番外編24 対談コラボ:紅月ムルシェ
異迷ツムリchコラボ企画、最後の一人。
紅月ムルシェと共に配信を開始する。
「お見舞い凸待ちをするのです!!」
「はぁいムルシェさんいらっしゃいませぇ。それでお見舞い凸待ち?について説明お願いできますかぁ?」
「もちろんなのです!」
《ムルちゃいらっしゃーい》
《ついに最後のコラボ相手……! なんだけど、いつも通り過ぎて気抜けるw》
《言うて先輩とのコラボもこれからいくらでもあるだろうし緊張することもないかー》
「いいですかツムリさん。凸待ちというのは配信上で通話してくれる人を待つ企画、その傾向として2つのパターンがあるのです。1つはたくさん来てくれて皆ハッピーで終われるパターン。そしてもう1つは……誰も来ないパターンなのです」
「誰も来ないってぇ……それ凸待ち失敗なのではぁ?」
「その通り! しかし配信的には何故か撮れ高とされているのです。ムル達のようなイジられキャラ?は特に標的にされやすくて……本当に意味が分からないのです。そのせいで凸待ち募集しても行くか行かないか空気読みが始まっちゃって。募集する側としては、誰か来るまで間を持たせるのってすごくしんどいんですよね……」
「わぁ……経験者の言い方ぁ……」
《うーん可哀想だけど実際その通り》
《先に連絡してもらう時間まで決めて根回しする手もあるけど……それじゃつまらんよなぁ!》
《可哀想な状況を面白くできるのも才能だよ? ……フォローになってないかw》
「しかし今回は秘策があるのです! それはツムリさんが病み上がりということ、まだお見舞いを募集しても許されるのです! 理由があればきっと凸待ちにも来てくれるはず!」
「おぉー案外策士ですねぇムルシェさん」
「えへへそれほどでも……案外ってどういう意味なのです?」
「あっ……べ、別に深い意味はなくてですねぇ……」
「では直球で受け取りますけど……ムル、ツムリさんにまでアホキャラ認定されているのですね……」
「あっあっその、違くてぇ……」
《フォロー下手すぎて笑う》
《「ツムリさんにまで」もちょっと含みありそうでお互い様ではあるw》
《ポンコツ具合は同レベなのよw》
「そ、そんなことより! 凸待ちってもう始まってるんですかねぇ!?」
「あ、そうですね。では今から凸待ち開始なのです。と言っても人が来るまで2人でお話するのに変わりないんですけどね」
和やかに始まった凸待ち企画。
スタート直後に連絡が来るということもなく、ムルシェの問いから雑談が始まった。
「それでツムリさん。体調はもう大丈夫なのですか?」
「はぁいおかげさまでぇ。前回は配信中断してしまって皆様にもご心配おかけしましたぁ」
《無理して配信される方が心配になるからな。無事で何よりよ》
《健康第一やで》
《楽しめる時に楽しむやで》
「普段冷たいコメントもこういうときはあったかいんですよねぇ……」
「無茶は良くないですからね。前回はエルさんが助けてくれたみたいですけど、ソロ配信でも気をつけるのですよ? 一人で困ったらいつでも先輩を頼ってくれていいのです!」
「そんな恐れ多い……と言いたいところですけど、心配かける方が迷惑って流石に学びましたねぇ。次はムルシェさんのことも頼らせていただきますぅ」
「ぜひぜひ♪ 4期生は後輩らしい子が多くてちょっぴり嬉しいのです! 3期生は大人な感じなのであんまり頼られることなかったんですよね……」
《ムルちゃ先輩風吹かしてるねぇ。立派になって……》
《そうか先輩か……今まで一番後輩っぽく見えてたもんなぁ。ずっと前から先輩だったはずなのに……w》
「ムルシェさんも遠慮なく頼ってくださいねぇ。今日も連絡するまで集合時間2時間勘違いしてたみたいなのでぇ」
「あ、それはナイショにしておいて欲しかったやつですね……」
「いやいや。おっちょこちょいで可愛いところもムルシェさんの魅力ですからぁ。視聴者の皆さんに伝えておかないとぉ」
