番外編21 対談コラボ:麻豆ジュビア
「はーい遂にお呼ばれしましたよ♡ 夢中にさせちゃう劇毒尻尾のアンタレス♡ ブイアクト3期生の麻豆ジュビアです☆」
「わー媚び媚びモードのジュビアさんかーわいいですぅ」
「はーいそこ媚びとか言うのやめてねー?」
《ごめんなさいそれ褒めてるつもりなんですww》
《まあ媚びてはいるw》
丁寧に自己紹介して後輩にイジられるゲスト、麻豆ジュビア。
対談コラボ前でツムリが会ったことのある数少ない先輩の一人。
「ツムリちゃん前会ったときはガチガチだったのに随分慣れたねー。コラボもあれ以来かな?」
「あ、はぁいおかげさまでぇ。内なるオタクは我慢できるようになってきましたぁ」
「うんうんよかったねー。ちょっと何言ってるのかわかんないけど」
「あとジュビアさんには申し訳なさの方が強いかもですねぇ……あの日は大変お世話になりましてぇ」
「お世話ってお酒の粗相のこと? あれくらい全然気にしなくていいのに〜」
《配信直後に介抱してもらったってやつかw》
《お酒はほどほどにねー》
「ではさっそく良いでしょうかぁ」
「はーい。今日はツムリちゃんに「対談呼んでやるから企画持って来い!」って言われたので用意させていただきましたよ☆」
「え、あの語弊がぁ……でも慣れちゃって気にしてなかったけど、先輩に企画準備させるコラボって普通に失礼ではぁ……?」
「あ、本気で気にし始めちゃった。何やるか考えるの楽しかったから大丈夫だよー」
「ほんとですかぁ?」
《いや今更気にしてもw》
《大丈夫。皆ツムリに失礼されることくらい分かってて付き合ってるさ》
「最初はゲームでもしようかと思ってたんだけどねー。折角ツララちゃんから紹介もらったし、ジュビアも格ゲーとかカードゲームみたいな対人系は結構やってるし」
「ですねぇサタニャさんとよくやってますしぃ」
「うわ出た。すーぐサタちゃんと紐付けようとする。今日はそういうのなしにしない?」
「そんな殺生な!? 本人を前にしてジュビサタを語れないなんてぇ……!?」
「それ本人の前で言うのが一番失礼じゃないかな??」
《いやこれは隙見せたジューさんが悪い》
《むしろジュビサタは語らねば失礼》
「コメ欄もこういうときだけ団結するし……まー一旦置いといて、色々事情もあって今日はこちらの企画を持ってきました! その名も『二代目企画屋さん』、依頼してくれたメンバーの企画考えるやつ☆」
「あ、あれですねぇ。アルマさんから引き継いだ企画だそうでぇ」
「そうそう。アルマちゃんが忙しくなった頃に提案してもらったの。『絶対ジューさんに向いてるから!』ってね。そこまで言われちゃったらやるしかないよね♡」
嬉しそうに用意してきた企画の説明を始めるジュビア。
「今日もこの企画屋さんのヘビーユーザーから依頼貰ってますよと。依頼者Sさんによると『もうすぐ後輩Tから対談呼ばれそうだけど自分の企画用意する必要あるらしい。定番企画とかわかんないし考えといて』とのこと。無気力すぎてイラッとするけど依頼は依頼だからねー」
「ほうほう……え? そのSさんってサタ……」
「一応依頼者は匿名だからね! 名前は言えないなぁ!」
《うーん匿名の意味なし!》
《なんなら後輩Tもここに居るしw》
「まずは配信企画考える上で大事なポイント! ツムリちゃんはなんだと思う?」
「え? えっとぉ……面白さ?」
「それは流石に大前提かなー。ジュビアはね、まず企画名だと思うな。できるだけシンプルかつインパクトある字面がいいね。サムネに乗せること考えたらそれだけで視聴率変わるんだから」
「その辺のセンスは自信ないので耳が痛いですねぇ」
「あーツムリちゃんのサムネ……ジュビアは味があって良いと思うな♡」
「あ、これ気遣われてますねぇ。ぐぬぅ……勉強しますぅ」
《味があるは最早気遣い定型文ww》
《まだ新人だしね……配信続けるうちに上手くなると良いね……》
「あとは配信のオチ。特にコラボ配信は着地点ないとグダグダになるからねー。終わりの見えない配信してるとブラウザバックされちゃうし」
「あ、確かにぃ。対談してて終わり時迷ったことありますねぇ。こういうのってどこで勉強するんですかぁ?」
