感情がないと噂されてる女勇者と異世界転生者の俺が協力し合う話
二作目を書きます!タイトルって意外と考えるの難しいですね(笑)それでは楽しんでください
俺は隣を歩いているカンナギを横目で見つめながらギルド内での冒険者同士の会話を思い出していた。
「なぁ、あそこに居るのってやっぱり本物だよな?」
屈強な冒険者が同じギルドの仲間に話しかけていた
「確かに凄く似ていた、でも噂とは随分違って見えたぞ?」
俺は会話が気になって耳を傾けていた
「だよな、勇者様は無感情だと聞いていたんだが、さっきは明るく笑ってたぜ」
無感情?勇者?となるとカンナギのことか
「しかも一緒にいる男、仲間か?」
俺の話が話題に上がったことに驚き更に話にのめり込んでしまう
「ワンマンセルだと聞いていたがツーマンセルだったのか?」
男達は俺とカンナギが同じギルドの仲間だと勘違いしているようだった
「いくら考えても俺達にはわからねぇだろ、それよりも早く良い任務探そうぜ」
ここで会話が終わってしまう、俺は無感情という単語がやけに耳に残った、カンナギのイメージとだいぶ違っていたからだ
「なぁ?さっきギルドでさぁ…」
俺が率直に先程の会話を切り出そうとしたその刹那
ズガァァァァン!!!
「なんだ!?」
俺が驚くと同時にカンナギが戦闘態勢を取り、俺も慌てて構える
「ここらの地帯はモンスター大量出没区域だ、いつ襲われてもおかしくない状況だった」
地面から蛇の魔物が現れる、ざっと10メートルはあるだろう
「これが…魔物…」
ゴクリと唾を飲む
「ヨウタ、私が合図したらアイツの後ろに回り込んでくれ」
カンナギが的確な指示を出す
「了解!」
俺とカンナギはその場から動かず、蛇の行動を待ち続けた
「今だ!」
カンナギが指示を出すと俺は地を蹴って蛇の後ろに回り込んだ、蛇はさっきまで俺達がいた位置に激しく頭から突進した、砂埃が舞う、しばらくすると収まったがそこで俺はカンナギが居ないことに気づく
「カンナギ!?」
カンナギの姿が見当たらず焦る、俺がカンナギを探していると上から剣を構えながらカンナギが蛇目掛けて落下してくる
「クロスラッシュ!」
カンナギが技の名前らしき物を叫びながら構えていた剣で空を切る、すると剣先から衝撃波のようなものが現れて勢いよく蛇の方へ飛んでいく
「シャアアアアアア!!!」
衝撃波が当たると蛇がうめき声を上げながら力なく倒れる
「やったか?」
カンナギは蛇の上に着地してそう言った
「す、凄い…流石勇者と呼ばれるだけあるな」
俺は目の前で起こった戦闘に感激していた
「こいつのドロップ品は鱗と牙だけだ、無視して進もう」
カンナギは蛇の尻尾の方から滑り台のように滑って降りる
「え?死体放置していいのか?」
カンナギと俺は再び目的地に向かって歩き始める
「数分経つと自然消滅する、安心しろ」
カンナギは剣を鞘に収めながら言う
「さっきの魔物は?蛇のようなミミズのような」
土から現れるという点ではミミズに近いのか?
