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ゲームに召喚されたけど、魔王弱過ぎて平和ですね  作者: 迷子猫
ゲームに来た

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11/43

10 魔王討伐

 何か変な夢を見た気がするが、忘れてしまった俺。 眠い身体を起こして、部屋に出る。


「おはようございます」

「おはようございます、ソウマさん」

「おはようソウマ」


 俺とエリスさん、そしてマレンさんが集まったところで俺は昨日のことを話す。 魔王幹部と名乗る奴に会い、マレンさんが吹き飛ばしたと。


「……」

「えっと、エリスさん?」

「エリス?」


 俺はエリスさんの目の前で手を振るが、反応を示さない。 気絶してる……。

 そして、倒れそうになったエリスさんを俺は慌てて支える。


「こ、これ、どうしましょう?」

「そ、そうだな……どうするか……」


 どうしようと考えていると、エリスさんの目に光が戻る。 気が付いたようでよかった。


「ぁぁ……すみません、魔王幹部を吹き飛ばしたっておかしな……って、……え?」

「だ、大丈夫ですか?」

「きゃ……」

「きゃ?」

「きゃあぁぁぁぁぁぁ!?」

「ちょっ!? エリスさん!?」


 え、強!? エリスさんでもこんなに力強いの!? マレンさんだけだと思ったんだけどな……って、そんなこと言ってる場合じゃない! 本当にヤバい!? マレンさんも見て見ぬふりしないで!? 助けて!!


 気が付いたエリスさんは俺の顔を見た瞬間、顔を真っ赤にしながらとんでもない怪力で俺の腕の中で暴れる。


「お、落ち着いてくださいエリスさん! 俺ですから!」

「……お、れ? ソ、ソウマさん?」

「そ、そうです! 俺です!」

「あっす、すみません!?」


 ようやくエリスさんは俺に気付き、暴れるのをやめてくれた。 まあ、本当に気付いてくれてよかった、あのままだったら俺の腕普通に千切れてるから。


「ふん!」

「いったぁ!?」

「ああ、すまん」

「すまんじゃないですよ!! 何するんですか!?」

「ちょっとモヤモヤしてな」

「なにそれ!?」


 エリスさんから解放した次はマレンさんの制裁……もとい、ただの暴力を喰らう。 うん、なんで?




「はあ、朝から疲れた……」

「す、すみません……」

「い、いえ、エリスさんだけのせいじゃないので」


 マレンさんの方に視線を向ける。


「なんだ?」

「いえ、もうなんでもありません……」

「マレン様、今日のご予定は?」

「今日は"魔王討伐"だな」

「!?」


 その言葉に俺とエリスさん一緒に肩を上げる。魔王討伐に行く、遂にだ。 興奮と心配が同時に来ているが、まあ楽しみだ。


「マレンさん、魔王幹部と会った翌日によく行けますね」

「なに、私は楽しみにしてるんだぞ? 魔王幹部がまた会うかもしれないってな」

「戦闘狂ですよね、マレンさんって」

「当たり前だ」



       ☆☆☆☆☆☆☆☆



 朝食を終え……たら、よかったんだけど、俺は現在朝食を食べながらマレンさんの腕の中で飛んでいる。


「まだパン食べてるんですけど?」

「遅い」

「まあ、ソウマさん。 こういうときマレンさんは行動早いですから」

「全然食べてる気がしない……」

「喋るな、舌噛むぞ」

「んぐ!? もうがみまじだ……」

「あはは……こちら、ティッシュです……」


 よ、用意周到……。 これ絶対エリスさんもなったことあるんだな、目がもう慣れてるもん。


 俺はジャムの味をしていたパンから鉄の味がするパンを食べながら空を飛ぶという、なんともおかしいシチュエーション。


 そして数十分後、前見た洞窟の目の前に降りた。


「……ここが、魔王の?」

「ああ」

「今日は何か成果があればいいんですが……」


 その時、マレンさんはキリッとまるで別人のような顔になったのは俺は見逃さなかった。 あんなマレンさんは見たことがない。 その背中はいつもより広い気がする。




 歩く度にピチャピチャと音がする、水でも溜まっているのだろうか? あまり暗くて分からないが。 湿っていて空気がはりつく感覚がする。


 しばらく歩いていると、奥から青く輝く何かが目に入った。


「……これは?」

「魔王だ」

「魔王!? これが? まず、どこにいるんですか?」

「これだ」

「え? どれですか?」


 マレンさんは青く輝く場所を指を指すが、そこには何もない。

 その時、エリスさんが口を開く。


「ソウマさん、私の肩に触れてみてください」

「え? はい、こうですか……うお!?」


 エリスさんに言われた通りに肩に触ると青く輝く場所の中から一つだけ小さな黒い点が現れる。 これが魔王なのか?


