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レプリカのアイドル~声真似系VTuberが天下をとる話~  作者: 独身ラルゴ
第五章 ハイ信者

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番外編22 対談コラボ:鳴主サタニャ

「ども。サタニャです。ふぁ……」

「眠そうですねぇ」

「寝起きだからね……」


《コラボ前によく寝れるなww》

《眠れるレグルスの名に恥じない()》


 他人の枠でも緊張感のない欠伸を披露するマイペースな先輩、鳴主サタニャ。

 どうやら彼女も以前に会った印象が強いらしい。


「最初にオフコラボして以来かな。会うの」

「あ、それ前回ジュビアさんにも言われましたぁ」

「……その報告いらない」

「あぁ〜良い反応助かりますぅ! っぱジュビサタなんですよねぇ!」

「よし。帰るか」

「あ待って待って! 調子乗りましたごめんなさぁい!!」


《ひょっとして失言RTAしてます?》

《ジュビサタは気づいても黙ってニヤニヤするのが吉》


「えー気を取り直しまして。既に皆さんご存知かとと思いますが企画教えてもらっていいでしょうかぁ」

「いいよ。紹介するのはボクが考えたボクの定番企画」

「んぇ? 定番? 今日やるの企画屋さんのやつじゃ……?」


《おや? まさか手柄横取りしようとしてる?w》

《定番(初めて)》

(ジュビア)《ふーんそういうこと言うんだ^^》 

《発案者キタww》


「あ、やべ。嘘です依頼しました」

「うーん手遅れかもぉ……あとのことはジュビアさんにお任せしますねぇ」

「うーん欲張ったか。まーいいや、クソまろバトルね。説明は頼んだ」

「えぇ? 一応サタニャさんの持ち込み企画ですよねぇ?」

「だってボク考えてないし、ぶっちゃけ喋るのめんどい。ツムリも詳しく聞いてるんでしょ?」

「わぁ都合良いなーこの先輩……」


《後輩の前でもやる気出すことはないとw》

《いつだって楽することに全力》

《何気にツムリに呆れさせるメンバーも珍しい》


「では説明しますかぁ。今回は2回戦、1戦目は他メンバーに頼んで貰ってきたましゅまろを、2戦目は自分に送られてきたましゅまろを出し合って競いますぅ。競う項目はどちらがクソまろと呼ぶに相応しいかぁ、視聴者投票で決めますぅ。……これホントにやるんですかぁ?」

