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可愛い先輩(男子)を惚れさせてしまった件について  作者: 自堕落 万歳


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2/3

かっこいい後輩(女子)に惚れてしまった

「がんばろー!」


不意に声をかけられたと思ったら、後輩だった。

去年、何度か喋ったことがある後輩なので名前は覚えている。


比良瀬羽奈(ひらせはな)

現在、彼女は二年生。

そして、かなり活発な性格だ…と思う。

皆を引っ張るよりかは、一緒に歩いてあげる気質。

その気さくな性格で一年生からも友達のように慕われている人物である。


同級生たちもかなり気に入っていた後輩だったので、印象に残っていた。

生徒会長曰く、「意外と頼りになるイケメン」らしい。

どういう事だ、どっちかといえば比良瀬は可愛い系だろう?

そう言ったら、「違うんだよ、千歳くん。分かってないなぁ」と呆れた眼差しを向けられた。

だったらいい加減教えろよ、とイラついた思い出がある。


しばらくは話してなかったので、いきなり声をかけられて驚きはしたが返事はできた。

辛うじて、だが。

自分の陰キャ具合に涙が出そう。

しかも比良瀬のキマっているポーズにも釣られて、ついつい真似してしまった。

勢いでやってしまったから、ちょっと…いや、めちゃくちゃ恥ずかしいじゃないか。


「あ、うん、がんばろう…」


比良瀬はそれを聞いてにぱっと笑った後、周りにも応援の声を投げかける。

あまりの眩しさに気圧されてしまった。

この子、陽キャ系かも。恐ろしい…!

先輩なのに、全然追いつけてなくて情けない。


少し自己嫌悪に陥っていたら、あっという間に競技が始まった。

自分も夢中で縄を引っ張る。

今年が最後の体育祭だから、より一層気合が入っていた。

周りの感覚が一切感じられなくなって、縄を握る手が痛み出した時。


「よし、勝ったー!」


という声で、黄団が勝ったのだと気づいた。

嬉しさが湧きかけた。


だが、落ちていく自分の体に気づいて焦りが勝ってしまう。

綱引きでコケると思っていなかったからか、頭から落ちていくのを止められない。

…まぁ、多少ぶつけるくらいなら我慢できるかな。

衝撃に備えて目を瞑った…が、落ちることは無かった。




「あっ! 危ない…大丈夫ですか、先輩?」




聞こえたのは、比良瀬の声。

目を開けると、そこには自分を見下ろす比良瀬の姿があった。

背中には、小さな腕の感触。

比良瀬に背中を抱かれている、と認識するのに然程時間は掛からなかった。


「………?!」


自分の顔がみるみる熱くなっていく。

ただただ羞恥心もあったが、後輩の顔を見た瞬間から動悸が止まらない。

目に何かのエフェクトが掛かったかのように、周囲がキラキラして視える。


なんだこれ。


比良瀬が…めちゃくちゃかっこいいんだが。

誰だよ比良瀬が可愛いとか言ってた奴。

何処からどう見てもイケメンじゃないか!!


太陽に照らされた頬から滴り落ちる、汗の色気といったら。

何処の誰にも負けないオーラが漂っている。

今までかっこよさなど微塵も感じなかったのに、この瞬間は途轍もない男前が存在していた。


「あっ…ありが、とう」


色々な考えが頭を回っている中、しどろもどろで礼を言って競技に戻る。

競技に集中しなければと思っているのに、後輩の顔と腕の感触が頭から離れない。

結局、その後のことはよく覚えていない。

気づいた時には競技が終わっていて、周りはハイタッチをしていたらしい。


「なぁ、お前今日どうした? なんか変じゃね?」


と団席で応援していた友達に言われたが、全力で無視した。

何か言ったら、ボロが出そうだ。

入学前から仲のいいあいつのことだから、すぐ気づかれるに決まってる。


だから、少しでも誤魔化そうとそっぽを向いたらそこに比良瀬がいた。

更に自分の顔が友達に見せられなくなっていく。

…あ、もう駄目じゃん、俺。

火照る顔を冷やすために、ひたすらポカリを飲み続けた。


後に聞くと、その様子はバッチリ姉貴がホームビデオで撮っていたらしい。

…ぶっ◯す。







********************************






家に帰ると、姉貴に言われた。

あの、恋愛ごとにはがめつい姉が、ご機嫌な様子だった。

しかも、すっっげぇドヤ顔。


「あんた、さては恋してるな?」


なんでバレるんだよ。

今日一日、一言も言葉を交わしてなかったのに。

まだ何も言ってないのに、もう全部確信してるような素振りでいるし。

これだから、姉貴は苦手なんだ。


「五月蝿い。姉貴には関係ないし」

「まぁまぁ、そう言わず。このお姉様がアドバイスしてあげてもいいんだよ?」

「いらない」

「私なら、女心が分かるから失敗しないようにできるかもしれないけど?」


その提案に魅力を感じてしまっている自分がいる。

…いや、ほんと何してるんだ俺。

おかしくなってるじゃないか。

いつもなら無限に思いついていた文句も全く出てこなくて、口を閉じてしまった。


「ぐぬっ…」


すぐに根負けし、白状させられる。

ただ、姉貴は間違ったことを言っていないっていうのが腹立つ。

…次は絶対に勝ってやる。

何に勝つのかは知らないけど、とにかくリベンジだ。


「それでそれで? 今日、何があったのよ?」


目を輝かせている姉貴を前に、特大のため息を吐いた。

今から全て赤裸々に話すのは精神的にキツいものがあるからだ。


が、あの腕の感触を思い出してまた鼓動が煩くなる。

…やっぱ、カッコよかったな比良瀬。

自分の顔が熱くなっていくのを自覚しながら、俺は事の顛末を話し始めたのだった。



「今日、体育祭があっただろ? そこでさぁ…」






————————俺、どうやらかっこいい後輩に惚れてしまったらしい。






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