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異世界帰りの元勇者は現実世界でも天才でした。  作者: 坂元たつま


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未来への青図と ISTO の影(ブループリント・オブ・ピース)

マサトとマリアの再会は、アウラ王国の王宮に大きな喜びをもたらしました。しかし、その喜びは長くは続かず、現実的な問題が山積みでした。マサトは、すぐに王宮の一室で、マリア、ラッセル、ソフィア、そして新たな仲間となった香坂サヤを交え、今後の戦略会議を開きました。

 新たな戦場の情報共有

マサトは、異世界で得た知識と、現実世界で得た「次元知性」を総動員し、全員に状況を説明しました。

• ISTO(国際科学技術戦略機構)の存在:

「俺たちを追っている組織は、現実世界では魔王以上の危険を持つ存在です。彼らは、俺たちのいる異世界や、他の多くの世界を**『資源』**として管理し、次元転移の技術を独占しようとしています」

• 香坂サヤの役割:

「香坂さんは、かつてISTOの管理下にあった迷人であり、彼らの**『次元管理プロトコル』**の全てを知っています。彼女の知識は、ISTOの次の動きを予測するための最重要情報です」

• 次元航行の状況:

「俺たちがここへ来た扉は、すでに閉じ、ISTOは炉心以外の情報を持っていません。しかし、彼らは人工魔素炉のプロトタイプを回収し、俺たちの理論を解析し始めています。遅くとも半年以内には、ISTOはこの世界へ追跡部隊を送れるようになるでしょう」

• マリアの波動(愛のフィードバック):

「マリア様が俺に送ってくださった感情の波動は、次元接続を安定させる最重要ファクターです。これは、俺たちの研究をISTOから守る、最大の武器となります」

 平和のための「青図」

マサトは、この「半年」という猶予期間に、二つの目標を達成する必要があると訴えました。

目標1:異世界(アウラ王国)の防衛強化

「ISTOは、俺たちを捕獲するか、この世界を破壊するか、どちらかの手段を取るでしょう。俺たちは、彼らが転移してくるであろう特異点を特定し、防衛線を築く必要があります」

ラッセルが言いました。「特異点とは、どこにあるんだ?」

香坂が応じました。「私の情報によれば、ISTOが管理している特異点の多くは、地熱や雷などの自然エネルギーが集中する不安定な場所です。アウラ王国にも、そのような場所が複数存在するはずです。マサトの次元知性なら、特定できるはず」

マサトは、さらに重要な提案をしました。

目標2:次元航行技術の「平和利用」の確立

「俺は、現実世界に戻るまでに、**『次元航行技術は、兵器ではなく、交流のための技術である』**という青写真ブループリントを、この世界で完成させます。具体的には、次元の壁を安全に超えて、**情報や物資を交換できる『次元の橋』**の実現です」

ソフィアが目を輝かせました。「次元の橋…!それは、世界を繋ぐ、奇跡の魔法ですわ!」

「その通りだ」マサトは力強く言いました。「この技術を完成させ、まずはアウラ王国から**『平和利用技術』**として現実世界に発信します。ISTOがそれを軍事転用しようとしても、世界中の科学者や世論がそれを許さない状況を作るのです」

 王宮地下の研究室

マサトの提案を受け、マリアは王として即座に決断を下しました。

「マサト様の全てを支援します。王宮の地下にある、かつての魔導具研究室を、あなたの新しい研究拠点として提供します。そこなら、外部の監視を完全に防げるでしょう」

数日後、マサトと香坂は、王宮の地下深く、厳重に警備された研究室に籠もりました。マサトは、香坂が提供した特異点のデータと、マリアの**『愛の波動』**の解析を始めました。

「次元接続の安定化には、マリア様の感情の周波数が不可欠です。つまり、マリア様は、この研究の**最も重要な『人工魔素炉』**となる」

香坂は、マサトの言葉に驚きませんでした。「感情が科学に影響を与える。この世界では、それが真実なのね。ISTOが最も恐れる、予測不能な力だわ」

 香坂の「裏切り」の準備

研究を進める傍ら、香坂はマサトに約束していた**「裏切り」**の準備を始めました。

「マサトくん。私は、あなたが次元の橋を完成させたら、この世界から現実世界へ、ある信号を送るわ」

「ISTOへの降伏の信号ですか?」マサトは問いかけました。

「いいえ。ISTOの管理下にある全ての次元特異点を、一時的に機能停止させるための、非常停止信号よ」

香坂は、ISTOの管理プロトコルを知る者だからこそできる、最後の抵抗を計画していました。マサトが次元の橋を完成させた瞬間、彼女はその技術の安全性を確保するため、すべての危険な転移の扉を閉じるつもりでした。

「そうすれば、ISTOは新しい次元転移が不可能になり、あなたの追跡も不可能になる。そして、私もISTOからの永遠の裏切り者となる。…私は、二度と現実世界には戻れない」

香坂は、過去の償いとして、現実世界での生活を捨てる覚悟を決めていました。

マサトは、その強い覚悟を前に、何も言えませんでした。彼は、この孤独な迷人たちの、悲しい連鎖を、必ず自分の手で終わらせると、心に誓いました。

王宮の地下で、マサトの「次元知性」と香坂の「過去の知識」が融合し、世界を繋ぐための壮大な「次元の青図」が、着々と描かれていきました。彼らの行動こそが、半年後に迫るISTOとの最終決戦に向けた、唯一の希望の光でした。

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