「ぐぬぬ……恩を仇で返されてる気分なのです……」
《ちゃんとやらかしもしてますとw》
《リーク助かる。よく分かってるじゃないかツムリ》
打てば音がなる愛されキャラの先輩。
ついつい自分も視聴者と一緒になってちょっかいをかけてしまう。
そんな楽しい時間を過ごしつつしばらく経過し……。
「……誰も来ませんねぇ」
「ですね……良くない流れになってそうなのです」
《さてさて何人のメンバーがこの配信見てほくそ笑んでるのかw》
《お見舞いゼロ人なの余計に悲しいな……w》
「仕方ありません。この手は使いたくなかったのですが……」
「?」
中々誰からも連絡が来ず、痺れを切らしたムルシェが渋々と言った様子で宣言した。
「ゲームの対戦相手を……募集するのです」
「え? あ、早速着信来ましたぁ。繋げますねぇ」
「召喚に応じ馳せ参じた。銀世界の支配者だ」
「うわぁ……反応早すぎてちょっとキモいのですツララさん」
「ムルシェ? 凸募集しておいてそれはないのでは?」
《うおおおツラたん来たぁぁぁ!!》
《ゲームで一本釣りw》
《この支配者チョロすぎるww》
「それで何をする? アクションか? パズルか? ボードゲームか? 僕はなんでも大歓迎だよ」
「ウッキウキですねぇ。ちょっと可愛いですぅ」
「ゲームの腕は1ミリも可愛くないですけどね……ぶっちゃけ何選んでも勝てる気がしないのです」
「ふむ。君達二人だと同時に相手したとしてもハンデが必要かもしれないね」
「む。それはちょっと舐めすぎじゃないですか? ツムリさん! ハンデ貰いまくって一緒にボッコボコにしてやるのです!!」
「はぁい! やってやりましょう!」
待望の1人目、幽姫ツララを迎え入れ、早速ゲーム対決に移行する。
選ばれたのはレースゲーム、勝者は順位で決まるが実質的に2対1の形。
その勝負の結果は……。
「あの、なんかすまない。ここまで実力に差があるとは思わず」
「今は謝らないで欲しいのです……余計に惨めになるので……」
「こんなにハンデ貰って勝てないものなんですねぇ……」
《レースゲーで1分ハンデはさすがに……と思っていた時期が私にもありました》
《二人ともコースアウトだらけでCPUにも勝てないしなぁ……w》
《ほぼ周回遅れで追いつけるツラたんが凄いのもあるけどさw》
「それでは僕ばかり時間を使ってしまっても申し訳ないので勝ち逃げさせていただこう。ちなみに、次の人は準備万端みたいだからすぐに来ると思うよ。ではさらば」
「? 一応来てくれてありがとなのですー」
「次の人ってぇ……あ、ホントに着信来ましたねぇ」
ツララが通話から抜けるのとほぼ同時に着信通知が届く。
その人は早速不満げな声で話しかけてきた。
「ちょっとムルちゃ〜。ツラたん召喚するのはズルじゃない? 時間も早いしまだまだ凸待ち0人で粘って良かったと思うけどっ!」
《おっニオちゃんか》
《0人凸待ち推進派が来たww》
「ニオさん、凸待ち初心者にそれは酷だと思うのです。人望ないと思わせてしまったら可哀想なのです」
「あはは。まあ人望なんて元々ないですし気にしませんけどぉ……でもできれは皆さんとお喋りしたいですねぇ」
「ぐぅっ……なんか、意地悪な先輩でごめんっ……」
「ニオさんが意地悪なのは今に始まったことじゃないのです」
「一応後輩には優しくしてるつもりだよ?」
「できればムルにも優しくして欲しいのですけど……」
「えーそれじゃつまんなーい! 同期くらい好き放題させてよーっ」
「ツムリさんは同期にも優しくしてあげてくださいね……くれぐれもこんな風にはなっちゃダメですよ?」
「そうなんですかぁ? むしろ同期仲良くて羨ましいくらいですけどねぇ」
そんな騒がしい先輩が訪ねてきたり。
また次の来訪者は……。
「はーいお邪魔しますー」
「あ、エルさん来てくれたんですね!」
「ツムリちゃん回復してくれたみたいでよかったですー」
「あ、そういえばこれお見舞い凸待ちでしたねぇ。その節は大変お世話になりましたぁ」
