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レプリカのアイドル~声真似系VTuberが天下をとる話~  作者: 独身ラルゴ
第四章 血縁者

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番外編18 大人(?)達とコラボ 

 5人のVTuberによるコラボ配信、そのファン達が一つの配信枠に集う。

 チャンネル主は2期生狡噛リリ。


「ようこそ。本日はこの狡噛めの配信にお集まりいただき感謝するのじゃ。さて、予定通りなら4人のゲストとゲームをするはずじゃが……その前に少々諍いがあったらしくてのう」


《お邪魔しまーす》

《諍い? 始まる前から喧嘩か?》


「まずは被害者?を自称しておるカチュア殿の言い分を聞かせていただけるかのう?」

「よかろう。これはつい1週間ほど前のことだ。とある後輩から対談コラボに誘われてな。最初は楽しく話していたのだが、其奴が無礼を働いたのだ。あろうことか芸歴9年以上も差のある先輩に対して『子供らしくて可愛い』と」


《何かと思ったらそれかww》

《確かに喧嘩別れっぽかったけどさぁw》


「さらにこちらが怒っていることもわかってるくせに訂正しない! こんな後輩が居て良いものだろうか!!」

「芸歴9年以上の先輩がこの程度のことで怒るとか器ちっちゃ過ぎて後輩ちゃんもびっくりデスね」

「うるさいぞ、まだ呼ばれてない奴は黙りたまえ。……そういうわけで今後の共演は控えたいと伝えたのだが、何故今日ここに居るのだろうな? 異迷ツムリよ」


《同期に後ろから刺されとるw》

《見た目も器も全部小さいw》

《一応デッカイとこもあるぞ? 態度とか》


「では容疑者に挙げられているツムリ殿の言い分を聞こうかのう?」

「はぁい。まずはご不快な想いをさせてしまって申し訳ありませんでしたぁ」

「ほう。謝るということは自分の非を認めると?」

「嫌な気持ちにさせたかったわけじゃないですからねぇ。でもぉ、私は可愛いって褒め言葉だと思うんですよねぇ。可愛いもの見たらつい声に漏れちゃいますしぃ。……そう言われるのが嫌って言いながらぁ、可愛い行動する方も悪くないですかぁ?」

