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異世界帰りの元勇者は現実世界でも天才でした。  作者: 坂元たつま


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最後の障壁と炉心の完成(コア・ブレイクダウン)

マリアからの**「愛している」**という心の声が次元を超えて届いたおかげで、マサトの「人工魔素炉ディメンション・コア」の研究は、驚くべきスピードで進みました。マリアの強い想いが、まるでエンジンの燃料のように、マサトの理論を支えていたのです。

香坂サヤは、この信じられない現象を目の当たりにし、もはや科学的な常識を捨てるしかありませんでした。彼女はマサトを信じ、彼をISTOの監視から守ることに全力を尽くしました。

  ISTOの最終警告

マサトの研究が最終段階に入ったことは、すぐにISTOのトップ、ギルマン理事にバレてしまいました。彼は、マサトが「次元航行」の扉を開きかけていることを察知しました。

ある日、ギルマン理事からの緊急のビデオ通話が研究室に入りました。

「榊原君。君の研究は、エネルギー以外の危険な方向に進んでいる。我々は、君の裏の目的を知っている」

ギルマンは、画面越しに冷酷に言い放ちました。

「ISTOは、君の研究を直ちに中止させる。君は、すべての知識を我々に提供し、隔離された施設で生活してもらうことになる」

それは、マサトの知識を奪い、彼を閉じ込めるという、事実上の拘束宣告でした。

「拒否します」マサトは毅然と答えました。「私の研究は、世界を救うためのものです。隔離は、そのための最善の方法ではありません」

「もう遅い!」ギルマンは声を荒げました。「香坂!命令だ、彼をすぐに拘束しろ!君の役割は終わった!」

香坂は、マサトを庇うように前に立ちました。「ギルマン理事。彼の理論は未だ不安定です。彼を刺激すれば、研究データが全て失われる可能性があります。私に任せてください」

しかし、ギルマンは彼女の言葉を信じませんでした。「香坂!君は裏切っている!警備チーム、突入!」

研究室の扉の外から、警備チームが扉を破壊する大きな音が響き渡りました。

 最後の賭け:炉心の完成

「香坂さん!もう時間がない!」

マサトは、扉が破られるまでの時間を、約30秒と計算しました。彼は、迷わず人工魔素炉のスイッチを入れ、出力を最大にしました。

「やめて、榊原くん!炉心が爆発するわ!」香坂が慌てて叫びました。

「大丈夫です!爆発じゃなく、次元の扉を開くエネルギーの瞬間集中です!」

マサトは、マリアのネックレスを炉心の中心に固定しました。ネックレスの光が強くなり、炉心の人工素材と共鳴し、研究室全体が異常な熱と光に包まれました。

マサトの頭の中では、香坂からもらった秘密の情報と、マリアの**「愛の波動」が一つになり、異世界への『転移の最終手順』**が完成しました。

ドォン!

扉が破られ、ギルマンの警備チームが銃を構えて研究室になだれ込んできました。

「動くな!榊原マサト!」

 開かれた扉

警備チームの銃口がマサトに向けられたその瞬間、人工魔素炉から青白い、まばゆい光が放たれました。

炉心の周りの空間が、水面に石を投げ入れたようにゆがみ、青白い光の穴が現れました。

「これが…次元の扉…!」香坂は、その光景に言葉を失いました。

マサトは、警備チームに向けて、最後の言葉を言い放ちました。

「あなたたちの『科学』は、人の心を無視した。でも、俺の科学は、愛によって完成した!」

マサトは、完成した人工魔素炉をその場に置き去りにしました。彼の知恵は、この扉が開いてから60秒で閉じると計算していました。重い炉心を持っていては間に合わないのです。

「香坂さん!行くぞ!」

「ええ!」

マサトと香坂は、青白い光が漏れる空間の穴へと飛び込みました。

警備チームが撃った銃弾は、光のゆがみに吸い込まれて床に着弾しました。

光が消え、マサトと香坂がいた場所には、人工魔素炉だけが残されました。

ギルマン理事は、その光景を見て、憤怒に顔を歪ませました。「追跡しろ!彼らは、人類最大の資産だ!そして、あの炉心を回収しろ!…次元航行の技術を、絶対に逃がすな!」

しかし、マサトの知恵は、ISTOの管理と監視という、この世界の困難な壁を打ち破り、愛するマリアのいる世界へと、彼らを導いたのです。

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