「どっちでもない、チャンブと言う魔物だ、 動きが鈍いから背後を取り続ければ襲われる危険はない」
カンナギのこういう知識はかなり助かる
「だから後ろを取れって言う指示だったのか」
やはりカンナギの指示は適切だった
「そうだな、そう言えばなにか言おうとしてなかったか?」
カンナギは思い出したように俺に問いかける
「え?何だったっけ、悪い忘れた」
さっきの戦闘ですっかり忘れてしまった
「そうか、まぁ良い」
会話を続けていると次第に森が見えてくる
「お?あれか?」
やっと目的地が見えてきた、砂漠地帯と森林地帯の境目は不思議な青い太線で仕切られていた
「ボスゴブリンは縦5メートル横3メートルだ、普通のゴブリンより明らかに大きいからわかりやすいはずだ」
カンナギは鞘から剣を引き抜いた
「え?ゴブリンもいるの?」
俺は驚き聞き返した
「あぁ、ボスゴブリンの習性でゴブリンの取り巻きを引き連れている、ゴブリンくらいならすぐ倒せる、ボスゴブリンは私がやるからゴブリンの一人や二人くらい倒して」
カンナギはそう言うと走り出した
「あ!ちょっと待てよ!」
後を追うように俺も駆け出した
「ゴブーーー!」
数分後…俺はカンナギに置いていかれて一体のゴブリンと対峙をしていた。
「は…はっはっは、死にたくなければ今のうちに逃げることだな」
通用するかわからないがとりあえずデタラメで威嚇する
「ゴブーーー!」
そもそも俺の言葉が理解出来ていないようだ、ゴブリンが木の棒を構えて襲ってきた
「く…くそ!クロスラッシュ!」
とりあえずカンナギのマネをして剣を振り回してみたが何も出なかった
「ゴブーーーー!」
ゴブリンの木の棒が俺の頭を目掛けて振り下ろされた
「うわぁぁぁぁぁ!」
咄嗟に前に出した手のひらから衝撃波が繰り出される、ゴブリンは吹き飛び奥の木に打ち付けられる
「ゴブッ!」
最初は驚いたがひるんだゴブリンを見てトドメを刺す
「た…倒した…」
一息つこうと木にもたれかかり座る、すると目の前から大勢のゴブリン集団とボスゴブリンらしき魔物が現れた
「はは…終わった」
諦めて空を見上げる
「いやまぁ…こんな世界で俺みたいなのが生き残れるわけないか」
この世界に来てから起きた出来事を思い出すが、異世界に来てなにもやり遂げていないことに気づく、ため息を一つついて立ち上がる
「やっぱ諦めるのやめるわ、せっかく異世界来たのに三日目で死ぬとか流石にありえねぇだろ?」
俺は剣を手に取りゴブリン達の前に立ちはだかる
「剣貰ったのにあんまり使わなかったら申しわけねぇからなぁ、最後まで醜く足掻いてやるよ!」
覚悟は決まった、後は俺の体がどこまで持ってくれるかにかかっている
「ここに宣言してやる!!俺は!!」
剣を握り締めてゴブリン達を睨めつける
「死なねぇ!!!」
ゴブリンの群れに勢いよく突っ込んでいく、俺は前も見ずに無我夢中で剣を振り続けて全力で抵抗する
「オラァァァァァッ!!」
自分の体力なんてお構いなしに斬り続ける、フラフラの状態でゴブリン達の残り数を確認する
「…ゴブリン二体…ボスゴブリン一体か…」
最後の力を振り絞って後のゴブリン二体を切り裂く
「あとは…お前だけだ…」
ボスゴブリンは大きめの棍棒を振りかぶる
「ゴブーーーッ!」
俺の腹部に直撃する
「ガハッ!」
その場にうずくまる
「ゴブッゴブッ!」
再びボスゴブリンは棍棒を振りかぶりトドメを刺そうとする
「まじか…流石にやべぇな」
俺はカンナギが居ないと何も出来ないという悔しさで涙が出る、涙の一滴が地面を濡らすその瞬間、地面が光りだす
「ゴブッ?」
ボスゴブリンがひるむ
「な、何だ?」
森の中全体を光が包む、徐々に光が消えていき目を開けるほどまで光が収まる、目を開くとそこには巨大なカラスが俺とゴブリンの間に現れていた
「こいつは?味方なのか?」
俺がそう発言するとカラスはこちらを少し見てからボスゴブリンに向き直る
「カァァァァァァァ!」
カラスが翼を動かすと風が巻き起こり吹き飛ばされそうになる、なんとか地面にしがみつき耐える、風が収まると俺は結果が気になり勢いよく顔を上げた
「うそ…だろ?」
カラスの姿はもうなかった、ボスゴブリンは細かく切り刻まれて肉片となっていた
「あのカラスが…切ったのか?」
混乱と同時に身体から力が抜けていく感覚がありその場に気絶する…そこからの記憶は無かった。
目が覚めると俺はカンナギの部屋に戻って来ていた
「既視感あるなぁ」
俺が目覚めたことに気づきカンナギが駆け寄ってくる
「おい!お前どういうことだ?説明しろ!」
カンナギは興奮した様子で俺の身体を揺さぶる
「落ち着け…傷が痛む」
カンナギは一呼吸置き冷静を取り戻す
「すまない、あまりにも衝撃的だったからな」
