとしたが、座布団が少なく感じたため、買いに行こうかを考える羽目となった。


今回の講習会には親御さんも来るだろうから、なるべく座布団を用意しなければならないが、法事の時の座布団の量並みに揃えなければならないのだろうかと思っていたら、玄関が鳴り、出てみたらアマチャンが一人で立っていた。


その時の音声が五号に入っていたため書く。


「ハラぁ、どうしても、どぉーしても、来られない……?」


その顔は死んでいて、私はクリスマスパーティーにあなたがいないと死にます、みたいな顔をしていた。


「いやー、同居人が行くことを許可してくれなかったからね、すまない、行く約束はできそうにない。」


それを言ったら、アマチャンが一つため息をついた。


「そか、なら仕方ないか、なら予定変更かな。」


その言葉になにか背筋が寒くなった。


「あたし、ドリームエッグの講習会の後ずっと居座るわ。」


その顔には見捨てないでくださいと書かれていて、こいつホントに総長の器なのだろうか、と思ってしまう。


「それは別にいいけど……、愚連隊だか暴走族だかの(かしら)をやってるんじゃないのか?」


そういうと、アマチャンが頷いた。


「それはそうなんだけど、今までご飯くれてたお礼をしたかったのに、クリパに来てくれないんじゃ意味ないから、居座るしかないじゃん。」


「一体それのどこがお礼なんだか……。」


思わず頭を抱えるが、アマチャンは引き下がりそうもない、一つため息を吐いてからどのようなことをする予定だったのかを聞くと、簡単に言えばおもてなしをしたいのだと言ってきたから、丁寧にお断りすることにした、が。


「ハラは、あたしらの事を認めてくれないの……?」


「いや、そうじゃないけど……、あー!もう!今からは!?」


結局折れて言ったその言葉に、アマチャンは顔をあげた。


「……一緒に来てくれんの?」


私は頭をガシガシ掻きながら頷く。


「まだ仕事残ってるけど、今からなら行っても良い、その代わり!講習会の日のクリパはいけないから!それでいいか!?」


諦めたように言うと、アマチャンが嬉しそうな顔をした、私も中学生や小学生連中に甘い事はわかっているが、こんな捨てられた子犬みたいな顔をされて絆されないのが無理な性分なのだと、かかわってみて初めて分かった。


そして、アマチャンが乗ってきたというバイクに乗せられて移動する、中学生が運転するバイクに乗るのは、色々な情緒や罪悪感、その他諸々で心がぐちゃぐちゃになるが、法的にダメだろうと頭ではわかっていても、バイクには乗った経験が少ないため、アマチャンに任せることにした。


なお、ヘルメットは顔が隠れるタイプをつけてある。


そんなこんなで到着したアジト、使われなくなったビルの下まで来た私たちは、バイクから降りてアマチャンがバイクを玄関近くに止めたのを確認してから一緒に入る。


二回目な為、緊張しないかと思ったら、意外と緊張することがわかった、あの時はアマチャンへ卵を届けるという使命感と、卵が沢山あったから制圧するのは楽そうだと思ったが、今は五号しかいない丸腰状態、言ってしまえば今の私は丸裸の弱者だ。


