↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レプリカのアイドル~声真似系VTuberが天下をとる話~  作者: 独身ラルゴ
第五章 ハイ信者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
174/205

番外編25(終) 異迷ツムリの成長

 その日の配信はソロ。

 それも普段は手を出さない企画に挑戦していた。


「というわけでぇ。本日の練習歌枠は以上ですぅ」


《その……個性的な歌だったね?》

《い、一生懸命歌ってて可愛かった!》

《俺は好きだぞ(盲目)》


「頑張って褒めようとするの悲しくなるのでやめてもらえますぅ? もー……前にカチュアさんとコラボしてから歌枠しろーってうるさいからしたのにぃ」


《これから練習すれば良いのよ》

《伸び代に期待。ということで定期的に歌枠よろ》


「分かってますよぉ……くそぅ……」


 視聴者の舐めた態度もソロ配信だと2割増しに感じる。

 しかしお世辞にも上手いとは言えない歌でも喜んでくれるのは感謝しかない。


「ちょっと雑談でもしますかぁ。何か聞きたいこととかありますかぁ?」


《おっ雑談久々だな》

《コラボ増えるとどうしても減るよなぁ》

《ちな次は誰とコラボ予定?》


「えー次の予定なんてまだありませんよぉ。私から誘うのは流石に恐れ多すぎてぇ」


《いや散々誘ってたじゃんw》

《陰キャオタクの悪いとこ出てるぞ》


「あれは連続企画っていう大義名分がありましたからぁ。それも前回のムルシェさんで全員終わっちゃいましたしぃ」


《ああ言えばこう言う……w》

《多少成長しても根っこは変わらんかぁw》


 ぐだぐだと文句を言いながら、ちょうど話題に出たコラボについて話し始める。


「ホントに……色々教えてもらって仲良くなれて。ちょっと不思議な感覚ですよねぇ。もっと遠い存在だと思ってましたからぁ」


《確かに教えてもらったなぁ。タメになることから競馬みたいな余計なことまで……w》

《同じ立場でもそう思うものなの?》


「それはそうですよぅ。私なんかただのオタクで全員尊ぶべき推しだと思ってますしぃ……それに、憧れでもありますからぁ。なんて、ちょっとおこがましいですかねぇ?」


《視聴者の目線すぎるのよw》

《いいじゃん憧れ。応援するぞ》

《そういうお前は俺等の推しだけどな》


「いっつもそういうこと言いますよねぇ。私なんかより推すべき人たくさんいると思いますけどぉ」


《いっつもそういうこと言いますよね(ブーメラン)》

《もう慣れたよ。そこ含めて推すって決めてるんでね》


「むぅ……でもその気持ちは素直に嬉しいですからぁ。やれるだけやってみますねぇ。へへ……」


《おお……やっと推される側の自覚芽生えてきた?》

《成長じゃん。泣きそう》

《何があっても応援し続けますよって》


 久々な視聴者との雑談、少々しんみりしながらも楽しい時間を過ごせた。

 そんなソロ配信を終えると、今度は1人の訪問者を迎え2人の時間になる。


「マネージャーさぁんもうお腹ペコペコですよぉ。早くご飯作ってくださぁい」

「疲れてるところ悪いが、作るのはお前だ。そういう約束だろ?」

「あ、そうでしたぁ……ちゃんと教えてくださいよぉ?」

「それはもちろん。そういう約束だからな」


 一度すれ違った経験から話し合い、2人の間で決めたルール。

 やる前から諦めガチな彼女も思うところがあってか、素直に言うことを聞いてくれた。


「で、出来ました……よねぇ?」

「ああ。味もちゃんと美味いぞ。やればできるじゃないか」

「ふへへ……まあ半分くらい手伝って貰いましたけどぉ」

「ちょっとずつ覚えればいいよ。冷めないうちに食べようか」


 程々に褒めながらモチベーションを保たせる。

 もっとも、今の彼女にはそんな気遣い必要ないのかもしれない。

 色んな人との交流で学びを得たのか、少しだが人間的成長も伺える。


 安堵しながら箸を進め、ついでに今後の話もしてみる。


「そろそろライブ本番が近いな。レッスンもいよいよ大詰めか」

「う゛っ゛レッスン……でもアルマさんの顔に泥塗るわけには行きませんよねぇ。頑張りますぅ……」


 導化師アルマ10周年記念ライブ。

 嫌な顔をしたのは体力的な面でレッスンがキツイというのもあるのだろう。

 しかしそれ以上に、自分にしかできないと頼まれた大役にプレッシャーを感じているようにも見える。


「ツムリ。最近は無理してないか?」

「え? どうしたんですか急にぃ」

「いや、さっきの配信見てちょっとな」


 異迷ツムリをしばらく側で見てきて、十分理解しているつもりだ。

 この少女は、期待されることを苦手としている。


「よく『自分はただのオタクだから~』って言うだろ? VTuberになったのも僕と姉さんが半ば強引に引き込んだようなものだし。重荷になってたら申し訳ないなと」

「うーん今更なこと言いますねぇ」

「それは……確かに。すまん」


 ツムリから珍しく鋭い一言を貰い、思わず謝罪する。

 そのまま彼女は続けた。


「これでも感謝してるんですよぉ? 私だってアイドルになりたい気持ちは変わってませんからぁ」


 元は現実のアイドルを目指していた少女。

 今は仮想の姿でアイドルを目指している。


「今はまだまだアイドルなんて名乗れませんけどぉ。身近に魅力的なお手本がたくさん居ますからぁ」


 皆に愛されるアイドル、そんな夢を諦められず苦手なことにも挑戦し続けている。


「推し活しながらアイドル目指すVTuber、ってダメですかねぇ?」


 好きなものも、なりたい夢も、譲れないものは何一つ諦めない。


「ダメなわけないだろ? 異迷ツムリのファンはお前のそういうところを推してるんだから」

「よかったぁ。なら今まで通り気ままにやらせて貰いますのでぇ。間違ってたらちゃんと教えてくださいねぇ」


 そんなワガママな少女を、自分は応援するって決めたから。


「ああ。それも僕の仕事だからな」


 いつか、彼女が胸を張ってアイドルだって言えるようになるまで――――。


番外編、これにて完結です。

比較的平和な裏話はいかがでしたでしょうか?

本編の重さに耐えかねて描き始めた番外編でしたが、箸休め程度にお楽しみいただけていれば幸いです。

(なお、この後の展開は第一章第19話に続きます……)


本編最終章は変わらず続きますので、引き続きお楽しみいただけますと嬉しいです(^^)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。