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『聞いてる? 鈴木くん。』  作者: ともり。


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第十二話 既読

## 第十二話 既読


 花本が休んで二日目。


 朝の教室は、昨日よりも少しだけ静かに感じた。


 もちろん、そんなはずはない。


 クラスメイトたちはいつも通り話しているし、先生もいつも通りだ。


 変わったのは、花本の席が空いていることだけ。


 たったそれだけ。


 なのに鈴木は、何度もその席を見てしまっていた。


---


 昼休み。


 パンをかじりながら、鈴木はスマホを取り出す。


 LINEを開く。


 花本とのトーク画面。


 昨日は結局、何も送れなかった。


 でも今日は違った。


 少し迷ってから文字を打つ。


『体調大丈夫?』


 短い文章。


 送信。


 その瞬間。


 なぜか少しだけ緊張した。


「……。」


 自分でも理由がわからない。


---


 五分後。


 既読はつかない。


---


 十分後。


 まだつかない。


---


 放課後。


 それでも既読はつかなかった。


「寝てるのかな。」


 鈴木は小さく呟く。


 体調が悪いなら仕方ない。


 そう思う。


 でも。


 どこか落ち着かなかった。


---


 その頃。


 花本は自室のベッドで天井を見つめていた。


 熱はもう下がっている。


 けれど今日は学校を休んだ。


 スマホが震える。


 画面を見る。


 鈴木悠真。


『体調大丈夫?』


 たったそれだけのメッセージ。


 それなのに。


 花本の胸が少しだけ熱くなった。


「……ずるい。」


 小さく呟く。


 二日間。


 来ないかもしれないと思っていた。


 気づいてもらえないかもしれないと思っていた。


 なのに。


 たった一通で嬉しくなってしまう。


「ほんと、ずるいなあ。」


 花本はスマホを胸の上に置いた。


 返信しようか迷う。


 でも。


 少しだけ意地悪したくなった。


---


 夜。


 鈴木は参考書を閉じた。


 勉強していたはずなのに、あまり頭に入っていない。


 気づけばスマホを見ている。


 そして。


 ようやく通知が光った。


 花本からだった。


『たぶん生きてる』


 それだけ。


 短いメッセージ。


 でも鈴木は思わず笑ってしまった。


『それなら安心』


 送信。


 数秒後。


『明日行く』


 続けて届く。


 その文字を見た瞬間。


 胸の奥の違和感が、少しだけ軽くなった。


---


 窓の外では、夜風が静かに木を揺らしていた。


 鈴木はスマホを置く。


 そして何気なく思う。


 明日、花本に会える。


 ただそれだけなのに。


 なぜか少しだけ嬉しかった。


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