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死なずの魔物使い~失業したからテイムしよ~  作者: 桐谷瑞浪
第一章 魔物使いと幼女神
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#05 初心者だから修行しよう

マーボーオムレツ。ただの天津飯!

 シュッカル王国は、今日も平和だ。


 まあ、この間のバーヌたちみたいな不逞の輩こそいるものの、俺を追ってこれないのはつまり平和の証。


 どんな小さな町でも警備兵が配備されており、簡単には悪さなど出来ないようになっているのだ。


 だから俺は、依頼にも疲れてきたので今日は自主的休日としている。


「修行チ。レイジは未熟だから修行するのチ」


 あれっ。マスター、張り切ってんな~。

 隣ではベビドラがニンジンをかじっている。


 エサが必要かと言われたら【魔物の書】にいる魔物は、【書】が魔力を与え続けるから心配いらない。


 翼の杖とかいうマスターの杖に宿るベビドラに関しては、よく分からない。


 ▽


 そして張り切るマスターに連れられて、俺は道場にやって来た。


「おや、レイジくんじゃないですか。やっと不死に甘んじる人生から卒業なさるのですな?」

「ん、まあな」


 ポクティさんだ。

 パープの町から徒歩で三十分ほど北西に歩いた所にあるタムソンの町で、道場主をしている。


 そこそこの中年って感じで小太りだけど、物腰が柔らかいので意外とモテる。

 まあ、道場主だから羽振りも良いんだろう。


「なんにもないパープでは、さぞ退屈でしょう。レイジさんが良ければ、いつでも当道場にお越しくださいよ」

「こ、こら、ポクティさん。なんにもないは禁句だぜ。たとえ実際、どんなになんにもなくてもな」


 そう。道場はタムソンにあるから、俺とマスターははるばる歩いて今、タムソンにいるのだ。


「レイジ、早く一人前の魔物使いになるために修行するチよ」


 ▽


 なんだか微妙に急ぐマスターを怪訝に思いながら、俺はとりあえずゴブぞうを【書】から召喚した。


「〈何の用だあ。オラはウナギが食いてえぞ〉」


 どんだけウナギが好きなんだ、ゴブぞう。


「ウナギはいつか食わせてやるから、修行するぞ」


 修行が始まった。


「よし、ゴブぞう。修行だ、修行。ほら、修行だぞ」

「〈は?〉」


 え?


「こらぁ~。修行の仕方くらいアタチャに聞くチ」


 あ、なるほど。会社みたいな、そういうノリなわけね。

 良いでしょう。底辺小説家として、誰にも見向きもされなかったコミュ障の才能。


 今こそ見せてやるぜ、マスター!


 ▽


 三十分後。


「そして、このカベニナールくんで腕力を測って鍛えるチ。……って、こら~!」


 ん?

 しまった。末期の頃のハロワ通い昆布太郎のノリで普通に心を閉ざしてた。


「はあ。やる事が多すぎて億劫なんだけど」

「な、なな、なんですっチー?」


 恐らく「なんですってー?」のニュアンスだろうなっていうのは俺にも、かろうじて分かった。


 そして、先ほどから俺たちのやり取りを見ていたポクティさんが、不意に口を開いた。


「レイジさんは、耐える戦いしか知らない。もっと基本から始めるべきですね」

「うむ。そうしますチ」


 筋が通っているポクティさんのアドバイスだから、マスターさえびっくりするほど素直に聞いてしまうんだな。


「よし、レイジ。アタチャのベビドラとアナチャのゴブぞうを戦わせるチ」

「なんでそうなる?」


 ポクティさんの言う通り。

 俺が無気力なら、マスターはおっちょこちょい。


 こいつはなんとも、前途多難だぜ!


 ▽


「というわけで、訓練向きの場所に来たぞ」


 初心者の洞くつ。

 その名の通り、初心者が鍛えるためだけに人為的に調整が加えられた洞くつだ。


「よチ。レイジ。ここなら思う存分、ゴブぞうを育てられるチね」


 初心者の洞くつには、スライムしか出ない。

 全魔物中で最弱の存在、スライム。


 ゴブリンも毛の生えた程度だから、最初期の訓練には、もってこいってわけだ。


「よし。ゴブぞう、行くぞ!」

「グルググル~」


 なんで一度にたくさんの魔物を出さないのかって?


