表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『聞いてる? 鈴木くん。』  作者: ともり。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/30

第十五話 知らない顔

## 第十五話 知らない顔


 月曜日。


 教室へ入った瞬間。


 鈴木の視線は無意識に花本を探していた。


 そして。


 窓際で友達と話している姿を見つける。


 いつも通り笑っている。


 それを見て、なぜか少しだけ安心した。


「……?」


 自分でも理由はわからない。


---


 朝のホームルーム前。


 花本は友達と楽しそうに話していた。


 その輪の中には、同じクラスの中村もいる。


 昨日、ボウリングに行っていた男子だった。


 中村が何か言う。


 花本が笑う。


 また中村が何か言う。


 花本が肩を叩きながら笑う。


「……仲良いんだな。」


 気づけば、そんなことを考えていた。


---


 昼休み。


 今日は花本が来なかった。


 代わりに。


 向こうで中村たちと話している。


 楽しそうだった。


 鈴木はパンの袋を開きながら、何度もそちらを見てしまう。


 すると。


「鈴木くん。」


 佐々木が近づいてきた。


「あ、真帆さん。」


「昨日ありがとう。」


 映画の話だ。


「こちらこそ。」


 佐々木は少し笑った。


「また行こうね。」


「うん。」


 普通なら嬉しいはずだった。


 実際、少し嬉しい。


 でも。


 その時も鈴木の視線は、どこか花本を探していた。


---


 放課後。


 教室には夕日が差し込んでいた。


 鈴木が荷物をまとめていると。


「鈴木くん。」


 珍しく花本の方から近づいてきた。


「あ。」


 少しだけ胸が軽くなる。


「どうしたの?」


「プリント。」


 花本は一枚の紙を差し出した。


「先生から預かってた。」


「ありがとう。」


「どういたしまして。」


 会話はそこで終わる。


 いつもなら、もう少し話していた。


 でも今日は違った。


「じゃ。」


 花本は軽く手を振る。


 そのまま教室を出て行こうとする。


 鈴木は思わず呼び止めた。


「あのさ。」


 花本が振り返る。


「ん?」


「昨日、ボウリング行ってた?」


 一瞬。


 花本の目が少しだけ大きくなる。


「行ったけど。」


「中村たちと。」


「うん。」


 数秒の沈黙。


「楽しかった?」


 そう聞いた瞬間。


 花本は少しだけ不思議そうな顔をした。


「楽しかったよ。」


「そっか。」


「……。」


 花本はしばらく鈴木を見ていた。


 そして。


 ふっと笑う。


「鈴木くん。」


「なに?」


「もしかして。」


 花本は何かを言いかける。


 でも。


「やっぱりなんでもない。」


 そう言って笑った。


 その笑顔は、少しだけ意味深だった。


---


 教室の窓からは、夕焼けが見えていた。


 鈴木は花本の後ろ姿を見送りながら思う。


 最近。


 花本の知らない顔をたくさん見る。


 そしてその度に。


 胸の奥が、少しだけ落ち着かなくなるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