「ムルもゲーム募集してからすっかり忘れてたのです。なのでツララさんのせいですね」
「ムルちゃー? あんまりツララちゃんイジメたら可哀想ですよー?」
「えー大丈夫だと思いますよ? ツララさん雑に扱われた後ちょっと嬉しそうにするのです」
「あ、それちょっとわかりますぅ」
「なるほどー。それなら大丈夫ですかねー?」
《わかる。文句言いながらも本気で嫌がりはしないのよね》
《ツラたん呼びもなんだかんだ気に入ってそうw》
(幽姫ツララ)《解せぬ……しかし謂れのない噂が立つのも強者の定め、か。多少の戯言は見逃してやろう》
《よし! 本人のお許しも出たな!w》
序盤はムルシェの同期を中心に、またその後も続々と着信が届いた。
ノンストップで色んなメンバーと喋り続け、時間も体力も消耗してきた頃。
「あ、次の人が来ましたね。そろそろ良い時間ですし、次で最後にするのです」
「はぁい。それでは最後のお方よろしくお願いしますぅ」
「――――はーいこんあるまー♪ 導化師アルマさんが携帯音声から失礼しますよー」
「アルさん! 待ってたのです!!」
《おお! 導化師殿!》
《忙しくてもこういうイベントは欠かさず参加してくれる、流石ですわ》
導化師アルマの登場にムルシェも嬉しそうに声のトーンを上げる。
心なしかコメントの速度も速くなり、皆から慕われていることがよく分かった。
「携帯ってことはぁ、外からの通話かけてくれてるんですかぁ?」
「そうそうお仕事でね。お見舞い凸待ちって書いてあったけど、ツムりんも元気そうで何より♪」
「はぁいご心配おかけして申し訳ないですぅ」
「いえいえ♪ ただ最近レッスンで忙しくしてるみたいだしさ。体調崩したのアタシのライブのせいだったらちょっと申し訳ないなーって」
「そんなことないですよぅ。私がもっと踊るの上手かったら何も問題なかった話なのでぇ」
「そかそか。でも体調管理はしっかりねー」
「それで言うならアルさんもすっごく忙しそうなのです。お身体にお気をつけてくださいね?」
「そこはご心配なく。自分の健康管理もしっかり導いてやりますよって♪」
「頼もしいですねぇ」
そうして最後の訪問者、導化師アルマとの会話をしばらく楽しみ、凸待ち企画は終了した。
「ツムリさん。今日はお疲れ様なのです。初めての凸待ちはどうでしたか?」
「そうですねぇ……」
ムルシェに問われ、少し考えてから返答した。
この凸待ちという企画、自分一人でも上手くできたのだろうか、と。
「もっと緊張するかと思ってたんですけどぉ。意外と平気でしたねぇ。全員と1対1で話す機会があったからかもですぅ」
緊張しなかった理由は多分それだけじゃない。
ムルシェが一緒に居てくれたからだ。
「そういえばツムリさんのタイマンコラボ企画、ムルが最後なんでしたっけ? ツムリさんといっぱい喋れてムルも楽しかったのです!」
「こちらこそぉ。お誘い受けてくれてありがとうございましたぁ」
普段はミスすることも多く、守ってあげたくなるような可愛らしい存在だが、実際に共演してみると分かる。
人との間を取り持つコミュニケーション、配信に配慮した機転、やはり配信者歴7年は伊達じゃない。
「これからも遠慮せず誘って欲しいのです! もちろんムルだけじゃなく他の先輩でも、折角仲良くなったのですから♪」
そんな大先輩ということを気にさせない、まるで近しい友達のような距離感。
自分も舐められているという点では似ているのかもしれないが、彼女の真似をしようとしても上手くいく気がしなかった。
それこそ彼女にしかできない、唯一無二の魅力なのだろう。
「はぁい。これからは遠慮なく行かせてもらいますねぇ。今後ともよろしくお願いしますぅ」
「こちらこそなのです!」
ムルシェだけでなく、他の同期や先輩を誘うのもそれほど抵抗を感じない。
自分もようやくブイアクトに馴染むことが出来てきたのかもしれない。
そんな実感を得ながら、異迷ツムリの連続コラボ企画は幕を閉じた。