「ね。考えた人頭沸いてると思う」


《めっちゃ嫌そうw》

《実質視聴者の大喜利大会》

《配信者的にはお題のネタにされてるだけだしなww》

(ジュビア)《嫌なら自分で企画考えてね☆ 他人の企画なんて言いたい放題なんだから☆》


「おーおージューさんピキってるー。けどましゅまろ読むだけの楽な配信って考えれば悪くない。適当にやろ」

「始めましょうかぁ。バトルって雰囲気じゃないですけどぉ」


 ゆるい雰囲気から始まる企画。

 バトルと言っても初の試みで温度感も分からず、手探りの状態でスタートする。


「では先行いただきますぅ。1つ目はティアさんに貰って来ましたぁ」

「ふーん。クソまろとかそういうイメージあんまりないけど」

「本人も自覚なく答えちゃうんですけどぉ、絶対あると思って見せて貰ったんですよぉ。そしたら案の定でしたねぇ」

「なるほどね。あ、ツムリ読む前にアレやってよ。配信前に言ってたやつ」

「アレですかぁ? 良いですけどぉ」


《クソまろ来るんだ……絶対意味理解してなさそう》

《無知シチュ楽しんでそう》

《アレ? なんだろ。打ち合わせでもしてたのか?》


「"俺のターンドロー! 俺はモンスターカードを場に出すぜ!"」

「わー本物っぽいー。きゃっきゃ」


《カン☆コーン!!》

《声真似も相まって迫真すぎるw》


 迫真の演技で盛り上げつつ、本題のましゅまろを読み上げる。


『ティアちゃんの眼球舐めたいんですけどどこで売ってますか?』


《ひぇ……》

《ガチのモンスターじゃねえか!!》

《ティアちゃん逃げてwガチ逃げてww》


「本人からコメントいただいてますぅ。『眼球? 痛そうだからやめない? デビューグッズなら、まだ売ってると思う』だそうですぅ」


《これにキモいって言わないの良い子すぎるだろ……それに引き換えまろ主は……》

《いや流石に天然すぎんか?》

《グッズ販促えらい!w》


「次はサタニャさん。誰から貰ってきたんですかぁ?」

「シューコから。前コラボして面白そうだったから」


《ほう4期生対決になったか》

《ジューさんじゃないんだw》

《↑それやったらまたジュビサタイジりされるやつ》


 サタニャが依頼した人物について盛り上がるコメントの中で、一際目立つ名前が現れる。


(シューコ)《あの。アタシ面白そうなましゅまろ頂戴としか言われてないんですけど。クソまろ来そうなイメージがシューコにあったってこと??》

《おっとシューコさん?》

《うーん説明不足……w》


「あ、なんか怒ってそう。ツムリ言い訳考えて」

「え!? えーと……し、シューコさん器大きいですからねぇ! どんな質問にも寛大な心で答えてくれますしぃ……ダメですかぁ?」


(シューコ)《ギリ及第点ね。サタニャさんは後日お話があります》

《後輩からの説教確定してて草》

《そろそろ一回怒られて良い》


「えーめんどいなぁ」

「そりゃそうなりますよぅ。ではましゅまろの方読んで貰えますかぁ?」

「ん、おけ」


『足、腰、胴から頭の先まで。順に舐め回すように観察する。熱い眼差しを注ぎ、脳裏に焼き付ける。さて、どこから手をつけようか。焦らすように手を迷わせ、やがてシューコは優しく筆を手に取る。。。』


《うおwww》

《これは文豪()》

《うん。普通の健全なましゅまろだな!!》


「えーとぉ……デッサンするシューコさんの詩、ですかねぇ?」

「だろうね。それ以外の何に見えるの?」

「え!? それはそのぉ……さすがに配信では言えませんけどぉ」

「ちゃんと分かってるのウケる。投稿した人もこれ見た配信者が困るところ見たかったのかな」

「わぁ良い性格してますねぇ……」


《それ聞くサタにゃんも良い性格してるよww》

《やーいムッツリカタツムリー》

《またムッツムリって呼ばれるぞ?》


「ちょっと不名誉な呼び名やめて貰えませんかぁ? 今回は完全に被害者なんですけどぉ?」

「それはそう。これシューコのましゅまろだし」

「あ、そうでしたぁ。これも本人にコメントいただいてますぅ。『なんとなくキショい。しらんけど。自分のチャンネルで読みたくなかった力作』だそうですぅ」


《力作だってよ。大絶賛じゃん》

《これ体の良い厄介払いじゃ……》


「はぁい。お互い読み終えたので視聴者投票始めてみましょうかぁ」


 配信コメントの機能から視聴者投票を開始、1分程度待って結果を発表する。


「えー結果はティアさん36%、シューコさん64%。ということでシューコさんから貰ってきたサタニャさんの勝ちですねぇ」

「いぇい。シューコおめでと」


《おめでとー》

(シューコ)《うん。全っっっ然嬉しくないわ》

《でしょうねw》

《クソまろ認定で喜べって言われてもなぁw》


「うーんこの企画ホントに誰も得しない気がしますねぇ」

「いいんじゃない? ちょっとオモロイし」

「そうですかぁ? じゃあ2回戦に進みますかぁ」

「今度はボクが先読むよ。……大トリやだし」

「え?」


《しれっと嫌な役目押しつけようとしてるww》

《一番最後に読むと印象残るしな……w》


 流れるように2戦目開始。

 今度は自分自身に送られてきたましゅまろをサタニャから読み上げる。


『3食昼寝に従僕付き、ウチ来ません?』


「ん。住所教えて」

「行くんですかぁ!?!?」

「だって、今の生活より楽そう。従僕って全部お世話してくれるんだよね?」

「えぇ……それ最早飼い主さんなんじゃ……」

「散歩はなしでいいよ。引きこもりたい」


《危ない危ないw》

《うーんこの面倒くさがり屋》

《いや来てくれたら喜んで世話するけど、それでいいんか……?》


「まあ冗談。事務所クビになったら考えようかな」

「縁起でもないこと言わないでくださいよぅ」

「こう言っとけばクビにしにくくなるかなって。今も十分楽させてもらってるし突き放されてもしがみつく所存」


《変なところでたくましいなぁ》

《一旦続ける意思堅そうなのは安心かw》


「では私も読みますかねぇ。一応バトルってことでぇ、個人的にドン引きしたの持ってきましたぁ」


《え……お前がドン引きするほど……?》

《聴く前から怖いこと言うのやめない?w》


 前置きで視聴者を怖がらせながら、用意したましゅまろを読み上げる。


『①丁寧に水洗いする。(※塩水NG!!)

 ②熱湯で茹でる。(寄生虫対策で長めに火入れすること)