「なんだとぅ!?」

「ほらぁそうやってすぐ熱くなるところも可愛いんですよぉ。逆にわざとじゃないんですかぁ?」

「どうどう。ツムリ殿もあまり煽らんでやってくれ。二人の言い分は理解ったのじゃ」


《この後輩強いw》

《いつもは弱気なクセにこういうときだけ強気なのさぁww》


「ではどちらの言い分が正しいか、第三者に聞くのじゃ。サイコ殿とエル殿はどう思うかの?」

「ツムリに賛成デスね! VTuberである以上可愛いと言われることから避けようだなんて考えが甘すぎデス」

「ツムリちゃんは謝れて偉いですねー。それに引き換えカチュアさんはー……威張るだけの先輩って後輩が可哀想だと思いませんかー?」

「賛成2票。ということでツムリ殿の勝ちなのじゃ」

「何故だ!?」

「わぁいありがとうございますぅ」


《うん残当》

《人望ないなーこの先輩w》


「くっ……納得いかん……」

「カチュア殿。納得いかなくても飲み込むのが大人じゃよ」

「そういうものか……仕方ない。確かにカチュアも少々大人げなかったな? もう気にしてないから楽にしたまえ」

「私もごめんなさぁい。これからは心の中で可愛いって叫び散らかすことにしますねぇ」

「うむ……まあ思うだけなら仕方ないか……」


《頑張って大人ぶろうとしてるw》

《カチュアが我慢を覚えた!? これが成長コンテンツ……?》


「これにて一件落着。関係ないお二人は協力してくれてありがとうなのじゃ」

「イエイエ。同期が迷惑かけて申し訳ない限りデスよ」

「子供達の喧嘩を仲裁するのも大人の役目ですよねー」

「おい後輩。カチュアを子供達の枠に入れるやめたまえ。そっちに混ぜろ」


《そういうとこだぞ》

《むしろ一番の子供は……》


「大人といえばサイコさん? 前回のツムリちゃんとの対談見ましたよー。エルが父親ってなんですかー。エルもママが良いんですけどー?」

「チッチッチ。いくらエルでも母親の座だけは譲れマセンよ?」

「えー? じゃあ今日のゲームで勝ったほうが真の母親ってことでどうでしょうかー?」

「ヨロシイ! 望むところデス!」

「変なところで張り合い始めたのう。まあ本気になってくれるならなんでも良いのじゃ。ゲームとはいえ本気でやらねば面白味に欠けるじゃろうし」


《母親ってなんだっけ?》

《これが大人か……ホントにこうなりたいのか?カチュア?》


「さて、ようやく配信のメインディッシュに移るのじゃ。今日はワシにちなんだ有名なパーティーゲームをやりたいと思って集まってもらったんじゃよ」

「わーなんだでしょうかー。リリさんと言えばやっぱり料理ですかねー」

「料理のパーティーゲームなんてあったか?」

「名前に料理名がついてるということならウミガメのスープとかデスかね?」


《何やるんだろうなー想像もつかないなー(すっとぼけ)》

《告知してんだから全員知ってるはずなのにw》


「ご期待いただいているところ申し訳ないのじゃが、ワードウルフじゃよ」

「ん? 何にちなんでいるんだ?」

「いや見た目! ワシ人狼のVTuber!!」

「あ、ソウイエバ。すっかり忘れてマシタ」

「料理の人ってイメージが強すぎますねぇ」

「そのイメージは嬉しいんじゃがコンセプト忘れられるのはちょっと複雑なのじゃ……」


 ワードウルフ。

 人狼ゲームがベースの会話型正体隠匿ゲームだ。

 参加者全員に特定のワードを配り、そのうち1人だけ異なるワードが与えられる。それが少数派のウルフ、少数派の本人も自分がウルフかは知らされない。

 参加者はそのワードについて話し合い、ウルフを探し出すことが勝利条件。

 逆にウルフはバレなかった場合、またバレた場合でも最後に他参加者のワードを言い当てれば勝利となる。


「今回ワシは出題側に回るため不参加、4人で争ってもらうのじゃ。視聴者の皆様には先にお題を伝えて置こうかのう。第一問目はこちらじゃな」


『多数派:犬 少数派:豚』


《結構無難なお題?》

《さて豚は誰かな? あ、少数派は誰かって意味ですよ?》


「それでは議論スタートなのじゃ」

「んー……」

「……おい。誰も喋らなきゃ進まないだろう」

「そう思うなら何か話題を出せば良いと思いマス」

「む……こ、こういうときは一番下の後輩から行くべきではなかろうか。どうだツムリ?」

「相変わらずこの先輩ちっちゃいですねー。やることなすこと全部ー」


《押し付け合いw》

《文句言いながらもエルさんもサイコさんも言わないとww》


「えぇ……? そうですねぇ。とりあえず美味しいですよねぇ」

「ほう」

「あーなるほどー?」


《これが出落ちか……w》

《やってくれると思ったよツムリww》


「え? なんですか?」

「イエイエ。科楽の好みじゃないだけで普通に美味しいとは聞きマスね」

「ん?」

「んー……そうですねー。ちなみに美味しい以外だとどこが好きですかー?」

「それ以外……かわいい? ですかね。マスコットとかもありますしぃ」

「なるほど……? 確かに好きな者も多数居るな?」


《お? なんか続いてる?》

《え、多数派犬だよね? 皆美味しいと思ってる……?》

《一応食べる国もあるらしいけど》


「今更デスけど動物デスよね? ツムリ?」

「はぁい。4足歩行のぉ」

「美味しくて4足歩行……そう言えば罵倒好きの人が使ったりする動物ですよねー。ツムリちゃん?」

「え? 踏み込みますねぇ。でもそういうのもありますよねぇ」


《これあれか。多数派が全員自分をウルフだと思ってる》

《信用されようとすり寄ってるのかw相手の方が少数派なのにw》

《犬も豚も罵倒で使われはするのがなんかヤダw》


「あれー? カチュアさんなんか口数少なくないですかー?」

「そ、そんなことはないぞ? あれだな? 美味しくて4足歩行で……あと可愛いよな?」

