23 金髪のメイド
今日は珍しく朝早く起きてしまった。そのため、顔を洗おうと部屋を出ると厨房から明かりが漏れているのを見つける。
またオーロか……。
俺はまたかと思いながら厨房に入り、注意をしようとした。
「オーロ、またつまみ食いし……」
「はむ……はむはむ……」
俺は最後の言葉を言い切る前に固まった、俺はオーロかと思っていた存在は同じ金髪であるマレンだったから……。 いやお前もつまみ食いすんのかよ!?
あっ、そういえばルプラがたまに食事担当の時に最近食べ物の減りがやけに早いって言ってたな……。もしかして全部マレンとオーロのせい!?
「マレン?」
「ん? ソウマか、一緒に食べるか?」
「食べません、それよりつまみ食いはほどほどしてくださいよ?最近、食料の減りが早いってルプラから聞いてたら、マレンのせいだったんだね」
「仕方ないだろう、腹が減るんだから」
「エリスさんの負担を考えろ」
コイツは本当に……一回でもエリスさんの仕事してみてはどうなんだ?あぁいや、普通にできないか……。
俺はもう呆れながらも厨房から出て、顔を洗おうと洗面所に行く途中、前からある影が見え、誰かと目を細める。
するとよくよく姿が現れ、見ると小柄で金髪の姿が見えた。 そう、オーロだ。そして俺がまさかと思い、問いをかける。
「オーロ? まさか、つまみ食いじゃないよね?」
「ひゃっ!? ソ、ソソ、ソウマさん!? な、なんで……」
「たまたま早く起きちゃってな、それで? オーロこそどうしたの?こんな朝早くから」
「わ、私は掃除を……」
「へぇ……掃除、ね?」
「は、はい! そうです!」
この言葉だけを見るとオーロは偉い子だと思うだろう。 前はルプラが料理していたが、オーロは基本料理担当だから、仕込みかもしれないが……。
だけど俺は決して見逃さない。
オーロは不自然に手を後ろに持っていっていることに。
「じゃあオーロ? その後ろに隠し持っているものを見せて」
「い、いやこれは……」
「どうしたの?」
「うぅ……」
「嫌なら無理矢理にでも……」
「あっちょ!?」
俺は無理矢理、オーロの後ろに回ろうとしたが、流石と言うべきかオーロはそれを阻止し、見せようとしない。
俺はそれをさらに追おうとして後ろに回ろうとした瞬間、お互いの足が絡み、倒れてしまった。
「あっ……」
「えっ……」
俺がオーロを覆いかぶさるような体勢になり、お互いを見つめ合う。
いわゆる壁ドンのような感じ……。
その拍子にオーロの手にあったナイフとフォークが床に落ち、金属音が鳴り響くが今の俺達にそんなものは届かない。
「……」
「そ、その……」
オーロの顔はリンゴのように真っ赤になり、その姿に俺も恥ずかしくなり、自分でも分かるほどに顔が熱くなる。
「ソ、ソウマさん?あの……早く……」
「あ、あぁ……悪い……」
俺はオーロに言われてからはっとなり、ゆっくり上からどく。
するとオーロはゆっくり立ち上がり、モジモジしながら何か話そうとしている。
「あ、あの……その……つまみ食いしようとしてたのは本当です……すみませんでした……」
「あ、あぁ……」
「で、では!」
そしてオーロは慌てた様子で落ちたフォークとナイフも拾わず、己の部屋に走って戻って行った。
そして翌朝。
アンに布団に入られ、起きた。
☆☆☆☆☆☆☆☆
朝食の時間。
「おはよ……」
「お、おはようございます……」
「んーあの二人なにかあったのか?」
「さぁ、わかりませんね」
「ご主人様! このお肉貰いますねー!」
「あぁ……」
俺はアンに肉を奪われるが、それに文句余裕がない。 隣にオーロがいる……。
「ソウマさん?お肉取られてますよ?」
「あっはい……」
俺は正直この朝食の時間を早く過ぎてほしいと思ってしまう。別に気まずいという訳ではないが、恥ずかしさで顔が爆発しそう。
その俺の思いを汲み取ったのかオーロは口を開く。
「私、買い出しに行ってきますね」
「早いな」
「え、えぇ、今日はそういう気分なんです」
「……そんなこともあるんだな」
マレンは少しだけ不思議に思ったのか、首を傾げてながらもすぐに考えるのをやめた。
俺は安心し、胸をなで下ろした。
だけど、あの一件で俺とオーロの関係は少しだけ、本当に少しだけ、近くなったと思ったのは俺だけではないだろう。