「驚く気持ちもわかりますが、それが魔王です」

「……」

「……は?」


 これが!? こんなの子供が踏み潰せるサイズだぞ?


「ソウマ、見てろ」

「は、はい」


 マレンさんが前に出て、魔王の場所に手をかざす。 そして次の瞬間、マレンさんの手からは炎が舞い上がり、洞窟をも燃え尽くすといわんばかりに青く輝く場所を炎で覆いつくした。

 流石にいけるだろう。そう思った瞬間――。


「え?」


 炎は一瞬にして消えた。 マレンさんが消したとは思えない、だけど炎は消えた。 そして、魔王は一切燃えなかった。


「ソウマさん、これでわかりましたか? こんな風に魔王を討伐することが無理なんです」

「なるほど……」

「そこでソウマ、お前を私達は適正者として召喚したんだ」

「そんなこと言われても、どうしたら……」

「とりあえず、魔王に近付いてみてはくれんか?」

「あっはい」


 俺は前に出る。


 でも、何したらいいんだ? 俺は魔法なんて大層なのは使えなし……。 本当に触るだけでいいのか?

 俺はとりあえず、マレンさんと同じように手をかざす。

 その瞬間――。


「ぅぁぁ……」

「「「ッ!?」」」


 目にも見えなかったサイズの魔王がうめき声を上げながら、目視できるほどに少し大きくなった。 マレンさんとエリスさんもその声に驚いたのか目を見開いている。


「な、なにをした!?」

「い、いえ、なにも……」

「これは……」

「攻撃でき、た……?」


 試しに俺はもう一度、魔王に手をかざす。


「ぅぁぁ……」


 すると、魔王はまたうめき声を上げながら少し体を大きくした。


「うっ……!」

「ソ、ソウマ!?」

「ど、どうしましたかソウマさん!?」

「な、んで……」


 突然、俺の胸は何かの異物感を感じ、喉から這い上がって物を思わず出してしまった。

 ――それは大量の血だった。


「ソウマさん!?」

「ソウマ! ソウマ!!」

「ごはぁ……な、んだこれ?」


 マレンさんとエリスさんが俺の体を激しく揺さぶるが、俺の頭に声など届かない。 胸の違和感。まるで胸が空洞になっているかのように。

 俺はゆっくり、痛みに耐えながら服を胸までめくる。


「!?」

「ソウマ、お前……」

「なん、で?」

「ソウマさん、"心臓"が……」


 俺の胸はポッカリと穴が空き、その中にあるはずの心臓がなかった。

 見てから気付くというのか、その様子を見た俺はさらなる痛みが走る。


「だ、大丈夫かソウマ!?」


 大丈夫なわけねぇだろと言いたいが、そんなツッコミを言えるほどの余裕がない。 それに俺は心臓がなくなったのになんでまだ生きているんだ?


「早くエリス! 回復魔法を!!」

「は、はい!」


 マレンさんが一早く命令を出し、エリスさんが俺に近付いて両手をかざす。


「__聖なる動物、聖なる者、聖なる人、聖なる神よ! この者に再生の儀を!」


 その言葉と同時に俺の心臓が徐々に再生され、最終的に骨、脂肪、皮膚まですべてを再生し終えた。


「だ、大丈夫か? ソウマ……」

「は、はい……。 そしてありがとうございます、エリスさん」

「い、いえ本当によかったです……」

「でも、なんで……」


 自分の胸を再び見て、胸をなで下ろした。 胸だけにってな。

 ――そう安心したつかの間。


「なんですか〜? 魔王様復活したと思ったのに、反応しただけっすか?」

「「「!?」」」


 知らない声がして、慌てて後ろを振り向いたら、そこには謎の女性が腕を組みながら立っていた。

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