33 苦労人とお出かけ②
エリスさんとのデートを開始し、エリスさんが買ってくれた肉を頬張っていると、突然エリスさんがあるお店に入る。
「え? どうしたんですか?」
「いえ、実は服が見たくてですね」
へぇ、エリスさんも案外服とか興味あるのか。いやまぁ、意外にお洒落に近い服装してるからそりゃそうか……。
「何か気になる服があるんですか?」
「はい、実はこの服が……」
「なるほど……」
エリスさんが手にしたのは黒色のローブ。初めて会ったときの水色のローブによく似ている。
あれって、召喚時とかじゃなくて常に常備してるやつなんだ。
だけど、黒色のローブを着ているエリスさんを想像すると……。 うん、絶対似合う。
初めて会った時も水色のローブからはみ出ている銀髪セミロングがとてもドキッとさせてくれた。 それに加え、エリスさんは俺より少し小柄で失礼かもしれないが、子供のようで可愛い。
そして、エリスさんは俺に「少し、試着してきます」っと言った後、黒色のローブを持って更衣室に入って行った。
――数分後、更衣室から出てきたエリスさん。
「ど、どうですか?」
「……」
出てきたエリスさんは俺の想像を軽く超え、俺が言葉を失うほどに似合っている。
銀髪のセミロングがローブからはみ出ているのが本当に子供らしく可愛らしい。 正直、俺の好みどストライクだ。 あぁ俺って、ロリコンだったっけ?
「ソ、ソウマさん?」
「あっ、は、はいすみません! すごい似合ってますよエリスさん」
「ほ、本当ですか? ありがとうございます、では早速買ってきますね」
「決定が早いですね」
「えぇ、ソウマさんが似合うと言ってくれたら、私にとってはそれはもう決定打ですから」
その言葉を言い終わったエリスさんは黒色のローブを会計に持って行き、店員には「タグを切ってください」っと言っているのが聞こえ、お会計を終えた。
そしてそのローブをすぐさま着て、俺の元へと帰ってきた。
「お待たせしました、では行きましょうか」
「はい、分かりました」
「……」
「……」
お互い沈黙が流れた。 だけど、これは嫌な沈黙ではない。気まずくもない、仲が悪いでもない。
ただ、嬉しいもの。 少しずつ、本当に少しずつ、関係を深めている気がする。
☆☆☆☆☆☆☆☆
時は流れ、お昼頃。 あの後も色々と服を買ったりして色々と動いたが、特別お腹が空いているわけでもないが小腹が空いた頃、エリスさんが口を開く。
「いい時間ですし、どこかカフェでも行きませんか?」
「それはとても魅力的な提案ですね、確かにそろそろ小腹空いた頃ですし」
「では、あそこに行きませんか?私のオススメなんですよ」
「エリスさんがそこまで言うんなら、逆に気になりますね」
あのエリスさんが若干興奮気味に言うほどのカフェ。逆に気になってしまう、見た感じ繁盛もしている。
そして俺達はカフェに入る。
「いらっしゃいませ!」
「エリス・ルガニアです」
「ルガニア様ですね、えーっと二人の御予約でよろしかったたですか?」
「えぇ、はい」
「え?」
店員はエリスさんに予約をしているか聞くと、エリスさんは「はい」っと答え、二人の予約として案内をされた。
ん?予約?
俺達は席に着き、メニューを開く前に俺はエリスさんに問いをかける。
「エリスさん、予約してたんですか?」
「えっと……はい、実は……」
「だから無理矢理でも、ここに来たかったんですね」
「実はここのある一品が気になってまして……」
メニューを手にしたエリスさんはある一品を指で差している。それはジュースのグラスにストローが一本。一本ではある、だがそのストローは二本線に枝分かれていた。
つまりはカップルジュース……。
「……は?」
「この商品がどうしても頼みたくて」
「い、いやこれは……」
「だめ、ですか?」
「いえ、だめじゃないです!頼みましょう!」
ずるい、ズルすぎるよエリスさん。そんな目をされたら頷く以外できないじゃん……。
俺が断ろうとしたら、エリスさんはまるで捨てられた子犬のような目をして俺を見つめてきた。これを断れる人間など、この世にいないのではないか?
そして俺は結局その後も断れる機会を失い、カップルジュースを頼まれてしまった。
「あっ、来ましたよ、ソウマさん!」
「そ、そうですね……」
「では、一緒に飲みましょう!」
「マジすか?」
「大マジです!」
どうやら、俺に拒否権はないようで飲むことを余儀なくされる。
そして俺はエリスさんがストローを咥えてるのを見て、俺もしなければなと焦りながら咥える。 エリスさんがストローを吸ってるの見て俺も吸う。
俺達はお互いに吸いながら半分ぐらいになった頃、エリスさんが息をするために一度口を離す。
そのまま口を開く。
「美味しいですね、ソウマさん」
「は、はい、そうですね……」
「もしかして、こういうのは初めてですか?」
「……そうです」
「意外ですね、ソウマさんはてっきりモテるのかと……」
「うぐっ……」
エリスさん、違う。俺なんかがモテてたら、誰でもモテるんだよ。 そしたら不登校にもなってないし、ゲームなんかもしない……。
俺は自分の世界では本当にただの高校生。 まぁ、不登校の時点で普通じゃないか。そんなことはいいが……、昔はモテてたと思う。幼馴染もいたし、よく遊んでた、今はもうキモがられてると思うけど……。
「……ソウマさん?」
「あっ、すみません……なんでしたっけ?」
俺の長い回想に浸っていると、時間が経っていたみたいでエリスさんが横から心配そうに声を掛けてくれた。
「そろそろ出ましょうか?」
「そうですね」
そして俺達はカフェを出て、まだまだあるデートの時間を楽しむこととする。




