第十五話 知らない顔
## 第十五話 知らない顔
月曜日。
教室へ入った瞬間。
鈴木の視線は無意識に花本を探していた。
そして。
窓際で友達と話している姿を見つける。
いつも通り笑っている。
それを見て、なぜか少しだけ安心した。
「……?」
自分でも理由はわからない。
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朝のホームルーム前。
花本は友達と楽しそうに話していた。
その輪の中には、同じクラスの中村もいる。
昨日、ボウリングに行っていた男子だった。
中村が何か言う。
花本が笑う。
また中村が何か言う。
花本が肩を叩きながら笑う。
「……仲良いんだな。」
気づけば、そんなことを考えていた。
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昼休み。
今日は花本が来なかった。
代わりに。
向こうで中村たちと話している。
楽しそうだった。
鈴木はパンの袋を開きながら、何度もそちらを見てしまう。
すると。
「鈴木くん。」
佐々木が近づいてきた。
「あ、真帆さん。」
「昨日ありがとう。」
映画の話だ。
「こちらこそ。」
佐々木は少し笑った。
「また行こうね。」
「うん。」
普通なら嬉しいはずだった。
実際、少し嬉しい。
でも。
その時も鈴木の視線は、どこか花本を探していた。
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放課後。
教室には夕日が差し込んでいた。
鈴木が荷物をまとめていると。
「鈴木くん。」
珍しく花本の方から近づいてきた。
「あ。」
少しだけ胸が軽くなる。
「どうしたの?」
「プリント。」
花本は一枚の紙を差し出した。
「先生から預かってた。」
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
会話はそこで終わる。
いつもなら、もう少し話していた。
でも今日は違った。
「じゃ。」
花本は軽く手を振る。
そのまま教室を出て行こうとする。
鈴木は思わず呼び止めた。
「あのさ。」
花本が振り返る。
「ん?」
「昨日、ボウリング行ってた?」
一瞬。
花本の目が少しだけ大きくなる。
「行ったけど。」
「中村たちと。」
「うん。」
数秒の沈黙。
「楽しかった?」
そう聞いた瞬間。
花本は少しだけ不思議そうな顔をした。
「楽しかったよ。」
「そっか。」
「……。」
花本はしばらく鈴木を見ていた。
そして。
ふっと笑う。
「鈴木くん。」
「なに?」
「もしかして。」
花本は何かを言いかける。
でも。
「やっぱりなんでもない。」
そう言って笑った。
その笑顔は、少しだけ意味深だった。
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教室の窓からは、夕焼けが見えていた。
鈴木は花本の後ろ姿を見送りながら思う。
最近。
花本の知らない顔をたくさん見る。
そしてその度に。
胸の奥が、少しだけ落ち着かなくなるのだった。




