表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『聞いてる? 鈴木くん。』  作者: ともり。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/30

第十八話 見つけてしまう

## 第十八話 見つけてしまう


 体育祭まで、あと一週間。


 放課後の校庭には、生徒たちの声が響いていた。


 鈴木も綱引きの練習に参加していたが、今日はなぜか集中できない。


「鈴木ー! 引け引け!」


「お、おう!」


 慌てて綱を握り直す。


 周りから笑い声が上がった。


「最近ぼーっとしてない?」


 友人の田辺が言った。


「そうか?」


「そう。」


 即答だった。


---


 練習が終わった後。


 鈴木は校舎へ戻ろうとしていた。


 その時だった。


 中庭のベンチが目に入る。


 そこには花本がいた。


 そして。


 隣には中村。


 二人で何かを話している。


 花本が笑う。


 中村も笑う。


 ただそれだけの光景。


 なのに。


 なぜか足が止まった。


「……。」


 胸の奥が少しだけざわつく。


 理由はわからない。


---


 その夜。


 ベッドの上。


 鈴木はスマホを見ていた。


 SNSには体育祭準備の写真がたくさん上がっている。


 その中にも。


 花本と中村が写っていた。


 別に特別な写真じゃない。


 委員会のみんなで撮った集合写真。


 でも。


 気づけば花本を探している。


 そして。


 隣に中村がいることが気になる。


「なんなんだろ。」


 小さく呟く。


 自分でもわからなかった。


---


 翌日。


 昼休み。


 花本はいつも通り前の席へやってきた。


「暑すぎる。」


 机に突っ伏す。


「それ昨日も言ってた。」


「今日の方が暑い。」


「毎日更新されてる。」


 花本が吹き出した。


 鈴木も笑う。


 こういう時間が、最近増えた気がする。


---


「そういえば。」


 鈴木は何気なく聞いた。


「中村と仲良いんだね。」


 その瞬間。


 花本が少しだけ目を丸くする。


「中村?」


「うん。」


「普通だよ。」


「そうなんだ。」


「なんで?」


 花本が不思議そうに聞く。


 鈴木は答えに詰まった。


 なんでだろう。


 本当に、なんでだろう。


---


 花本はそんな鈴木を見ていた。


 そして。


 ほんの少しだけ笑う。


「もしかして。」


「?」


「気になってる?」


「何が。」


「中村。」


「別に。」


 鈴木は即答した。


 花本はさらに笑う。


「そっか。」


---


 でも。


 その日の帰り道。


 鈴木は思い出していた。


 ベンチで笑う花本。


 隣にいる中村。


 自分の知らない時間。


 知らない表情。


 知らない会話。


 そして。


 それが少しだけ面白くないと思った自分。


 夏の夕暮れは、まだ明るかった。


 けれど鈴木の中では、


 何かが少しずつ形になり始めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