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ゲームに召喚されたけど、魔王弱過ぎて平和ですね  作者: 迷子猫
平和と日常

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36 苦労人とお出かけ⑤

 俺達は席に着き、エリスさんがメニューを手に取る。

 そして俺に問いかける。


「ソウマさん、何か好きな物でも頼みますか?」

「いえ、俺はまったく分からないのでエリスさんのお任せします」

「わかりました、ではそうしますね」


 俺がエリスさんに任せると伝えるとエリスさんは顔を縦に振って、店員を呼ぶ。

 そしてエリスさんは適当に何かを頼む。 エリスさんに限ってマレンやアンのようにイタズラのような代物は頼まないだろう。


「はぁ……」

「お疲れですね、ソウマさん」

「まぁそうですね、ほぼマレンとアンのせいですが……」

「私は面白かったですよ?」

「それはよかったです……」


 別に笑わかすために説教をしたわけではないが、エリスさんが笑ってるなら説教した甲斐がある、のか? まぁいい。

 しばらく俺はエリスさんと雑談をしていたら、注文した物が届く。


「お待たせましたー!」

「ありがとうございます」

「はい、良い素材使ってますから」


 そして店員は軽く礼をしながら奥に消える。


「エリスさんって色んな場所に行ったりしてるんですか?」

「いえ、そういう訳ではないんですが、まぁ仕事関係で知り合いましたね」

「あぁ、なるほど……そういえばエリスさんってどんな仕事をしてるんですか?」


 俺はふと疑問に思ったので仕事のことについて問いをかける。

 俺もたまに仕事を手伝うことはあるのだが、やっているのは計算程度なので実際はエリスさんが何をやっているのかは俺も詳しくは知らない。


「えーと……そうですね、色々しているんですが産業の仕事をよくやってますかね」

「……産業」


 俺もあまり覚えてはないのだが、学校で習ったのは農業、機械などのことだろうか?


 確かに、エリスさんは魔法とかも得意で頭も多分良い……。産業をしても全然稼げそうだな。


「俺もあまり産業について知らないんですが、産業って農業や機械のことでしたっけ?」

「えぇ、その認識で構いませんが、おそらくソウマさんは自分の世界とごっちゃになってると思いますので少し説明しますね」

「えぇ、お願いします」


 ここでエリスさん。いや、エリス先生による授業が始まった。


「この世界での産業は魔法を使って、仕事をするんです。それはおおよそ想像はつきますか?」

「なんとなく想像はつきますね」

「それで、魔法を使って作るのがこの世界産業なんですが、そのためには許可が必要なんですよ」

「許可?」

「えぇ、この世界は色々な魔法があります。"触れただけで毒に侵される魔法"、"視覚するだけで気絶する魔法"など色々なものがあるんです」

「ぶ、物騒ですね……」

「そうなんです。ですから私が問題ないと確認して、許可を出してからやっと魔法で作れるんです」

「す、すごい仕事を……」


 エリスさんは続ける。


「そしてそれから、その物の成分書が私の元に送られて、私が問題ないと判断したらやっと世に出せるのです」

「た、大変ですね……」

「えぇ大変ですが、やり甲斐もあるんですよ? こうやって、人と出会えたりしたりするので。まぁ、稼いでもお金は減る一方で増えはしませんが……」


 これはおそらく、マレンやアンの食費のことを言ってるのだろう。なんかメイド達の噂では一食分で半月分ぐらいの給料が消えるのだとか、だから貯金を崩しているらしい。


 そんな話をしていたところでエリスさんが突然、軽く両手を叩く。


「さぁ話はここで締めまして、お食事に回りましょう!」

「そうですね」

「まずはこれです!」

「なるほ……ど?」


 謎にテンションが高いエリスさんが手に取った皿には謎の物が置かれていた。 それは何か太くて、紫色をしている。

 それをエリスさんが置かれていたナイフで切り始めると中から赤色の血のようなものが太い物体流れる。


「あ、あの……それは?」

「これは豚足です!」

「俺が知ってる豚足と違う!?」

「そうですか? 普通ですよ?」

「俺が知ってる豚足だと血みたいなものはでないんですよ!?」

「ソウマさんの世界は不思議ですね……」

「俺からすればこっちの方が不思議ですけどね……」



 そして食べ始めて、三十分が経った頃。



 豚足という食べ物にはどうにか慣れて、俺もスムーズに食べれるようになった。 見た目こそは無理だが味は本当に最高峰であまり食べたことのない味がして、俺は興奮を隠せずにいる。


「慣れればいけますね」

「私も最初は抵抗があったんですが、この味が癖になって何度もこの店に来るんですよね」

「その言葉にも納得です」


 本当に見た目だけが惜しい……。



       ☆☆☆☆☆☆☆☆



 時間が経ち、料理を全て食べた終えた俺達は店を出た。外に出るとさっきまで夕日だったのがすっかり夜になっていた。

 さぁ、やっとあれが言える。


「エリスさん、良かったら公園に行きませんか?」

「え? 急ですね……、ですが魅力的な提案ですね。 行きましょうか」

「ありがとうございます」


---


 幸い、公園への道は先ほど確認してわかっていたのでスムーズにエリスさんを公園まで案内ができた。


 いいぞ、俺がリードできてる。


「着きましたよ」

「公園なんていつぶりでしょうか」

「俺も子供の頃ぶりですかね」

「どうして、公園なんですか?」

「え、あ、えっと……まぁなんとなくですかね」


 ラノベから考えたなんて到底、言えない……。 まぁ本からって言えばいっか。


「実は昔読んだ本にデートの後は公園に行くって展開があったので」

「ふふふ、それはなんというか、ソウマさんらしいですね」

「それ褒めてますか?」

「えぇ、もちろんですよ」


 褒めているのかよく分からないエリスさんを横目で見ると頬が少し赤くなっているのが分かった。その様子を見た俺もなぜか頬が熱くなっている気がする。

 そしてエリスさんは俺の前まで歩き、突然後ろにバッと振り返った。


「今日はありがとうございましたソウマさん、私の我儘に付き合ってくれて」

「い、いえ、こちらこそ! だから頭を上げてください!」


 エリスさんはまるで自分に非があるように頭を下げる様子に俺は慌てて、頭を上げるように促す。

 そんな俺の言葉を聞いたエリスさんは頭を上げ、ぷっと吹き出す。


「あはは! 相変わらずですねソウマさんは」

「?」

「安心してください、そういうところですね」


 俺は意味も分からず、ハテナ顔でエリスさんを見ていると、エリスさんは俺には見えない速度で横に現れ、「ちゅっ」という音が聞こえた瞬間、俺の頬に違う熱が感じた。


「え?」

「これは今日、付き合ってくれたお礼です」

「……はぁぁぁぁぁ!?」


 こうして、俺とエリスさんの終わってほしくないデートに終止符が打たれた。






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