俺はカンナギを少し見つめて言う
「お前、普通に感情豊かだよな」
カンナギは不思議そうに目を見開いて「え?」と聞き返す
「この前冒険者が会話しててさ、カンナギが無感情だって言う噂話を聞いたんだよ」
カンナギは少し考える素振りを見せて俺に笑みを見せる
「お前には驚かされる事が多いからな、私も自分のことは感情をあまり表に出さない性格だと思っているから」
カンナギはなぜか嬉しそうにそう言った
「そんなことよりだ!何だあのボスゴブリンの死に様は!」
いきなり大声を出すので驚く
「なんか、カラスに助け出された?」
カンナギは呆れた様子でため息を付く
「お前な?ボスゴブリンを倒せるカラスなんて神話でしかありえない話だぞ?実力を隠しているなら無理に追求しない」
カンナギはなにか勘違いしているようだった
「いやいやいや、マジだよ?」
信じてもらえるかはわからないけど嘘はついていない
「まぁ良い、報酬はお前が全部受け取れ、周りに倒れていたゴブリン達の討伐報酬も貰ったからかなりあるぞ」
カンナギは金貨が詰まった袋を俺の方に投げた
「いやちゃんと分けよう、カンナギだってなにもしなかったわけじゃない、チャンブ倒しただろ?」
カンナギがいなかったらあそこで俺は死んでいただろう
「わかった、じゃあなにか奢ってくれ、飯屋にでも行こう」
カンナギは地図で周りにある店を確認する
「そうしよう、傷は治ったからいつでも行けるぞ?」
カンナギは地図を見せてきて一つの店を指さしながら言う
「ここにしよう、面白い店員がいるんだ」
星空という店だった、俺はどこでも良かったので「わかった」と返事しておいた
「よしっ!じゃあ行くぞヨウタ!」
カンナギの声が弾んでいた、久しぶりに合うのだろうか
俺達は行く店を決めてからすぐに向かった、店内に入るとバーの様な雰囲気で少し興奮する
「おぉ!ドラマとかでよくバー見るけど変わらないな!」
カンナギは不思議そうに聞いてくる
「ドラマ?よくわからない単語を使うんだな」
俺達が店に入りそんな会話をしていると、一人の店員が話しかけてきた
「あ!カンナギじゃーん!」
やけにテンションが高い、仲が良さそうな割にカンナギとは別タイプの人間だと思う
「久しぶりだな!ミオ!」
ミオと呼ばれる女性はカンナギに駆け寄りハイタッチをする、そして俺に視線を移した
「え?え?え?カンナギまさか!ボーイフレンド連れてきちゃった?積極的ー!」
俺が苦手なタイプだ
「あぁ、こいつはカイダヨウタと言うんだ、私たちとは違って…ミョージ?というものがあるらしい」
カンナギが軽く俺の自己紹介を済まとミオが俺の名前を復唱する、するとなにかを思い出したた様に自分の手のひら同士を合わせる
「あーなるほどなるほど、多分ニホンから来たんじゃない?」
俺の心臓が激しく飛び跳ねる
「日本を…知っているのか?」
俺は目を見開いてミオの肩を掴む
「ちょっとヨウちゃん!がっつきすぎ」
…急にあだ名を付けられた
「そう言えばヨウタの出身地聞いていなかったな」
カンナギが俺とミオを引き離しながらそう言った
「ここから遠い上にかなり小さい小国だからねぇ」
俺は深呼吸をしてミオに問いかける
「場所とか…わかるか?」
ミオは俺とカンナギの手を掴んで空いてる席に通した
「情報提供はご飯を食べながら…ね?」
ミオはウインクをして厨房に戻って行く
「まぁ、もともとご飯を食べに来たからな」
俺とカンナギは向かい合うように席に座った
「私はもう決まっている、ヨウタはなににするんだ」
カンナギはいつも同じ物を頼んでいるのだろうか、しばらくメニュー表を見ているとミオが駆け寄ってくる
「はい、カンナギのボーイフレンドにサービスのお冷でーす!カンナギにも上げるね!」
そういいながら水を机に二つ置く
「これは…サービスなのか?」
疑問に思いカンナギに聞く
「いや、普通に渡されるものだ、別にサービスでも何でもないぞ?」
ミオは「別に言わなくても…」としょんぼりしていた
「あ!それよりも注文決まりましたか?」
ミオは急に元気を取り戻して聞いてきた
「私はいつもので頼む」
やはりカンナギは常連なのだろう
「じゃあ俺もそれでー」
決めることが出来なかったのでカンナギに合わせておいた
「そ、そー?わかりましたー!」
ミオは冷や汗をかきながら厨房に戻った
「…え?カンナギなに頼んだ?」
俺がカンナギの方を見るとすぐに目をそらした
「ま、まぁ私的には好みな刺激だから大丈夫じゃないか?」
刺激…ものすごく今な予感がする…
…数分後…
「おまたせ致しましたー!こちら激辛唐辛子使用地獄麻婆豆腐でーす!」
ミオが持ってきたのは赤黒い液体の上に真っ赤な…豆腐?が乗っている食べ物だった…食べ物?