 ③油で炒めてタレに絡める。少し土臭いので香り強めのタレがおすすめ。

 ④皿に盛り付ける。殻からほじくり出せるように爪楊枝を添えること。めんどくさかったら殻叩き割っても良い』


「なにこれレシピ? 食材は?」

「たぶんカタツムリ……というか私ですかねぇ。あの、なんか恨みでもあるんですかぁ?」


《これは中々ww》

《最後ちょっと雑で草》

《美味しく食べようとしてるだけ愛あるんじゃね? しらんけど》


「結構強火でイジられてそうだけど、ツムリって新人だよね?」

「そうなんですよぉ。みんな優しくしてくれなくてぇ。なんで私のましゅまろってこんなゴミ……面白いのが多いんですかねぇ?」


《今ゴミって言った??》

《そういうとこやぞ》

《視聴者は配信者に似るって言うだろ? 俺達似た者同士なんだな。……ごめん。ちょっと無理かも》


「勝手に同族認定して嫌悪しないでもらえますかぁ?」

「うん。仲良さそうで何より」

「どこがですかぁ。とりあえず投票開始しますぅ」


 コメントの会話も程々に企画を進行。

 投票結果から企画の最終結果まで確認する。


「結果はサタニャさん25%、私75%ですぅ。これホントに喜びにくいですねぇ」

「ボクのとこに来るましゅまろって普通だったんだ。ありがとう」

「なんの感謝ですかぁ? まあバトルの結果は1勝1敗の引き分けですねぇ」

「だね。意外と面白かったからホントに定番にしても良いかも。今度は罰ゲームとかも用意して」

「企画そのものが罰ゲームみたいなもんですけどねぇ」


《それはそうw俺らは楽しかったけどw》

《是非またやってくれ。それまでに文才鍛えとく》


「なんかコメント欄やる気に満ち溢れてますねぇ……一旦今日はここまでなのでぇ。最後にサタニャさん、ご紹介の方お願いできますかぁ?」

「うん。誘いやすい人残ってて良かった。次回のゲスト、エルさんに声かけといたよ。プチ音楽仲間」

「そういえばお二人はキーボード仲間でしたっけぇ。意外な共通点ですよねぇ」

「話してて疲れない良い人。誰かさんと違って」

「また怒られますよぉ? と、今日のところはこれでぇ。対談ありがとうございましたぁ」


《話してて疲れる誰かさん……一体何ュビアさんなんだ?》

《サタにゃん対ありー》


 慣れた様子で配信を終了させる。

 そのまま共演相手への別れの挨拶も済ませようとしたところ、あちらから声をかけてきた。


「そういえば。クソまろ探してたらツムリの質問来てたんだけど」

「え? 私のですかぁ?」

「うん。『ちゃんと食べてるか心配なのでご飯誘ってあげてください』って。どういう意味か分かる?」

「あー……」


 他配信者にまで便りが届くほど心配されていると。

 心当たりはあった。前回のジュビアとのコラボでも失言で心配させてしまったから。


「なるほどね。ご飯行く?」


 サタニャも何か察したらしく、それでも遠慮なく踏み込んで来るところは彼女らしい。

 デリカシーに欠ける部分はあるが、思いやりに溢れている。

 けど……。


「ありがとうございますぅ。でもこのあともミーティングあるんでぇ、また今度お願いしますぅ」

「そっか。ならまた今度」


 申し訳なく思いながら先輩からの誘いを断る。

 今日は上手く隠せていただろうか?

 これ以上心配はかけたくない。

 そんな想いがまた負担となってのしかかる。




◇




「――――って感じなんだが。どうだ?」

「んぇ? あ、はぁい……」

「……聞いてなかったな?」

「ごめんなさぁい……ちょっと眠くてぇ」


 配信後、夜のミーティング。

 どこか上の空の担当タレントにどうしても小言が出てしまう。


「……レッスンも配信もあって疲れるのは分かる。けどあとちょっと頑張ってくれないか?」

「私も頑張りたいんですけどねぇ……お腹も空いてて頭回んなくてぇ」

「また食べてないのか? ……そろそろ生活力も身につけないとな」


 気の毒に想いながらも、今の生活に慣れてもらうのが彼女のためになると思って諭す。

 いつもは一応反省してるのか、聞き分けの良い返事をくれる。

 しかし……。


「だってぇ。全部苦手なのが私だからぁ……。マネージャーさんも……嫌なら嫌って言えばいいじゃないですかぁ」

「は? 嫌って何が……」


 眠そうな声、意識が曖昧なのかもしれない。

 思ったことが全て口に出ている様子だ。


「最近冷たいですしぃ……スカウトのとき、生活面も全部サポートするって言ったのにぃ……もう、興味ないですかぁ?」

「っ! それは……そんなつもりじゃないんだが……」


 出会った頃のことを言われると反論しづらい。

 確かに、今の自分は相手の成長のためという建前でサポートを怠っているのかもしれない。


「なら全部言ってくださいよぉ。なんでもズバズバ言ってくれるマネージャーさんだから信じれたのにぃ……」


 彼女からの信頼を失いかけている。

 本人の口から言われるまで気づけなかった。

 ショックで上手く言葉が出ず、固まっていると小声が聞こえた。


「……んぅ。ちょっと限界ですねぇ……ねむぃ……」

「え?」

「…………すぅ」

「あ、おい。寝るならせめて布団で……って聞いてないか……」


 声をかけた頃にはもう手遅れ、彼女は通話を繋げたまま寝落ちてしまった。

 ミーティングも途中だったが、仕方なく通話を終わらせる。


「さて、どうしたものか……」


 元の形が正しいとは言えない。

 けれど彼女が納得できないやり方を押しつけてしまったのも事実。

 自分のことも信用できなくなり、しばらく通話越しに寝息を聴きながら悩んだ。


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