アマチャンが建物内のゲームセンター的なところにたどり着き、そこにある上等そうなソファに座る。


私は族の人たちに囲まれたが、そいつらを全く恐れていない、みたいな態度を取って軽く威嚇する、そんなことをしていたら、アマチャンが隣に座るように促してきた。


「ハラ!こっちこっち!」


その声に導かれるように恐る恐る隣に座ると、アマチャンが機嫌良さそうに腕を絡めてきた。


「えっと……?恥ずかしくないのか?」


思わずそう聞いてしまうが、それをスルーするアマチャン、そして、そこにいる男たちに一言。


「みなも知っているとは思うが、こいつはハラ、あたしのダチだから、下手なことしたらぶっ殺すからな!」


アマチャンが言うと、そこにいた男たちは全員「うっす!総長!」といい、こちらを見て来る。


居心地が悪くて目線をキョロキョロさせると、アマチャンが不思議そうな顔をする。


「ハラ、どうかした?」


抱き着いてくるのは良いが、他の人がジッと見てくる中で抱き着かれているのは、どうも違和感というか、気恥ずかしさがある。


「いや、私なんかがここにいていいのかなーって、つい、思ってしまってな。」


それに、アマチャンは甘えたように更に抱き着いてくる。


「今日はあたしの事を良くしてくれてるお礼に呼んだだけだから、べつにいーんじゃない?」


そんなアマチャンの近くに三人の男がやってくる、名前が頭から出てこなかったが、それの答えをアマチャンが話してくれた。


「シラカミ、コマニュウ、マツダテ、この三人にはハラもあったことあるよね。」


三人がお辞儀をしてくるから、それにお辞儀をし返す、確か、金髪リーゼントがシラカミ、銀髪で顔が優男なコマニュウ、茶色の髪に強面の男がマツダテ……だったか。


「一応覚えてるよ、この三人が気性の穏やかな方の隊員だとね。」


それに、三人は不服そうな顔をするが、気性が穏やかな方が生きやすい気がする。


「基本はあたし含めたこの4人でハラの事をもてなそうと思って!クリパ来られないのは残念だけど、今日はあたしたちに身も心も預けて!ね!」


そうゴロゴロと甘えて来るアマチャンの頭を撫でると、アマチャン以外の者が何を考えているのかわからない目がこちらを見て来る。


「……で、私は何かやった方がいいかな?」


それを聞いたら、アマチャン達が各自好きなことをし始める、その行為が私に向けてのことなのは容易に理解できる。


どこから持ってきたのかわからない飲み物、食事、その他諸々、頑張って用意したのだろうそれらを、私の前に置かれたテーブルの上に出されていく。


そんなこんなで始まったパーティーは意外と長時間続き、私がお暇する頃には日が暮れていた。


今日の事をざっくりといえば、アマチャンが私の事を隊員に告げ、今後私に危害を加えないようにいうのが目的の一つで、卵を貰う予定の隊員との顔合わせ的なことだったらしい。


とりあえずそれらを喧嘩の時に使うことを禁じて、育てることに重点を置いてほしい旨を伝えるが、あまり効果はなさそうだったから、育てられないものからは問答無用で取り戻す旨を伝える。