「ごめんカンナギ…俺食欲ないかも…」
俺涙目でそういうとカンナギは苦笑いしながら麻婆豆腐を受け取った
「あぁ、じゃあこれは私がもらうぞ?」
カンナギは意外と大食いですごい勢いで食べ始める
「流石だねカンナギ!それじゃあニホンについて話すね?」
ミオは俺の隣に腰掛けて地図を広げる
「ミオは行ったことあるのか?」
いきなりミオに気になった質問を聞いてみる
「いや?私は行ったことないよ?でもこういう職業やってるとお客さんと話すことが多いじゃん?たまにニホンからも来るんだよねー」
ミオは「ここ!」と言いながら一つの小国を指さした
「遠いな…でも…俺行くよ」
そう決めるとカンナギに引き止められる
「やめておけ」
ミオと俺はカンナギに目を向ける
「どうしてだ?」
カンナギは食べ終わったら麻婆豆腐に手を合わせご馳走様と言う、そして日本とエルコミエンゾの間にある大きい国を指さす
「ニホンに行くためには必ずここを通らなければならない、だがここには魔王がいる」
魔王…この世界には存在していたのか…
「あれ?じゃあヨウちゃんはどうやってここまで来たの?」
ミオが俺に問いかけるが慌てて「なにで来たっけ?」とぼける
「ヨウタ…やはりお前なにか隠してるな?」
まぁ、通用するわけないか…
「そんなことより絶対ここ通らないと行けないのか?」
急いで話をそらす
「あぁ、だがどうしても行きたいなら私も同行する」
衝撃のカミングアウトに唖然とする
「いや…それは助かるがなぜだ?」
カンナギの心の中が分からずそんな質問をする
「どうせ私は近いうちに魔王は倒すことになる、それまで一緒に行こうという話だ」
なるほど、と納得する
「じゃあカンナギ、すぐに出発しよう!ミオ、これ会計だ」
金貨を一枚おいて店を出ようとする
「情報提供料だ、取っておいてくれ」
カンナギとともに店を去る
「そう言えば装備とかは旅中で調達するか?」
カンナギはため息を付く
「どうした急に、焦りすぎだ」
足早に街を出る門に立つ
「カンナギが来てくれるとわかって急に心強くなった」
カンナギは少し驚いて笑顔に戻る
「わかったわかった、だが準備はするから門で待っておけ、お前は今日なぜかずっと装備をつけたままだから準備は不要だろう?」
カンナギは家に装備を取りに行った、その間に地図を開いて場所を確認する
「次の目的地は…カイロウ小国だな」
不安はない、カンナギが居るからむしろ胸が弾む、奥からカンナギの姿が見えると自然と笑みがこぼれる
「やっときた…!この世界で日本と呼ばれる場所…しかもそこには名字の概念がある、楽しみだ」
カンナギとともに日本を目指す壮大な旅が、いま始まるのだった
自分でも書いてて少し変なところがありますがこれから上達していくので楽しみにまっててください!




