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29.古代要塞を抜けてマジャルジャンへ




 ランケンはまさにトロピカルな街だった。南国特有の極彩色豊かな魚達が売られ、建物も木や藁で出来ている。街行く人々も大胆な服装の人が多い印象だ。


「さて、クラスチェンジの為に神殿に向かいましょう」



 その結果タリとぽぷらは無事クラスチェンジする事が出来た。タリは陰陽導士にぽぷらはレジャードメインに昇格した。


「クラスチェンジおめでとう」

「あざっす。で、二人は?」

「私はやはり無理なようですね」

「俺もだな。マジャルジャンで可能と言われた」


 俺とダイモンは特殊なジョブ故かここでのクラスチェンジは不可能なようだ。ダイモンは確か伝道師だったよな。


「私もマジャルジャンです」

「ならば、マジャルジャンが次の目的地だな」

「情報集め、やるどん」

「オレはファーニーの装備を探したい」

「では、二手に分かれましょう。てっちゃんとタリさんのコンビ。後は私達三人で」

「え、いや、オレは一人で」

「行くぞテル。この街は目に毒だからな」

「え、え?」


 タリにテルが引っ張られて行く。確かに、際どい格好をしたお姉さん達がそこら中にいるな。男としては目の保養に……。


「らっきょさん?」


 ダイモンが目の前に立ち塞がった。相変わらずデカい。


「情報集めますよ?」

「……はい」


 ぽぷらが背後で大笑いしてる。いつか目にモノ見せてやるぞこいつ。


 一通り街を歩き回って聞き込んだ。途中ダイモンがぴったりと俺についてきていた為、歩きにくくてしょうがなかった。だが、調べたい事は大体確認出来た。


「代理都市ですか」

「神の代理を執行する都市機構とは、大きく出たな」

「ユージア星国の第二都市らしいぜ」


 全員の情報を統合すると、西バシレキス大陸には二つの大国があるらしい。東側を中心とした、バシレキス海に面する地域を手中に治めるマギドリア帝国と西側を領するユージア星国だ。このユージア星国は宗教国家であり、ユージャン星教を国教としている。これは世界各国にある神殿の総本山らしい。


「ランケンからの道は一つだけ。この荒地を進む道ですね」


 地図で示されたのは山岳地帯を避けて荒地の中を抜けるルート。その中頃に古代要塞跡と書かれている。


「これは?」

「この荒地は元々が河だったみたいで、干上がって荒地になったようです。この古代要塞はその中間地点にあって関所のような場所だったとか。避けては通れないと言われました」

「この広大な範囲が全部河とはな。何故それだけのものが干上がってしまったのか」

「古代ミステリーってやつ?」

「歴史の浪漫を感じる!」


 テルとぽぷらは俄然やる気のようだ。俺も嫌いじゃないな。古代浪漫。


 斯くして俺達は荒地を抜ける為旅立った。目指せマジャルジャン、である。

 荒地は酷いものだった。文字通り草木も生えず、水の一滴も見つからない。出てくる魔物はグールだけ。それも干乾びたグールだ。


「ほい、ほい」


 ぽぷらがクラスチェンジして使えるようになったマジックワンドでグールを殴り倒す。このマジックワンド、魔法を付加した攻撃が可能なのだが、何と知恵依存では無く、器用依存らしい。正にアイテム師ルートの選択者の為に作られた専用武器だ。


「調子良さそうだな」

「あーしのワンドちゃん、マジ神」

「こちらの出る幕が無いな」


 タリもクラスチェンジして新しいスキルを覚えたようだが、大物向けの技らしくまだ披露はしていない。俺も早くクラスチェンジしたいな。

 やがて、古代要塞跡とやらが見えてきた。荒地の一番狭くなる場所、両側を山に挟まれ谷間になっている部分を塞ぐ形で門のように鎮座している。ぱっと見は煉瓦造りの要塞のように見えるが、よく見ると錆びた鋼鉄で出来ているようだ。


「あそこが入り口ですかね」


 巨大な昇降式の門の横に、メンテナンス用通路と掠れた文字で書かれている扉があった。扉自体は壊れていて入れるようになっている。


「そのようだ」


 俺を先頭にして扉から侵入する。中の通路は配線が剥き出しのまま放置されていた。たが、通路の非常灯はまだ点いている。


「電気が来てるのか?」

「システムが生きてるパターンって警備ロボと戦うやつじゃん!」


 テルはまたもやテンションが爆上がりだ。

 少し進むと、エレベーター昇降口に着いた。しかし、エレベーター自体は破損しているのかシャフトが剥き出しだ。


「上は……瓦礫で塞がってますね」


 ダイモンの言う通り上は選択出来ないようだ。ならば下。シャフト横のタラップを使って地下へ降りる。


「こういう場面て映画でよくあるけど、大体上から敵が迫って来るよな」

「テル、洒落になんない。やめて」

「はい、すいませんぽぷらさん」


 ぽぷらはあまり高い所が得意じゃないらしい。ちょっとぷりぷりしている。ちなみにファーニーは壁を蹴って降りていった。あいつどんどん立体機動上手くなってくよな。新しく用立てた脚爪の装備が早速役に立ってる。


 途中の階は全て扉がひしゃげていた為一番下に降りざる得なかった。エレベーターシャフトの一番下は何かが掘ったような跡があり、少し登り坂になっているようだ。その坂が上に向かって続いている。


「なんか、いや〜な予感がする」

「私もです。てっちゃん、さっさとシャフト付近から離れた方がいいかも」

「え、なんで?」

「上だ!」

 スウェー!


