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ゲームに召喚されたけど、魔王弱過ぎて平和ですね  作者: 迷子猫
平和と日常

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閑話 メイド達の過去

 これはメイド五人がなぜマレンの元を慕うようになったかの経緯。


 あれは十年前のある日。マレンとエリスはいつものように魔王討伐に励んでいた。


「エリス、今日も失敗だな」

「エリスさん?早いと思いますよ」

「なにがだ?」

「魔王討伐ですよ、私達いま何歳だと思ってるんですか?」

「ん? 十歳だな」

「あと十年足りないと思うんですよ」


 マレンとエリスは同い年でまだ十歳の頃、魔王討伐に帰り、マレンは店で買い食いをしながら帰っている。 でもその帰り道はいつもと違った。


「ん?」

「どうしました?」

「あれは……」


 マレンとエリスの目に入ったのは五人の子供がしゃがんである様子。

 その様子を見た二人はすぐさま駆けつけ、声をかける。


「どうした?」「どうしましたか?」


 その五人はプルプルと震えながら顔を上げ、同時に口を開く。


「「「「「助けて、魔物が……」」」」」

「魔物?」


 ――バゴォーン!


「「!?」」


 突然、ある爆発音が響き渡り、二人はそちらに目を向けると何メートルかも分からない魔物がこちらに向かっている。


「なるほど、あれか」

「どうしますか?エリスさん」

「決まっているだろう、"殺す"!!」

「はぁ、まぁですよね……」


 マレンは笑いながら魔物を殺すという。 これが戦闘狂マレン・ガーデンの性格。

 そんなマレンに呆れながらもエリスは口は笑みを浮かべている。


「って、弱いやつか……」

「これだとマレンさんだけで良いですね」

「あぁ」


 それだけの短い言葉を言った後、マレンは前に出て、中指を親指に引っ掛けながら魔物が来るのを待っている。

 そして、魔物との距離がなくなった瞬間――。


「ほっ」


 引っ掛けていた指を離すと、魔物が消えた。


「「「「「え」」」」」

「流石ですね、マレンさん」

「もちろんだ」


 マレンがとった行動はデコピン。 たったそれだけで魔物は消え去った。五人の子供はその様子を見て、唖然に気を取られている。

 そんな五人にマレンは腰を折り、話しかける。


「大丈夫か?」

「「「「「う、うん……」」」」」

「にしても、同じ顔だな。髪色は違うけど」

「そうですね、見分けがあまり……」

「「「「「あ、あの……お姉さんは?」」」」」

「私か? 私はマレン・ガーデン。魔王討伐を目指すものだ」

「「「「「マレン・ガーデン……」」」」」


 五人はうわ言のように何度もマレンの本名を繰り返す。 そんな様子を見たエリスは質問を問いかける。


「貴女達は?」

「「「「「……」」」」」

「あれ? えっと……貴女達は?」

「「「「「……」」」」」


 横からマレンが入る。


「君達は?」

「ローホ・ビストーソ」

「アズール・ビストーソ」

「オーロ・ビストーソ」

「ヴェル・ビストーソ」

「ルプラ・ビストーソ」

「なんで私の質問には答えてくれないんですか!?」

「あはは! 最高だな!」



       ☆☆☆☆☆☆☆☆



「エリス、明日も行くか?」

「ちょっと待ってください」

「ん? どうした?」

「なんで貴女達が着いてきてるんてますか!?」

「「「「「……?」」」」」


 五人は首を傾げるだけ。 その様子を見たマレンが一言を言う。


「私が来いって言ったからな!」

「何言ってるんですか!? 貴女その五人育てられるんですか!?」

「無理だな!」

「威張らないでください!? まず、その五人にご両親がいるのか、育ての親がいるのか聞いてください!」

「いるか?」

「「「「「……」」」」」


 五人は首を横に振り、いないと答える。


「誰が育てるんですか?」

「エリスだな!」

「ふざけないでくださいよ!? 私は貴女と同じまだ十歳ですよ!?」


 エリスもマレン同様、まだ十歳。 いきなり子供五人を育てろなど、到底無理なことだ。だけど、それをマレンはしろと言う。

 そしてマレンはエリスによほど信用があるのか、「育ててみろ」と言う。

 エリスは押しに弱いのか結局、あっさりと首を縦に振ってしまったため。


「わかりましたよ……」

「それでこそエリスだ!」



       ☆☆☆☆☆☆☆☆



 あれから五年の月日が経ち、マレンとエリスは十五歳になり、子供五人は十歳となった。


「エリス、最近痩せたか?」

「誰のせいだと……」


 この五年の月日の中、エリスの体重はどんどんと落ち、目には隈ができ、明らかにやつれている。

 だが、エリスはこの五年、何一つ文句も言わず五人を育てた。


「五人は元気か?」

「元気ですけど、毎日毎日、「マレン様はどこ」って、言ってるんですよ。 育ててるのは私なのに!!」

「あはは! 今度私が行こうか」

「それだけで私が休まりますから、是非来てください……」


(愛情なんかあるんですかね、私……)



       ☆☆☆☆☆☆☆☆



 さらに月日が経ち、三年。

 エリスとマレンは十八歳。子供達は十三歳となった。

 そんなときに五人はエリスの前にやって来た。


「どうしましたか?」

「「「「「私達を……メイドとして雇ってきてください!」」」」」

「……はい?」


 エリスは突然告げられた言葉に固まり、五人の顔を何度も見返す。 そして何度見ても固まる。


「ちょっと待ってください、貴女達はメイドできるんですか?」

「「「「「……」」」」」

「はぁ、やっぱりですか……」


 エリスはやっぱりと言わんばかりに頭を抱える。

 別にメイドをすることは構わないとエリスは思っている。だが、そのメイドをできるか?と問いには五人は無言になる。


「ふふ、仕方ありませんね。 私が徹底的にメイドを教えてあげますよ」


 こうして、五人はメイドになった。



 教え始めてから、数週間が経った。


「意外とすぐにできるようになってきましたね」

「「「「「はい!」」」」」

「私に慕いますか?」

「「「「「いえ、マレン様です!」」」」」

「はぁ……誰に似たんですかね……」

「「「「「マレン様一択です!」」」」」

「ですよね……」






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