「今までの会話繰り返してるだけデスね。怪しい」

「何!?」

「おっとそこまで。時間切れなのじゃ。みんな怪しいと思う人に投票しとくれ」


《雑に標的にされたなー》

《こういうとき焦って口下手になるカチュアは可愛い》


「出揃ったのじゃ。カチュア殿が他3人に投票されて3票。ということでカチュア殿追放なのじゃ」

「いや……これは意味わからんだろう。なんだ美味しいって」

「え? カチュアさん美味しくないお題なんですかー?」

「オヤ……これは深読みしすぎマシタかね?」

「「??」」


《察し良いなぁ。今回は裏目ったけど》

《またしても何も知らないキッズ達w》


「お二人は察したようじゃな。ではカチュア殿、お題をどうぞ」

「犬だな」

「同じく犬デス」

「エルもですー。ツムリちゃんは豚ですよねー?」

「あっ正解ですぅ。え? じゃあ私少数派だったんですかぁ?」

「その通り。初っ端のやらかしが逆に功を奏してしまったようじゃな。1回戦はツムリの一人勝ちなのじゃ」

「うーん……リリさんのお題ならとりあえず美味しいって言っておけば間違いないと思ったんですけどぉ」


 勝利したツムリも素直に喜べないまま1戦目が終了。

 それでも雰囲気だけは掴むこともできたところで2回戦のお題が公開される。


『多数派:チョコバナナ 少数派:かき氷』


「では2戦目をスタートじゃ」

「最初に聞いときマショウ。食べれるものデスか?」

「そうだな。普通に食べるものだ」

「季節っていつくらいですかねー?」

「どうですかねぇ。私は夏だと思いますけどぉ」

「デスね。今のところは異論ナシデス」


《お、今度はまともにゲームしてる》

《わかりやすく良いお題ね》


「もう少し踏み込んでみるか。夏祭りで見かけるものじゃないか?」

「あ、エルもそのイメージですねー。屋台で買って食べますー」

「ここまで一緒だと難しいデスね。ちなみに甘いものデスか?」

「そうですねー。甘い味付け以外はなかったと思いますー」

「ん? 味付け?」


《あららエルさん》

《リカバリーできるか?》


「え? えっとー……いくつか味に種類がありますよね?」

「種類……なくはないのか? あまり見かけないが」

「んー? あっツムリちゃん。さっきから静かですけどどんな食べ物ですかー?」

「え、えっとぉ……素材が活かされた味、ですかねぇ」

「素材の味……? そう言えなくもないですかねー?」

「フムフム。ツムリは完全に白デスね。となると少数派は……」

「最早考えるまでもあるまい」

「答えがまとまったようじゃな? ちょうどタイムアップなのじゃ」


《あらら》

《ここまで情報出せると迷いなく選べるな》


「というわけで、投票3標のエル殿、追放なのじゃ。言い残すことはあるかの?」

「むー……でもまだですー。お題言い当てれば勝ちですからねー。夏祭りで甘いもの、ヒントは十分ですよー」

「そういえば……ウルフを探す余り喋りすぎマシタね」

「ずばりりんご飴ですねー?」

「あ、そっちなのか」

「残念。正解はチョコバナナなのじゃ」

「真の母親になるにはまだまだデスね。エル」

「ぐぬぬですー……」


 2戦目も終了。順調に勝利数を伸ばしている。

 しかし……配信者としてはあまり芳しくない。

 

「では次のお題に行こうかのう」

「ああ。どんどん持って来い」


 先輩4人とのコラボ配信。

 その会話に上手く入れずにいる。


「それにしてもー。案外普通のお題ですよねー?」

「ですねぇ」


 時々リリとエルが気を回してくれるおかげで辛うじて存在感を出せているだけ。

 マネージャーは自分も彼女達と同じ舞台に立つ存在だって言ってくれたけど……。


「ほう。では次からお題の風味を少々変えてみようかのう。それではご堪能あれ」


『多数派:ウォッカ  少数派:テキーラ』


「「「「あー……」」」」


《正体表したな酒カス婆さんw》

《喋りにくっww》


 視聴者達は楽しんでいる。

 優秀な先輩達が楽しませてくれている。

 和を乱してまで自我を出す必要なんてあるのだろうか?




◇




 配信後。5人が別れた後、内2人が通話をつなげていた。

 

「どう思う? サイコ殿よ」

「そうデスねー。顔色伺われてるみたいでちょっと気持ち悪かったデス」

「そうじゃなぁ。ワシは仲直りしてもらいたかっただけなんじゃが……逆に気を遣わせてしまったかのう」


 コラボ配信自体は成功に終わった。

 企画とは別でカチュアとツムリを和解させることはできた。

 ……表面上は。


「カチュアは元々大して怒ってマセンからね。むしろ和解のきっかけをくれと頼んできたくらいデスから」

「あの人も難儀な性格じゃのう。自分で決めたキャラ設定に振り回されて」

「けどツムリは仲直りしてもどこか……というか我々全員に遠慮してマシタね」


 全員二十歳を超えた大人とはいえ、歳も芸歴も差が大きい。

 遠慮するなと言う方が難しいかもしれないが。


「サイコは前回仲良くなれたと思ってたんデスけど、今日は……少し壁を感じて寂しかったデス」


 大きな問題ではないが、馴染めていない新人が居ると知って老婆心が働く。

 既に次回の対面コラボも予定されているリリは行動に移すことに決めた。


「……ここは一つ、年寄りがお節介でも焼かせてもらうとするかのう」


◯更新予定のお知らせ

お待たせしました!1/12(月)より本編の更新再開をお知らせいたします!

以降本編3話更新→番外編1話更新のサイクルで5日に1話更新となります。

番外編は残り8話となりますので、よろしければお付き合いいただけます幸いですm(_ _)m

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