21 紫髪のメイド
俺とローホは帰って来て早速、異常とも言える肉の量をルプラに渡す。
今日はオーロじゃなく、料理担当はルプラらしい。
「はい、ルプラ。 お願い」
「ありがとローホ、ご飯楽しみにしてて」
改めて二人を見ると、ホントそっくりだな……。 五つ子なんて普通はありえないし、だけど双子が増えたみたいな感覚でいいのかな?
ローホが肉を置き、料理場から立ち去るとローホが俺を見たまま、首を傾げている。
「どうしましたかソウマさん? 向こうで待っててください」
「いや、料理を手伝おうかなって」
「……」
その言葉を告げた瞬間、ルプラの動きはフリーズし、壊れたブリキのように俺の方をゆっくりと向く。
あ、あれ?何かおかしなこと言ったか?
すると、突然ルプラの金色の瞳から大粒の涙が次々に流れ始めた。
「え、ちょ!? 大丈夫!?」
「あっ、い、いえ!これは……。 私、誰かと料理したことなくて……」
「な、なるほど……?」
う、うーん? 誰かと料理したことなくても、泣くことはないんじゃないかな? いや、待て蒼真!何か事情があるのかもしれない。
「え、えっと……なんか理由ある?」
「私の夢が、叶って……」
このルプラって本当にあのルプラなんだろうか、ルプラは俺が初めて来た屋敷の日、俺の目に目掛けてブラシ投げてたからね。
それなのに今、つぶらな瞳で俺の目を見て泣いている……。
「じゃあ一緒に作ろっか」
「ッ!? はい!」
俺が微笑みながら「一緒に作ろう」と促すと、ルプラは顔をぱぁと明るくなり、急いで肉を捌き始める。
「ルプラは手際がいいね」
「そうでしょう、そうでしょう!」
「うぉ、元気いいね」
「当たり前ですよ! 誰かと料理できるなんて、夢のまた夢だと思っていましたからね!」
そんな俺達二人の様子をこっそりと見ていた人物がいた。
「ふふ、仲が良いですね。 私もあれぐらい仲良くなりたいです……。 私がどれだけ忙しくても、ソウマさん。貴方の為ならいくらでも働けますよ」
銀髪の苦労人はそう小さく呟いた。
俺はルプラの料理を手伝い、なんとか完成することに成功した。 まあほとんどルプラがやったんだけど……。
「皆さーん! ご飯ができましたよ!」
「よしきた!!」
「おかわりは全部私のだ!!」
ルプラの声と共に扉を破壊すると言わんばかりに、マレンとアンが現れ、肉にかぶりつく。 その姿は猛獣と変わらない。
「落ち着けよ……」
「あむ、むぐ……」
「はむ、もぐ……」
「聞いてねぇし」
「仕方ありません、私達も着きましょうソウマさん」
「そうですね、エリスさん」
猛獣と化した二人を置き、俺を含めエリスさん、メイド五人は食事につく。
俺が横を見ると、リスのように頬いっぱい肉を詰め込めているマレンがいた。 俺はなぜか無意識に手が伸び、指でマレンの頬を押した。
「ぶふっ!? な、な、なな何するんだソウマ!!」
「あっごめん、つい……。 けど、新鮮な反応……」
「お、お前ってやつは……」
「なんですかー?二人でイチャついてるんですかー?」
「お前は出てくるな鬼子!!」
今日も食卓は賑やかでいいな。