「んー参考書とかも探せばあるんだろうけど……ジュビアは小説書いてた頃の経験かな。シナリオ考える基本の起承転結とか、あとWEB小説って読んでもらうためにタイトルとあらすじが重要になるからね。配信も結局一つの動画を創作してるわけだし」
「ほぁー……クリエイターさんみたいな考えですねぇ」
「自認クリエイターですので☆ さてと。細かいこと言い出したらもっとあるんだけど、今日はその辺り意識してアイデア考えてみよっか」
《ほーん。言われてみると確かに、ジュビアちゃんのアーカイブ見やすいんだよな》
《何時くらいに終わりそうって想定できるのはリアタイ勢的にも助かる》
「で肝心の企画なんだけど、サタ……依頼主Sさんの定番配信って考えるとましゅまろ読みになりそうなんだよね。あの人配信内容もトークテーマすらも考えるのめんどくさがって視聴者から募集しまくってるから」
「あー思い返してみると確かにぃ……さすがジュビアさんお詳しいですねぇ」
「うん。ウチのリスナーみたいな絡み方するのやめてね?」
《やはりジュビサタか》
《リスナーみたいなというか、多分リスナーですそのカタツムリw》
「それでちょうど後輩Tさんもましゅまろ読みの対談とかしてたみたいだし、それを発展させようかと思うの」
「ほうほう。でもましゅまろ対談ちょっとマンネリ気味だったのでやめちゃったんですよねぇ」
「そう! そこで考えた企画がこちら。『クソまろバトル』☆」
「え?」
《ん? バトル?》
《企画名から軽く地獄が見えるの草》
「ルールは簡単。お互いのましゅまろに加えて他のメンバーにも協力してもらって強いクソまろを事前に集めておくの。それで用意した手札から1つずつ出し合って勝敗を決める。1配信で3回戦くらいやってその日のベストオブクソまろなんか決めても面白そうだよね☆」
「あの……確かに端から見れば面白そうですけどぉ、それましゅまろに答えるの私達ですよねぇ? サタニャさんも嫌がるのではぁ?」
「そこは配信企画を人任せにするのが悪いってことで、当然拒否権もないよ☆」
「ぐぅ……それを言われたら何も言い返せない……」
「楽しみにしてるね♡」
《強いクソまろってなんだ??ww》
《果たして誰のクソまろが優勝するのか……して嬉しいか?》
《あれ? 競わされてるの実は俺らじゃね?》
配信企画を考える配信と言いつつ、ほとんどジュビアが考えてくれていたおかげで話はスムーズに進んだ。
タイムキープも完璧で台本でも読んでいるかのような無駄のない配信、行き当たりばったりなツムリは内心で感心していた。
「はぁい……そんなわけで次回の対談相手と配信企画も決まっちゃったみたいですねぇ」
流れで配信を締めようとすると、ジュビアが聞いてきた。
「あれ? ツムリちゃんなんか疲れてる?」
「誰のせいだと思ってるんですかねぇ……?」
「あ、それだけじゃなくってさ。今日ずっと元気なさそうな声だなーって」
「あー……」
《それ思った。いつもユルユルだけど今日は特にハリがない気が》
《ちゃんとご飯食べてる?》
「ちょっと疲れてるかもですねぇ。最近収録とかレッスンとかで忙しくてぇ……」
「あーライブのレッスン頑張ってるみたいだねー。でもあんまり無理しちゃダメだよ?」
「でもご飯は食べてますよぉ。栄養バーって良いですねぇ。コンビニで買えますし手軽に食べれますしぃ」
「それちゃんと食べてるって言うのかな……?」
《平気そうにしてるけど流石に不安かも……》
《できればちゃんとした食事を……》
視聴者がジュビアに同調し、配信主を心配する空気が出来上がる。
正直、居たたまれなかった。
「た、たしかに早く休んだ方がいいかもしれませんねぇ! なのでそろそろ配信終わりましょうかぁ」
「あー……そうだね! 今日はコラボ誘ってくれてありがとね♡」
ジュビアも察してくれたのか、それ以上は何も言わなかった。
「こちらこそですぅ。それでは対談ありがとうございましたぁ」
それは杞憂だ、とは言えなかった。
仕事の忙しさに加え、急にサポートが手薄になったマネージャー。
明らかに異迷ツムリのキャパを超えている。
でも本当なら全部自分でやるべきこと。
だから、誰にも助けを求めることもできない。