そんなこんなで私のため?のパーティーは終わり、アマチャンに送られて家にまで着く。


「ハラはあたしの族の一員になったから、いつだって来ていいよ!」


良い笑顔で言ってくるアマチャンに曖昧ではあるが、笑いかけながら頷く、心の中では何故いつの間にそうなったのだろうかとか、色々なツッコミが吹き荒れている。


「アマチャンだけだったら、別に家で開かれる講習会の後のクリスマスパーティーに来ても良いから、それだけは伝えておく。」


別れ際にそういうと、アマチャンは驚いた顔をした後に破顔一笑した。


「講習会、たのしみにしてる!」


そう言ったアマチャンがバイクを走らせて去っていく、家へ入ったら、トモミが食卓の椅子の上に体育座りでいた。


声をかけた時の音声も五号に入っていたため書く。


「家に帰るのが遅くなって済まない、お腹減ったか?」


トモミの近くへ行きながら言うと、トモミがこっちにこいとジェスチャーをしてきたから近くに行く、どうかしたかと聞くよりも早く抱き着いてきた。


「ハラさん、どこに行っていたんですか?」


ギュウギュウと強い力で締め付けてくるため苦しいが、それでも頑張って答える。


「ちょっとした野暮用でね、なに、大したことじゃないさ……っ!?」


答えた後に、トモミは不服そうに私の事を睨みつけてきた上に、思いっきり顔を近づけてきた。


「大したことがない……ねぇ、私は淋しかったし、不安だった、昨日一緒に寝たせいで嫌われたのかもって、そんなことで頭の中がいっぱいだった。」


まるで面倒な彼女のようなことを言ってくるなぁ、と、どこぞのチャンネルのスレまとめを見ている気分になるが、これを食らっているのが自分だという現実が驚きだった。


「ねぇ、ハラさん、今日どこいってたの?」


顔を至近距離に近づけながら聞いてくるため、諦めて白状する。


「卵を渡したアマチャン、ほら、ついこの間ファッションショーに一緒に行った中学生の彼女、その子の、あー、ちょっとした集まり?に行ってきただけだよ。」


両手をあげながら降参の意を示していたが、トモミは更に噛みついてくる。


「どうして不良の集まりに行ったんですか?」


トモミは考える素振りを見せた後に、何かに気が付いたような顔になった。


「ハラさん、脅されたんですか!?やっぱりアマダレさんに会うのは危険だって思ってたんです、すぐに縁を切りましょう!」


「待て待て待て待て、ちょっとまて、いつ脅されたことになったんだ。」


思わず制止をかけるが、トモミは私の事を見ているような見ていないような目をしながらぶつぶつと呟いているから、頭に手を置いてやる。


「!?……ハラさん?」


驚いた顔でこちらを見て来るトモミに目線を合わせる。


「ただ単にアマチャンと一緒に、ちょっとしたパーティーに行っただけ。


主賓が私だったし、クリスマスパーティーにはいけないってことを言ったら、今日に予定が変わっただけだから、あまり心配しなくても良い。」


くしゃくしゃと頭を撫で繰り回すと、トモミは不服そうな顔をするが、すぐに引き下がった。


なんとなく目線を感じて振り向くと、そこにはリオンがいた。


なにやら良い笑顔だったが、別に深い意味はないだろう、そう思いながらキッチンへ行く。


「さて、料理するか、何がいいとかあるか?」


聞いたら、トモミは自分で作って食べたと言ってきたから、卵のためのご飯を作り所定の場所に出す。


アマチャンのアジトで色々と食べさせられた私は、卵たちが食事をしている様を眺めるだけであったが、やることを思い出し研究室へと向かおうとした。


しかし、トモミが一緒に居たいと言ってきたため、面倒だなと思いながら、今日のところは研究室の中に居させるのを許可する。


「その代わり、研究室では勉強をするという目的で居座る事、それ以外ではいること禁止するからな。」


きつく言えばトモミは頷いて研究室の中で机を出し、その上に勉強道具を展開して問題を解き始める。


その光景を確認してから、私もすぐ目の前に来た講習会における要項等、様々なものをまとめ、それらをテンプレートを使いあっという間に仕上げる。


前回作った招待状をベースとした今回の招待状を作り、卵を持っている者たちに送り付ける。


今回の講習会では、親にも参加してほしいということを伝えるようにとは告げたが、あと数日の間にどれほどの親御さんが集まるのかは、ブラックボックスだ。


トウカにはシオリから話をしてくれということを伝え、講習会の後にはちょっとしたクリスマスパーティーをすることも招待状内に含めて伝えたら、あとは何も考えずに仕事をこなす。


ふと思い、連絡が入っているかを確認してみたら、少し前の日付に「次の講習会はいつになるのか」という質問があったことに気が付いた。


それを見た瞬間に、連絡が来ていたことに気がつけなかったと心が死んだが、社会人としてはかなりルーズな(たち)の私は、なるべく早くに企画をするというのが苦手だから、直前になって招待状を作ることをなるべく止めにした方がいいということを心の中で決める。


なんだかんだイベントの仕事を終わらせ、普段の仕事に取り掛かると、トモミが話しかけてきた。


宿題が終わったため、そろそろ部屋に戻るらしく、お風呂を沸かして先に入ってくるとのことを言っていた。


頷いてから送りだし、静かになった室内で研究に没頭して、お風呂からトモミが出るまでにやることを全て終わらせた。


トモミからお風呂に入るように言われたためゆっくりと入り、明日以降の事に思いを巡らせる。


色々と考えながら入った後に、冷蔵庫の中を見たら炭酸飲料があったため、開けて飲む、トモミに明日以降イベントで忙しくなることを告げると、トモミが頷いていた。


そんなこんなで寝る時間、トモミは自室へと戻り、私も卵を全て元に戻してから寝ることにする。


今日のノルマは達成したが、ここ最近たるんでいる、気持ちを引き締めなおさなければ、心に誓うが、きっと明日までには忘れているだろうということは、自分の事なのでわかっていたりする。

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