2話:親友と先輩
私立若菜高校。今日から僕の通う高校で、今年で50周年になるんだとか。
……まあ中学の入学式でも言われたけど。
僕は内部進学で、雹もサッカーの推薦で決まったから、
「受験シーズン」と言われればうちでは中学受験のことを指す。
今年はつららちゃんで、勉強は僕が見ていた。
…が、僕の教え方が悪いせいか、つきっきりで教えることが多く、
あの時期は寝不足気味なことが多かった。お互いに。
(さらっと合格してたけど……つららちゃんに申し訳ないなぁ……)
「なーにしょげてんだよ霰ー!」
「ウ"ッ!」
バシンといい音をたて僕の背中を叩いたのは、
勝須野雨衣という僕らの親友だ。
弟と妹が二人ずついて、気遣いができて意思がはっきりしている。
「お前、よくこの高校受かったね……」
「補欠だ!」
「なるほど……」
勉強はあまり好きじゃ無いらしいけど、スポーツは推薦とまではいかなくても
全般得意らしい。顔もかなり良いので異性にモテる。
大方雹と同じだ。僕とも仲良くしてくれる。
ただ、………構われるのが嫌なわけではないんだけど、
「見て!あの人超イケメン!」
「きゃー❤︎」
………大量の女子も付いてくるので少し控えてほしい。
「あっはは!モテモテだな!」
「…そりゃお前は背も高くて顔も良いからね」
「ん?はは、そりゃどーも!」
(……?テンション下がった…ああ、男に褒められても大して嬉しくないか。)
小学生の時に知り合ったので、かれこれ12年の付き合いになるが、
偶にこの男のことが分からなくなる。
「………ま、取り敢えず雹と合流しなきゃだな!」
「あいつ何処行ったんだんだろ…?」
僕がメールを打つ間、雨衣は僕の頭を撫でながらキョロキョロしてる。
……3cmしか身長が違わないのに、この扱いは何なんだ。
それか?そのせいなのか?と一人悶々と考えていると、
「お、ここにいたかお前ら!やっぱ揃うと女子に囲まれんだなー!」
黒髪で爽やかな見た目の男が此方に向かってくる。
………雹だ。見た目のわりに大口開けて笑ってるので間違いないだろう。
遠くて顔がよく見えないけど。
「遅かったじゃねーか!何してたんだ?」
雨衣がケラケラ笑いながら雹に尋ねる。
「迷子になったから先輩に案内してもらったんだ!」
なるほど、ここ結構マンモス校だから迷子になりやすいんだった………
……って、ん?"先輩"?
「うわっ!本当に学年首席いるじゃん!」
目を見開いてそう言った"先輩"は、雹や雨衣よりも少し背が高く、
体型もがっしりとしていて、金髪でツリ目、前髪をピンで留めている。
………僕とは対照的だ。
(取り敢えず、挨拶しなきゃ……)
「霧野霰といいます。…雹が迷惑掛けてしまったようですね。」
「いーよ!どのみち部活で紹介されるしな!」
成る程、サッカー部の人か。雹と三秒で打ち解けたな、絶対……
「俺は小宮涼!よろしくな霰君!」
「ええ。よろしくお願いします、小宮先輩。」
リリリリ
(ん、通知……?)
「お前はお堅いなー!俺なんか涼ちゃんって呼んでるのに!」
「お前がフレンドリー過ぎるんだろー?」
「ギャハハ‼︎そうっすね‼︎」
開いてみると、僕は目を疑った。
<おめでとうございます!一人目の仲間です!>
「……は!?」
「ん、どーしたんだ霰?」
取り乱した僕の顔を伺う雹をよそに、僕は今朝見た夢のことを思い出した。
"貴方は『探偵』です。仲間と協力し、全ての謎を解きなさい。"
(……もしかして、あの夢本当のことだったの!?)