 ふっふっふ。よく気付いたな。

 そう、今の俺に一度に出せる魔物はたったの一匹だからだ!


 ゴブぞうにこだわるのも、まだ魔物使い初心者である俺が集中して魔物を育てるため。

 弱い魔物ほど俺の言う事を聞きやすいからな。


 そして、そうこうする内に俺の魔物使いとしての実力も上がり、更に扱える魔物が増えたり色々起きるわけだ。


 ▽●◯●◯


 ん?

 なんか急に辺りがパァーって輝きだしたんだけど。


「うわっ、これは……転移の感覚?」


 気付くと俺は、転生前にいた灰色の世界にいた。


『お呼びだてして申し訳ありません。レイジ・マクスガム様』

「あなたは、……女神ホワイトル!」


 純白の外套、天使の羽根、そしてさらっさら肩まで金髪。


『実は、不死にばかり気が行っており、あなた様にお渡ししていなかったスキルがあるのです』

「スキル、だって?」


 なんとも皮肉というか、なんというか。

 いよいよもって、俺が書いてたファンタジー小説みたいな展開になってきた。


『レイジ様。【ステータス】と【アイテムボックス】です。これらを持ち帰り、引き続き新たな人生を頑張ってくださいね』


 ▽●◯●◯


「……ジ。レイジ!」

「う、うーん」


 俺は初心者の洞くつで目を覚ました。


「えっと、【ステータス】と【アイテムボックス】……うわ、なんだこれ」


 ステータスとかアイテムボックスという概念を思い浮かべた俺の目の前に、それらの文字が映し出された。


「タッチパネル的な挙動か?」


 とりあえず、俺は【ステータス】と書かれた方を指で軽くタッチした。


 ≧

 レイジ

 魔物

 ≧


 二択が続く、だと?

 よし。とりあえず俺のと思われる【レイジ】を選択だ。


 ≧

 名前 レイジ・マクスガム

 職業 【魔物使い】レベル1

 技能 不死、ステータス、アイテムボックス

 能力ステータスはオールD

 ≧


 ▽


 うん、ほぼ知ってた。

 能力は育たないっぽいなーとは思ってた。

 うんうん、確かにHPすらないのは気だるさで気付いてたぞ。


 また、女神がくれた二つのスキルは技能に収まった。つまり今後、もしどこかでスキルと聞いたら技能と思えば良さそうだ。


「レイジ、さっきからひとり言がうるさいぞ」


 俺はステータスに夢中の余り気付かなかったが、マスターはベビドラを操り、襲いくるスライムたちをぷちぷちと潰していた。


「ひとり言って、そりゃないですよマスター。いくらステータスがオールDだからって……」

「すてえたす? うまいのチか、それは」


 マスターの中ではステータスは食べ物のようだ。

 その後、俺は何度も目の前の画面を説明した。しかしどうやらマスターには、俺には見える画面が見えてないらしい。


(マスターには見えない画面……。でもスキルなら、使って問題ないんだよな?)


 スキルとして不死とごっちゃになってはいるが、おそらくこの世界のルールに則ってはいるはず。


 違ったらその時は、――女神ホワイトルを恨むしかない。


 ▽


 とりあえず、急ぎゴブぞうのステータスも見てみた。


 タッチする先を【魔物】にすると、召喚している魔物のステータスが表示されるようだ。


 ≧

 名前 ゴブぞう

 種族 ゴブリン レベル3

 技能 こん棒アタック、キック

 腕力 C  体力 C

 知力 D  魔力 D

 ≧


 変わらねえ。

 不死チートの代償で成長しないのであろう俺とステータスほぼ一緒。


「お前、レベル3なら頑張れよ!」

「〈うるせえぞ。ウナギ食わせてくれよ〉」


 くっ、ゴブぞうよ。

 本当にウナギ好きすぎるぞ、ゴブリンの癖に。


 しかも技能もショボ過ぎる。

 どうしたらこんなにショボくなるんだ。


 気付くとゴブぞうは、勝手にスライムと戦い出した。

 まあ、放置され死ぬなんて確かに昆布太郎だった俺だけにしておいて欲しい。


 おっ、どうやら【こん棒アタック】を繰り出した。

 こん棒を振り回す技能かな。


 いやあ、マジに見たまんまだな!


 修行の結果、ゴブぞうはレベル5になった。

 レベルに上限があるかは謎だが、とりあえずは強くなれたようだ。

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