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しばらくすると、マロリーとバルティルデの姿が見えた。彼女たちが現れたという事は、これで全員が揃ったという事だ。
エルフリートとロスヴィータは全員が揃っているか点呼をとり、確認をすると魔法が使える者と使えない者に別れるように指示を出した。
使える者の内、自分限定にしか魔法がかけられない騎士を除外する。除外した面々は後で何をどのくらい使う事ができるのか確認する事にして、まずは魔法を他者にも使う余裕のあるメンバーの確認を優先した。
「……思っているより、状況は良いかも」
「良い案があるのか?」
「うん。自分にだけかけられる子たちの状況次第だけどね」
エルフリートはそう言って待機している少女たちに視線を移す。ロスヴィータは「分かった」とだけ言うとそのグループに向かって歩き出す。エルフリートもそれに続いた。
ドロテがエルフリートたちが向かってくるのに気付いて姿勢を正す。エルフリートはひらひらと軽く手を振った。
「ごめんね、お待たせ」
「いえ」
グループの代表としてドロテが応じる。ドロテのすぐ側でリリーがそわそわとしている。何か言いたい事があるようだ。
いち早く気付いたロスヴィータがリリーに声をかける。リリーはぱあっと表情を明るくして笑った。
「全員の能力を確認したので、すぐに報告できます!」
「仕事が早いな」
ロスヴィータが感心の声を上げれば、彼女はふるふると首を横に振った。
「だって、想像つきますし」
「想像できても先回りして行動するのはできなかったりするから、すごいよ」
「その通りだ。時間短縮ができて助かる。報告を頼む」
せっかく情報を整理してもらったのだ。短縮された時間を雑談に使うわけにはいかない。本題に戻ろうとするロスヴィータに、リリーは大きく頷いた。
リリーからもたらされたのは、エルフリートにとって朗報だった。ここにいる面々のほとんどが、補助を必要としないレベルの能力を有している事が判明したからだ。
数人は魔法の使えないメンバーと同じように補助魔法のサポートを受けるしかないが、補助魔法のサポートが必要な人間が大幅に減るのはとてもいい話だった。
「補助魔法の自己申告だが、虚偽はないな? 特に、過大評価は困る。もし、自分を良く見せようとしてしまった者がいるなら今の内に白状する事」
「ロス、そういう言い方はちょっと……どうせサポートなしではいられなくなってバレちゃうんだから」
「それもそうか」
少女たちを信じていないわけではないが、常に釘を刺しておく事で発生を減らす事はできる。すり込みのようなものだ。
誤魔化してもすぐにばれるのだからするべきではない、という認識を思考に染み込ませるのは大切なのだ。ただの見栄っ張りによる過大評価の自己申告は、いざという時に深刻な事態を招く可能性があるのだから。
「もし、厳しくなったら自己申告してね。自分の能力を評価し直すのは決して悪い事じゃないから」
「ああ。実際、この状況での移動は厳しいと思う。慣れていないのだから当然だ。だから、読みが外れる事もある。その時には遠慮せずに言いなさい」
エルフリートとロスヴィータがそう言うと、各々頷きが返ってきた。あとは、サポートが必要なメンバーを魔法の使えないメンバーに合流させ、魔法が使えるメンバーにローテーションや使用する魔法についての指導をするだけだ。
エルフリートはロスヴィータに目配せすると一人で補助魔法のサポートメンバーたちの方へ向かった。
「えっと、これから何をするのか説明するね」
エルフリートは端的に何をすれば良いのか、シフト制にする理由、そして自分達が優れているからこの役を任されるのではない事などの思考に関する指導も含めて伝えていく。
エルフリートがオリエンテーションをしている間、ロスヴィータはこれから何があるのかについての説明を補助が必要なメンバーに伝えてくれているはずだ。
エルフリートはロスヴィータたちを待たせないようにとなるべく簡単な言葉で説明をするのだった。