 上階の方から扉を破る音がした。ファーニーが驚いて一鳴きする。上を仰ぎ見ると何か巨大な物体が落ちて来る所だった。


「ファーニー!テルを咥えて来い!」


 ファーニーがテルを咥えて猛ダッシュし、全員が登り坂に駆け込んだ瞬間にシャフトに巨大な生物が着地した。三メートル程の寸胴の体。手なのか足なのか判別出来ない程数え切れない量の手足。目はなく、真一文字に結ばれた口。その口がゆっくり開いていく。通路一杯に広がった口には幾多の突起が有り、丸飲みにしたモノを砕くのだと予想出来る。


「鑑定」


▶ダンジョンフーバー


 ダンジョンの掃除屋。口はあらゆる攻撃が効かない。背後から倒すしかないが、フーバーの背後に出る事は不可能に近い。


「倒すのは無理そうだ!走れ!」


 追いかけっこが始まった。ダンジョンフーバーの脚はそこまで速くない。その寸胴の体が明らかに進行を遅くしている。しかし、経路の分からない道を行くのは思ったよりも気を使う。途中幾度か二股があったが先頭のファーニーを信じて付いて行く事にした。どうせ正解なんて分からないんだ。


「これどこまで続くんでしょうか」

「後ろのもずっと付いてくるな」

「二手に別れるか?」

「いや、やめとこう。別れたら合流出来る気がしない」

「おりゃ、三連ボム!」


 ぽぷらが定期的に爆弾を投げ入れるが奴は美味そうに食べ尽くしている。


「ぽぷらさん、弾の無駄っす」

「わーてるよ!でもあの口きしょいのー!」


 ぽぷらにだけ冷静になるテルはちょっと面白いな。


 やがて開けた場所に出た。倉庫のような場所だ。鉄製のコンテナが積まれていて、クレーンが見える。そして巨大なダクトが縦横無尽に走っている。


「逃げ場がないぞ」


 タリの冷静さも今は助かる。背後を取れるかと回り込んだが、奴はダクトに逃げ込んだ。辺りを這いずる音だけが響く。


「これ多分ギミックボスだな。でクレーンとコンテナと言えば、あれだろ。エ◯リアン。分かるやついるか?」


 半世紀以上前の映画だが、名作は色褪せない。分かってくれる仲間がきっと……。


「なにそれ」

「知らないな」

「わっかんない」

「分かりますよ」


 ああ、ダイモンありがとう。


「簡単に言えば、クレーンを使って魔物の上にクレーンを落とす訳ですね」

「そうだ。電源を入れる人、クレーンを操作する人、タイミングを指示する人。ダクト内で誘導する人が必要になる」

「分かった。俺とファーニーで誘導する」

「じゃあ、あーしは電源」

「タイミングは任せて下さい」

「あー、私は機械の操作とか苦手だ」

「俺がやるよ。タリはテルの手伝いだ」


 役割が決まった。早速テルとタリが相乗りでファーニーに乗る。二人乗っても問題無さそうだな。流石ファーニーだ。


「おら、ついてこい!」


 ダンジョンフーバーが飛び出して来た所を焚き付けてダクトに逃げ込むテル達。さぁ、俺達は自分のやる事をしなくては。電源の場所はクレーンのケーブルを追って見つけた、少し高い場所にある為、ぽぷらを背負って空歩で渡る。その間タイミングを見るはずのダイモンがずっとこちらを伺っているのが見えた。何やってるんだ?


「合図したら頼むよ」

「らじゃー」


 クレーンの操作室に入りコンソールのディップスイッチをオフにする。オンのまま電源を入れて、過電流で漏電とか洒落にならないので。


「いいぞ!」

「ほい!」


 電源ボタンが光った。こちらもオンにして起動するのを確認。クレーンは問題無く動くようだ。この劣化に耐える油圧とは一体。いや考えてる場合じゃない。手前にあるコンテナをクレーンで掴み上げ、ダクトの出口に持って来る。


「準備出来たぞ!」

「了解。右のダクトにそいつを誘導して」

「分かった姉貴!ファーニー!」

 スウゥェー!


 ファーニーが素晴らしいコーナーワークで右のダクトに侵入する。


「そのまま等速運動」

「了解」

「らっきょさん。合図したらお願いします」

「分かった!」


 俺がコンソールのバーを握る手にも力が入る。


「……今!」

「おら」


 クレーンのアームが開かれコンテナが落下して行く。その下をファーニーがスライディングしながら走り抜けた。あの鳥格好良すぎるだろ。しかし、これは……。


「ちょっと遅かったか」


 このままだとフーバーはコンテナが落ちる前に通過してしまう。


「任せろ。四神顕現、青龍」


 ファーニーの背中のタリが振り返りながら片手を上げるとその腕に龍が宿った。龍の顎が開く。


「龍掌波」


 青い奔流がタリから放たれた。それはフーバーを押し、突進速度を著しく遅くする。そこへ巨大な質量を持つコンテナが降ってきた。フーバーは質量に押し潰されペシャンコになった。


【ダンジョンフーバーを倒しました】


 残念ながらレベルは上がらなかったようだ。


 ボスのような敵を倒しハイタッチする俺達は油断していた。気付いていなかったのだ、ここは古代要塞。何が起こっても不思議じゃない。突然俺達を光の輪が包囲したのだ。


「え、なんだこれ」

「まずい!」


 俺は思わずダイモンの手を取る。

 そうして、その場には誰もいなくなった。


【防衛システム コード四八四七を起動】

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